最弱が世界を救う。

しにん。

バエル。

「所詮はこの程度か!!英雄なんて名がすたるなぁ?」


トロールは大声で笑だし、エクス達を挑発する。


「やれやれ……こうも長期戦になるとこちらは分が悪いですね。」
「あいつ……なんて魔力の持ち主。簡単に倒せる相手じゃない。」
「目の前の敵を倒せば終わりではありません。そちらへも魔力を残しておきたいのですが……」


最初のうちは押していたが、今は逆転され手も足も出ない状況だった。
トロールは魔力やスタミナが多い割にはとても素早く、簡単には倒せる相手ではない。


「ほれほれほれほれ!!どうしたどうしたっ!!」


トロールの猛攻撃は止むことを知らず、ファントムを吹き飛ばし戦闘不能へと追いやる。


「残り三人。まだまだ弱いな、はははっ!!」
「すみません、全身へ深いダメージです。戦線へ復帰できそうにありません。」
「いや、ありがとうファントム。後はこっちで何とかする。」


ファントムはここで戦線を離脱する。
残された二人では到底トロールを倒せそうにない。


「レイン……君だけは守らせてもらう。」


トロールは度々レインへと攻撃を仕掛けるが、すべてエクスが跳ね返していた。
レインだけは守ると意地で戦っていた。


「なかなかにしぶとい奴らめ。」


セレネは後方から魔法弾を飛ばし攻撃するが、まるでダメージがない。


「君らの攻撃は無駄だよ。俺はすぐに再生するから。はははっ!!無様に死んでいけ!!」


次々と攻撃で押し切られ、遂にはセレネも戦闘不能になる。
残されたエクスは剣を構えるが、剣を維持するだけの魔力も底をつき消える。


「お前はゆっくりと殺してやろう。」
「負けるわけには……いか、ないっ!!」


突如魔力が底を付いたエクスの周りに水柱が飛び出る。


『無様よの、人の子よ。大人しく我の力を使えばいいだろう?』
「お前は、あの時の……」


水柱はドラゴンへと姿を変え、レヴィとの試練の時に現れた得体の知れない者となった。


「負けるわけには行かない……お前の力使わせてくれ……!!」
『その願い聞き入れた。』


すると、エクスは立ち上がりトロールを睨む。
トロールは蛇に睨まれたかの如く、その場で震えだし一歩も動かない。


「き、貴様っ!!一体何をしやがった!!」
『黙れ。』


更に一言口に出すだけでトロールは地面へと倒れる。


『お主はその程度なのか。雑魚だ。』


一瞬でトロールの目の前に移動し、腕を切り落とす。
再生しようとするトロールを無視して切り続ける。
やがて、トロールは再生という行動は無駄だと察する。
目の前の敵は自分では太刀打ちできないと悟る。


「お、お前は一体何者だ!!」
『我が名はバエル。封印されし者。』


その名を聞いた途端、トロールは消滅する。


『ソロモン王よ……貴方はどこに。』


トロールの死を見届けた国王は、堂々とした態度でエクス(バエル)の目の前へ現れる。


「ほう?儂の使い魔をこうもあっさりと倒すとは。」
『貴様は癪に障る野郎だ。トドメはこいつ本人にやってもらうとするか。』


急に意識を取り戻したエクスは、倒れているトロールを見て驚愕する。


「まさかあいつ、あそこまで強いとは……しかも俺の魔力も回復されている。」


魔力を回復し、エクスは再度国王を睨む。


「貴様だけは絶対に殺す!!」

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