間違いで始まる物語

seabolt

第1話 「まちがい」

「あの・・・」


自販機に向かって、飲み物を選んでいる


女性に後ろから声をかける恭介・・・


恭介は、今日こそ、野村るみを誘おうと決意してた。


見た目少しおとなしめな彼女・・・


恭介は、入社したときから気になっていた・・・


そして、ついに


「あの・・・今晩・・お食事でも・・・」


恭介が言おうとした時だった。


「えっ」


彼女が振り返った。


顔を見た瞬間・・・


恭介は、驚いた・・・


「君、今なんて言ったの?」


それが彼女が発した最初の言葉だった。


「あっ・・・いや・・・」


言葉を濁す恭介・・・


なぜ、山本さんがここにいるんだ?


さっき、なべ(渡辺)のやつ・・・


野村さんがここに入ったって・・・


一体どうなってるんだ・・・


パニックにおちいった・・・・


「今、食事とか・・・言わなかった?」


山本はきつく聞き返す。


「あっ・・・すみません。間違えました。」


思わず言ってしまった恭介・・・・


「間違い・・・って、バカにしてるの・・」


ヒートアップする彼女・・・


山本は美人でスタイル抜群で仕事もできる。しかし、気が強く怖いと会社で評判の女性だった。


「すみません。」


再び謝る恭介・・・


彼女は、右手を頭をあてて、ふぅ~とため息をついた。


そして


恭介の顔を見て


「君、そこに座りなさい・・・」


恭介をベンチに座らせた。


ちょこんと座りうつむいく恭介・・・・


その前に仁王のように立つ山本・・・


「あなた・・・名前は?」


山本の尋問が始まった。


「久保です。」


びくっとして答える恭介。


「ふ~ん」


恭介の顔をじろじろと見る山本・・・


「あなたが、歓迎会で、女装をしたって有名な久保君なんだ・・・」


「・・・・」


恭介は答えられなかった。


それは歓迎会の2次会の出来事だった。スナックの女の子がイタヅラで恭介を女装させた。


そのことが社内で有名になっていたのだ。


「どうなの・・久保君?」


山本がきつく聞きなおした。


びくっとした恭介


「はい・・」


ただ答えるので精一杯だった。


「で・・」


「・・・」


「で・・・」


もう一度きつく言う山本・・・


「で・・・とは?」


か細い声で聞き直す恭介・・・


「さっきの食事とかは・・なんの間違いかな?」


恭介を指差し・・・


あやしい笑みを浮かべ聞く山本


「すみません・・・」


三度あやまる恭介・・・


「誰と間違えたのかな?」


山本の指先は、恭介の額に近づき、やがて、つんと頭を押した。


「・・・」


うつむいて黙る恭介・・・


「教えなさい・・・」


野村は、つん・・・つんと恭介の頭を押した。


しかし、黙る恭介を見て


「バカにしているの・・」


今度は、すごんできた・・・


恭介は、その恐怖に思わず


「野村さん・・です」


「ふ~ん・・・久保君は、るみちゃんが好きなんだ・・」


まじまじと久保を見る山本・・・


彼、結構かわいい顔してるし、もうちょっといじめようかなと思っていた。


「じゃぁ、私から言っちゃおうかしら・・・」


山本が言うと


「やめてください。・・俺からいいます。」


恭介は思わず言ってしまった、


「ふ~ん・・・好きなんだ」


また、うつむく恭介・・・・


恭介の姿をみて、腕を組んだ山本は


「私の口結構、軽いんだけど・・・」


「やめてください・・・何でも言うこと聞きますから・・・」


それを聞いた恭介は顔を上げて、思わず叫んでしまった。


「ふ~ん・・・何でも、ねぇ?」


「あっ、いや・・・なんでも、って」


しどろもどろになる恭介、


しまった・・・最悪だ・・・


恭介があたふたしている様子をみながら山本は


「わかってるわよ、そんな無茶は言わないわよ。」


ふとあることを思い出した。


そして


「じゃぁ~、合コンに出てくれる?」


山本は言い出した。


「えっ・・・」


絶句する恭介、


しかし、次の誘い文句が恭介を地獄に落とした。


「今週金曜の合コン・・・るみちゃんも来るんだけど・・・・」


恭介は思わず「はい。」と返事をしてしまった。


「はい。っていったわね・・・」


山本は恭介の両肩に手を掛けにこやかに話しかけた。


「はい。」


恭介は再び返事した。


「そう、よく決断したわね・・・・実は、女の子が一人足らないの。」


「えっ~」



「間違いで始まる物語」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く