間違いで始まる物語

seabolt

第25話 「もう一度・・・」

渡辺の報告を聞いた西村。


それでも西村は山本のことがあきらめられなかった。


そして


堂々と山本の前に現れ、「ちょっといいか・・」と呼び出した。


しかたなく山本は、西村について屋上に行った。


その頃


野村は恭介の所に行った。


そして、


「はるかさん・・・西村さんに呼ばれて行きましたよ・・・」


「野村さん。それっ・・本当?」立ち上がり野村の方へ詰め寄る恭介


「まぁ・・・」


「で?」


「でって?」


「どこだ?」


「たぶん屋上よ・・・早く行きなさいよ。」


「ありがとう・・」と恭介は屋上へ走り出した。


その光景を見た野村は、お~お~青春してるねぇ~と思った。


屋上についた二人・・・


「西村さん、何か・・・早く戻りたいんですけど。」


と切り出す山本


「もう一度・・・やり直せないか?」


「また、それですか?この間、言いましたよね。」


それを聞いて、西村は、必死の形相で言った。


「だから、もう一度、考え直してくれないか?」


「どうやって?考え直せって言うの、あんなことしといて・・」


と腕を組んで、怒り出した山本・・・


「あれは、俺が悪かった・・・魔が差したんだよ・・魔が」


と必死に弁明する西村


「魔が差した?・・・」


「ああ・・だから本当にあの時はどうかしていたんだ。」


「私が行く日に、女と寝てて?」


西村は、山本の前で土下座をして


「ごめん・・・本当にこの通りだ・・・もう一度、俺にチャンスを・・・」


その光景は、山本も驚いたが、


「終わった理由は、それだけじゃないわ。」


その言葉を聞いて西村は切れた・・・・


すくっと立ち上がり無言で山本に近づき・・・


「この~」と手を振りかざした。


バチーンという音と共に「きゃっ・・・」と山本が倒れる・・


「何するの?」と言うと西村は再び無言で近づき、


手を振りかざした瞬間


「きゃっ・・・」と目を閉じ身構える山本、


バチーンという音がした・・・


しかし


衝撃はなかった。


そっと


目を開けるとそこには恭介が楯となって


変わりに殴られていた。


「はるかさん・・今のうちに逃げろ・・」と恭介が西村の前に立ちはだかった。


「貴様、じゃまするな!」


西村はそこへ続けざまに2,3発殴った。


それに、ただ耐える恭介・・・


「やめてよ!」


恭介の後ろで、叫ぶ山本・・・


しばらくして


西村は無抵抗な恭介を殴るのをやめ


「くそっ・・」とその場を去って行った。


残された二人・・・


二人は、近くの段差に向かい合い腰掛けた。


「大丈夫?」と口から少し血を出している恭介を心配する山本


「大丈夫ですよ。少し口切ったぐらい。はるかさんこそ・・」


ほほを少し赤く腫らしている山本を心配する恭介


「だいじょうぶよ・・・ありがとう・・・」


山本は、ハンカチを手に恭介の口元を拭いた。




二人の様子が気になった野村・・・


上へ上がろうか迷っていると西村が階段をかけ降りて行った、


何かあったのではと、屋上へ上がる野村・・・


そこには、向かい合って座る二人の姿・・・


それを見て野村は、やっぱり・・・


とさびしそうに階段を降りて行った。


そして、山本が西村と本当に別れた理由を語りだした。







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