間違いで始まる物語

seabolt

第11話  「不安・・・」

「るみちゃん?」


山本が野村の後ろから声をかけた・・・・


「はい・・・?」


後ろを振り向く野村・・・


やばい・・・どうしようと思っていた野村


そこへ・・・


「はるか!ちょっと・・・」


西本が割り込んできた。


「なに?あやか・・・」


ちょっと悔しいがにこやかに話す野村


そのにこやかな笑顔も次の瞬間、凍りついた。


「知ってる?西村さんがかえってくるって。」と西本が言うと。


「えっ・・・」


山本の動きが3秒間止まった。


「どうしたんですか?はるかさん?」


心配そうに聞く野村・・・


「あっ・・・いや・・・」


山本にさっきまでの切れのよさはなかった。


「よかったじゃない・・・・はるか・・」


西本は山本の肩をぽんとたたいた。


「あっ・・・じゃぁ、行くわ・・・」


山本は落ち込んだようにその場から離れていった。


「はるかったら、もう照れちゃって・・・・」


にこやかに見送る西本


「あやかさん・・・その西村さんて?」


野村が聞くと


「はるかの彼氏、2年3ヶ月ぶりにこっちの職場にもどるって。」


「あのはるかさんの彼氏・・か・・ところでどんな人なんですか?」


「そうねぇ~」


しばらく西村と山本の話題で持ちきりだった。






山本は、自販機の前でぼーっとしていた


哲也が帰ってくるの・・か・・・とため息をついた。


そして、


どういう顔であったらいいんだろう?


それとももう別れたし関係ないか


とか混乱している中・・・・


「山本さん・・・浮かない顔してますね?」


声をかけてきたのは、恭介だった。


「なんだ・・・久保君・・・か?」


「なんだとはなんですか。どうしたんですか?なんか・・・元気がないですね?」


久保も自販機でコーヒーを買いベンチに座った・・・・


「彼が帰ってくるの・・・」


「彼って?あの遠距離の?」


「そう・・」


「ひょっとして・・・今度戻ってくる?」


「そう・・・」


「あちゃ~」


そういって恭介は天を仰いだ・・・


その頃野村は、自販機の前にいる山本を見つけた・・・


そして


近づこうとしたら。


恭介がいるのに気づき近くに身を隠した・・・


「どうしたら・・」


不安を隠せない山本・・・


「迷ってるんですか?」と聞く恭介


「わからない・・・」


「何で? 迷っているようにしか見えませんが・・・」


「う~ん」と山本は考えたあと、


「このまま、久保君を襲おかしら・・」


「何を血迷っているんですか?」


少しあせって恭介は答えた。


「冗談よ・・・本気にしたの?」


「まぁ、ちょっとね。」というと


「もうっ!」と手を上げる山本。


「おおっと!!」


手で受けようとし、コーヒーをこぼしかけた。


そして


「うわっ!!」


声を上げ慌てる恭介を見て


少し明るさを戻した山本、


恭介はその表情を見て


「普段どおりでいいんじゃないんですか?」


「そうねぇ~」


山本は恭介を見つめた。


「そうそう、仕事ができて、美人で・・・でも怖い山本さん・・」


「なに言ってるの、怖いは余分よ・・怖いは・・」


山本は少し元気な声をあげた。


「じゃあ、そろそろ仕事に戻ります。」


「じゃぁ・・・」


恭介は、山本を置いて去っていった。



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