間違いで始まる物語

seabolt

第18話 「どたばた」

「るみちゃん・・・」


「野村さん・・・」


二人して声をかける。


野村は、二人を見て、


「やっぱり・・・」と話そうとすると


「まぁまぁ、立ち話もなんだから・・・るみちゃん、ここに座って」と席を動かす山本


「いいです。」


野村が断ろうとすると山本は、野村の手を引きほぼ無理やり座らせた。


そして、


「ちょうど、よかった。今、久保君に説教をしていたの。」と言う山本


「うそでしょう?」


信じない野村は「じゃぁ、何で見つめ合ってたの?」


その一言に二人がドキッとした。


「それは、・・・」


口を開く恭介・・・


それをじっと睨む野村


少しひるみながら恭介は続けた


「今日、迷惑をかけたんで、ここは俺が出すからと山本さんに言ってた時がちょうど見詰め合ってたように見えたんじゃ」


「どういうこと?」


「おごってくれる言うから、私が本当に?って再度確認してからじゃないの?」


山本が辻褄を合わせた


いまいち納得がいかない野村だったが、


「まぁいいでしょう?・・ということは、私も同じだから、久保君のおごり?」


「えっ~?」と驚く恭介


「当然よ!」と突き放す山本・・・


「どうなの?」


「わかりました・・・」としょぼんと答える恭介


「わかったわ、今日は、許すわ?」


「ありがとう、るみちゃん」と野村に抱きつく山本・・・


「ありがとう。」


恭介が言うと野村は恭介のほうを見て


「久保君は・・それより先に言うことがないの?」


「えっ?」と


「私・・相当傷ついたんだけど・・・・」


「ああ・・今日は本当にすみませんでした。」


恭介は素直に謝った。


「るみちゃん。そろそろいいんじゃないの?」と声をかける山本


「ところで何で、二人がここにいるんですか?」


「あら~それは、るみちゃんのせいよ。」


「何で私が・」


不思議そうにしている野村


「よく言うわねぁ・・・あなたが久保君を見て逃げるから・・・」


山本は野村のほうを見て続けた


「私・・・久保君とすごく気まずい状態になったんだから」


「それで何で二人が・・・」


「だから久保君のおごってくれることになったの・・・」


「あっそうか・・・」


ようやく野村の納得した。


そして、飲み物の追加が届いた。


「じゃぁ・・・再度、乾杯をしましょうか。」とグラスを持つ3人


「久保君の失恋を記念してカンパーイと再び乾杯した。」


3人が楽しそうにしているのを、渡辺は、少し離れたところから見ていた。


入りたいけど・・・どうしよう。と迷っていた。


「ところで、何で、久保君の失恋を記念なの?」と聞く野村に


「それはね・・」と山本は、野村に耳打ちを始めた


「今日、どう見ても、るみちゃんに振られたからよ・・」


「えっ・・でも・・」


「大体、見間違うなんて・・・もってのほかでしょ」


「そうだけど・・・」


「あの~」


恭介が話の間に入ろうとすると


「うるさい。」と一蹴され


「いいんだ~どうせ・・」と少しいじけていた。


「だからなんで間違ったか聞いてみない?」


「そうねぇ~」二人の耳打ちは終わった。


「ところで久保君?」


「はい。」と答える恭介・・・


「何で、はるかさんと私を間違えたの?」


「そっそれは・・・」と驚き、言葉を詰まらせる恭介・・・


「そんなに似ていたの私とはるかさん?」


「あっ・・いやっ・・その・・後姿だけで・・・」とただ答えに困る恭介


「後姿って・・・」


「だから、後ろ姿しか見ていないから・・・で皆制服だろ」と言い訳をする恭介


「後姿だけであんな間違いをするの?」


「すみません。」


「そうよ、どう見ても体型が違うじゃない。」と山本も参戦してきた。


あ~あどうしよう


ほんとうに


どうしたらいいんだ?


恭介はパニックになりながら。


「そうよ、わたし、こんなにお尻大きくないし・・・」と野村がいう


「お尻が大きいってなによ。ナイスバディといってほしいわ」と言い返す山本


お~神様~どうしたらいいんでしょうか?


二人はにらみ合い同時に恭介を見て


「どうなの?」と脅迫した・・・


恭介は両手を合わし、「ごめんなさい・・私が本当に悪うございました。」


ただ謝るだけだった。


山本と野村は顔を合しふきだした。


そして、


「久保君もういいわ」と笑って言った


恭介は何のことだかわからないまま・


「はい・・」と答えた。


そこへ「あの~」と横から声がした。


3人が見るとそこには、渡辺の姿があった。


「なべ!!なんだよ~今頃」


「みんな楽しそうだし・・・・」


「あ~この間、逃げた!ナンパ男!!」


指を刺しながら山本は言った。


「すみません。この間は・・・」


調子よく誤ろうとする渡辺・・・


「本当に、調子のいい奴だ・・・」


恭介は、動き席を空けた。


そこに座り込む渡辺、そこに飲み物が来たのを見た山本は、


「さて、渡辺君も着たし。乾杯をしましょうか?」


「何回するんですか?」と恭介が聞くと


「いいじゃない。」と答え


「渡辺君のおごりに乾杯!」


「乾杯!」と3人が言う。


「えっ・・・ええ??」と驚く渡辺・・・


「そんな・・」と嘆いていると


「うそよ・・渡辺君は自分の分だけ払ってね。」と優しく言う野村・・・


「あの~」と声を挟もうとする恭介を見て


「あのこと・・」という山本にびくっとなり恭介は話をやめた。


「ところで、山本さん」と切り出した渡辺は


「この間一緒にいた。きれいな人・・・」と言い出したのだ。


「なに?きれいな人?ここにいるじゃない・・二人も」と話す山本に


「今日じゃなくて、この間・・・二人で歩いてた。もう一人の娘」と渡辺は、もう一度聞きなおした。


それを聞いた、山本はにやりとしていた。


一方、


恭介は、少し頭が痛くなった・・


そして、


うつむいて、チューハイを口にしていた。


「はるかさん?この間のかわいい人って?ひょっとして。恭子さん?」と野村が聞くと


「恭子さんって言うんですか」と調子よく聞く渡辺・・・


「恭子がどうしたの?」山本は、何気なく聞いた。


「実は、もしよければ、紹介してくれませんか」と言った瞬間、


げほげほっと咳き込む恭介・・・


はぁ~という顔をした後、


その光景を見て「何むせてんのよ、久保君!!」と笑う山本


「久保君!大丈夫?」と心配する野村


そして


その光景に呆然とする渡辺がいた・・・


「恭子は無理よ。」と山本がいい


「そろそろお開きにしましょう。」

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