間違いで始まる物語

seabolt

第10話  「それぞれ・・・」

「おい、恭介!!」と呼び止める渡辺


「なんだよ、なべ・・」と振る向く恭介、


「金曜はどこ行ってたんだよ。」


「なんだよ。急に!!」


「朝帰りしたくせに・・・あやしいぞ・・・」


「だから言ったろう、高校の同期と飲んでだな。」


「同期って、おとこ?おんな?」


「あのなぁ、会社でする話か?」


「あやしいな~」と渡辺が突っ込む


そこに


後ろから


「おはよう。」と声がした。


びくっとなる二人。


恭介は、恐る恐る振り向くと、山本と野村が立っていた。


「あっ!  おはようございます。」と挨拶する二人。


山本は、恭介に目線で合図をした。


恭介は、少しうつむき答えた。


野村を見ると恭介から少し目線をそらした。


そして


二人は行ってしまった。


「あ~びっくりした!!」


第一声を発したのは渡辺だった。


「何緊張してんだよ!なべ!」


「お前こそ!」


「俺は、後ろから急に声がかかったから、驚いただけだ!」


「うそつけ!」


「えらく、声をあげるな。本当はなんかあったんか?一喝されたとか?」


恭介は、思わずなべに聞いた。


「実は、金曜日!めっちゃ!かわいい娘をみつけてな!」


「それで?」


「それで、その娘、ナンパしたら横に山本さんがいて」


「いて・・・」


「一喝されたんだよ」と渡辺はため息をついた。


「一喝されてどうしたんだよ・・・」と続きを聞く恭介


「逃げたよ・・・」


「逃げたって?なべ、お前逃げたんか!?」


あの時の光景を思い出し笑い出す恭介


「ああ、もう一目散に・・・」


「どうして?」と笑いながら聞き返すと


「何、笑ってんだよ!恭介!!もうあれは、恐怖以外の何者でもない・・・」


「そんなに怖かったんか」


「ああ・・でも・・・かわいかったよなぁ、あの娘。」


この言葉に恭介が慌てた。


「お前・・・その娘・・・ちゃんと見たんか?」と聞きなおす恭介


「ああ・・・」


「暗かったせいじゃ?」


「なんだよ。急に・・・」


今度は怪訝な顔をする渡辺・・・


あんまり聞くと怪しまれると思い恭介は、聞くのをやめた。






一方、野村が山本と歩きながら聞いた


「知ってました?」


「何を」


「久保君って、フランに行ってたこと」


「木曜日に一緒に見たじゃない」


山本は思い出したかのように言った。


「あっそうか・・・」


「でもどうしたの?るみちゃん」


「土曜日も会ったの・・・フランで・・」


「そうなんだ~・・で?」


「それがね・・・服忘れたんだって。おかしいと思わない・・・」


「ほんと。まぬけね?」


少し笑みを浮かべて、野村を見ると


少しうつむいてため息をついて


「よっぽど気合入っていたんでしょうね。金曜日に・・・」と野村が言うと


山本は、手で口を押さえ、口元の笑みを隠した。


そして


野村の方を指差した・・・


それを見た野村は「ちがいます・・・」


そそくさと逃げていった。



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