神眼使いの異世界生活
第57話 依頼受理
「パーティのマナーを教えてほしい?」
クラウスさんからアドバイスをもらった俺はさっそくアルテミスの元へ向かった。
「ああ、貴族からの紹介状がたくさん来ててな、流石に全部断るわけにもいかないだろ?これは商会を行う上でも縁を作っておくのは有利なことだしな。けどパーティとかの経験が無いからそういうのが分からなくてそこでアルテミスに教えてほしいわけだ。」
「けど、私との婚約お披露目会では完璧だったよ?」
「え?そうなの?」
そういえば何も考えずにあのパーティに出てたけどどうして俺は平気だったんだ?
『それは私がマスターの動きを制御していたからです。また、貴族への対応も思考誘導を用いて適切なものにしました。』
知らないうちにそんなことをしていたらしい。
だがそのおかげで助かっていたようだ。
さすがリエルだな!
『………………』
「どうやらリエルが制御してたみたいだな」
「さすがあリエルさんね。けどそれなら教えることないんじゃないかしら?」
「ん~~けど少し習ってもいいか?」
「いいよ。私暇だし」
そういえば俺がしばらく商会に専念する間、アルテミスは暇かもしれないな。
「…………よし。こうするか」
俺は幾つかのスキルを発動させる。
すると俺とアルテミスの前に魔力が集まり、一つの人物を作り出す。
「な、なにこれ」
「俺の分身体だ。【実体分身】スキルで作った分身にリエルの能力で並列思考体を移して俺の思考とリンクしてるし、本体の俺がこっちに来ることも可能だ。」
「で、どっちでも同じ思考ができるということは片方が別の場所にいても問題ないってこった。」
二人の俺が交互にしゃべる。
「えっと、つまりどういうこと?」
「分身の俺はこの王都に残って商会の仕事や貴族の相手、本体の俺と国王とのパイプ役になる」
「そして本体の俺は分身の俺を王都に残してアルテミスと旅に出る。それなら俺も仕事に縛られないし、必要な時だけ王都に戻れる。分身の俺は能力は本体よりは低いが誰にも負けない程度の力は持ってるから何かあっても対処可能だろ。」
「魔力が無くなっても本体の俺との根源回廊がつながってるからいつでも供給は可能だからな。どうとでもなるだろ」
「つまり私達は旅に出て、分身のソウマはここに残るってことね。」
「そ。そういうこと。」
これならアルテミスを寂しい思いはさせないし、商会の仕事とかも滞ることはない。
クラウスさんに事情を説明すれば問題ないだろ。
「じゃあ、これから準備して明日には出るか。」
「明日?!はや過ぎない?」
「まあ、期限の無い旅だからいつ出発してもいいんだけどな。王都でやる事は分身で十分だし、ギルドで依頼を受けがてらほかの街に行こうぜ。とりあえずの最終目的地はアクエリアスにしてさ」
「そうね、それもいいかも。じゃあお父様達にも報告して準備しなきゃ。」
「俺も色々と手配しておかなきゃな。」
馬車の手配とか必要か?
いや、冒険者ギルドの依頼で向こうの方に行く護衛依頼とか探せば大丈夫だろ。
一応の食料とかも準備しないとな。
そうとなれば冒険者ギルドに行かないとな。
……ハクも連れていくか。
「よっ、暇か?」
「キュー!」
「……………たった今暇じゃなくなったよ」
ハクを連れてギルドの執務室に直接転移したんだが、シフォルがあきれた目を向けられていた。
「それは災難だな。何かあったのか?」
「魔王より恐ろしい存在が目の前に現れたんだ。」
「それは大変だな。手伝おうか?」
「それなら帰ってくれると助かるよ。ソウマ君」
「そんな!?どうしてそんなことを言えるんだ?!」
「君が来ると厄介ごとが増えるからだよ!」
「あははははっ!」
「きゅぅっ!」
「よく笑えるよね……」
笑ってごまかす俺とハクに飽きた目線と諦めた視線を送ってくるシフォルはまあいいとして。
「明日から旅に出るから南の方に行ける護衛依頼はあるか?」
「そういうことは下の受付で聞いておくれよ。僕の仕事じゃないからね、それ」
はぁ、とため息を付くと紅茶を一口飲んで口を開く。
「大体、Sランク冒険者のできる護衛依頼なんてあるわけないでしょ」
「え?なんで?」
「きゅう?」
ハクと共に首を傾げる。
「いいかい?そもそもSランク冒険者は大陸中でも数少ない存在なんだ。それどころか個人でSランクに上がる人はほぼいない。そんな超稀少なSランク冒険者を護衛にできるのは上級貴族とか王族ぐらい。商人でも極僅かだ。けど、そもそもそんな位の人たちは私兵やら騎士を持っているから護衛依頼はほとんどない。よって君が受けられる護衛依頼は存在しない。」
「まじか……別に報酬とかどうでもいいし、もっと低いランクの依頼は受けられないのか?」
「Sランク冒険者が受けらえるのはSランクとAランクの依頼のみ。けど、今のところAランクの護衛依頼がないからむりだね。」
「oh…………」
ガチでないときた。これはどうしたものか。
「ああ、そうだ。でも依頼ついでに南に行くことはできるよ。護衛依頼じゃないけどね」
「お、それを先に行ってくれよ。どんな依頼だ?」
「討伐依頼なんだけどね。この国の南方にあるポトフ草原で大量の下級地竜が出現してね。で襲われた人がでたから現地の冒険者が討伐に出たんだけど、Bランクの冒険者パーティが最高で歯が立たなかったから王都に回ってきたんだ。」
「下級地竜ね………Bランクなら一匹位倒せるだろ。何体でたんだ?」
「報告によると50体以上はいるみたいだね。さすがにBじゃ無理かな。申し訳ないけど行ってきてくれる?」
「別にいいけど報告はどうするんだ?こっちに戻って来るんじゃ意味ないだろ」
「それは向こうのギルドでいいよ。情報の共有はされるから。」
「あらいいか。それじゃあ、それ受けるから。明日出発する。」
「はいはい。君はいつも急だね」
「あ、そうだ。分身王都に置いとくから何かあれば分身に行ってくれよな」
「え?それはどういう―――」
シフォルが何か言い終わる前にソウマは転移してしまった。
「本当に君は急な人だよね!!」
ソウマのいなくなった執務室でシフォルの声が響いたのだった。
クラウスさんからアドバイスをもらった俺はさっそくアルテミスの元へ向かった。
「ああ、貴族からの紹介状がたくさん来ててな、流石に全部断るわけにもいかないだろ?これは商会を行う上でも縁を作っておくのは有利なことだしな。けどパーティとかの経験が無いからそういうのが分からなくてそこでアルテミスに教えてほしいわけだ。」
「けど、私との婚約お披露目会では完璧だったよ?」
「え?そうなの?」
そういえば何も考えずにあのパーティに出てたけどどうして俺は平気だったんだ?
『それは私がマスターの動きを制御していたからです。また、貴族への対応も思考誘導を用いて適切なものにしました。』
知らないうちにそんなことをしていたらしい。
だがそのおかげで助かっていたようだ。
さすがリエルだな!
『………………』
「どうやらリエルが制御してたみたいだな」
「さすがあリエルさんね。けどそれなら教えることないんじゃないかしら?」
「ん~~けど少し習ってもいいか?」
「いいよ。私暇だし」
そういえば俺がしばらく商会に専念する間、アルテミスは暇かもしれないな。
「…………よし。こうするか」
俺は幾つかのスキルを発動させる。
すると俺とアルテミスの前に魔力が集まり、一つの人物を作り出す。
「な、なにこれ」
「俺の分身体だ。【実体分身】スキルで作った分身にリエルの能力で並列思考体を移して俺の思考とリンクしてるし、本体の俺がこっちに来ることも可能だ。」
「で、どっちでも同じ思考ができるということは片方が別の場所にいても問題ないってこった。」
二人の俺が交互にしゃべる。
「えっと、つまりどういうこと?」
「分身の俺はこの王都に残って商会の仕事や貴族の相手、本体の俺と国王とのパイプ役になる」
「そして本体の俺は分身の俺を王都に残してアルテミスと旅に出る。それなら俺も仕事に縛られないし、必要な時だけ王都に戻れる。分身の俺は能力は本体よりは低いが誰にも負けない程度の力は持ってるから何かあっても対処可能だろ。」
「魔力が無くなっても本体の俺との根源回廊がつながってるからいつでも供給は可能だからな。どうとでもなるだろ」
「つまり私達は旅に出て、分身のソウマはここに残るってことね。」
「そ。そういうこと。」
これならアルテミスを寂しい思いはさせないし、商会の仕事とかも滞ることはない。
クラウスさんに事情を説明すれば問題ないだろ。
「じゃあ、これから準備して明日には出るか。」
「明日?!はや過ぎない?」
「まあ、期限の無い旅だからいつ出発してもいいんだけどな。王都でやる事は分身で十分だし、ギルドで依頼を受けがてらほかの街に行こうぜ。とりあえずの最終目的地はアクエリアスにしてさ」
「そうね、それもいいかも。じゃあお父様達にも報告して準備しなきゃ。」
「俺も色々と手配しておかなきゃな。」
馬車の手配とか必要か?
いや、冒険者ギルドの依頼で向こうの方に行く護衛依頼とか探せば大丈夫だろ。
一応の食料とかも準備しないとな。
そうとなれば冒険者ギルドに行かないとな。
……ハクも連れていくか。
「よっ、暇か?」
「キュー!」
「……………たった今暇じゃなくなったよ」
ハクを連れてギルドの執務室に直接転移したんだが、シフォルがあきれた目を向けられていた。
「それは災難だな。何かあったのか?」
「魔王より恐ろしい存在が目の前に現れたんだ。」
「それは大変だな。手伝おうか?」
「それなら帰ってくれると助かるよ。ソウマ君」
「そんな!?どうしてそんなことを言えるんだ?!」
「君が来ると厄介ごとが増えるからだよ!」
「あははははっ!」
「きゅぅっ!」
「よく笑えるよね……」
笑ってごまかす俺とハクに飽きた目線と諦めた視線を送ってくるシフォルはまあいいとして。
「明日から旅に出るから南の方に行ける護衛依頼はあるか?」
「そういうことは下の受付で聞いておくれよ。僕の仕事じゃないからね、それ」
はぁ、とため息を付くと紅茶を一口飲んで口を開く。
「大体、Sランク冒険者のできる護衛依頼なんてあるわけないでしょ」
「え?なんで?」
「きゅう?」
ハクと共に首を傾げる。
「いいかい?そもそもSランク冒険者は大陸中でも数少ない存在なんだ。それどころか個人でSランクに上がる人はほぼいない。そんな超稀少なSランク冒険者を護衛にできるのは上級貴族とか王族ぐらい。商人でも極僅かだ。けど、そもそもそんな位の人たちは私兵やら騎士を持っているから護衛依頼はほとんどない。よって君が受けられる護衛依頼は存在しない。」
「まじか……別に報酬とかどうでもいいし、もっと低いランクの依頼は受けられないのか?」
「Sランク冒険者が受けらえるのはSランクとAランクの依頼のみ。けど、今のところAランクの護衛依頼がないからむりだね。」
「oh…………」
ガチでないときた。これはどうしたものか。
「ああ、そうだ。でも依頼ついでに南に行くことはできるよ。護衛依頼じゃないけどね」
「お、それを先に行ってくれよ。どんな依頼だ?」
「討伐依頼なんだけどね。この国の南方にあるポトフ草原で大量の下級地竜が出現してね。で襲われた人がでたから現地の冒険者が討伐に出たんだけど、Bランクの冒険者パーティが最高で歯が立たなかったから王都に回ってきたんだ。」
「下級地竜ね………Bランクなら一匹位倒せるだろ。何体でたんだ?」
「報告によると50体以上はいるみたいだね。さすがにBじゃ無理かな。申し訳ないけど行ってきてくれる?」
「別にいいけど報告はどうするんだ?こっちに戻って来るんじゃ意味ないだろ」
「それは向こうのギルドでいいよ。情報の共有はされるから。」
「あらいいか。それじゃあ、それ受けるから。明日出発する。」
「はいはい。君はいつも急だね」
「あ、そうだ。分身王都に置いとくから何かあれば分身に行ってくれよな」
「え?それはどういう―――」
シフォルが何か言い終わる前にソウマは転移してしまった。
「本当に君は急な人だよね!!」
ソウマのいなくなった執務室でシフォルの声が響いたのだった。
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