最弱が世界を救う。

しにん。

《暴食》10

「なっ!一体何が……」
 ベルゼバブは膝から崩れ落ちた。
「なんとか……はぁ、はぁ、作戦成功……」
2人はベルゼバブを倒すと同時に倒れ込む。
セレネは2人へ近づき笑顔で褒め称える。
「エクスさん。レインさん。私達の勝利です。本当にお疲れ様です。」
「今回は作戦勝ちって所があるけど、よくあんな作戦思いついたね。」
エクスとレインはセレネの作戦に従いベルゼバブを倒した。


その作戦は至ってシンプル。
ただ後ろを攻めただけである。
エクスがベルゼバブへ突っ走り、ベルゼバブの視線は一気にエクスに向かう。その瞬間を狙って、レインはエクスに付けていたマークを目印に転移魔法を使った。
岩がエクスにぶつかる瞬間にもう一度転移魔法を使い、次はベルゼバブの背後へ。
もちろん、ベルゼバブの背後に転移魔法を使おうとするとマークが必要だ。
だから、時間をかけバレないように背中にマークをつけた。バレてしまってはこの作戦は成功しなかった。


「まさか本当にうまくいくとは……でも本当に俺達って七大悪魔を倒したんだな。なんだか実感がわかないね。」
「いずれ実感がわくだろう。エクスくん、ここで満足してはダメだよ。私達は残りの6体も倒すんでしょ?」
レインはエクスが傲慢にならないように注意深く話す。
「もちろん。でも今度は、今回のようにうまくは行かない。だから俺は強くならなきゃいけない。」


今回の勝利はセレネとムシュのサポートがあってこその勝利だった。もちろん、ケルベロスを倒したリリーがいなかったらもっと酷い結末を生んでいただろう。


「それで、エクスくん。君はどうして戦いの最中に強くなったのだい?」
レインはふと感じたことをすぐに問いかける。
「あぁ、あれはなんか記憶の中でいろいろあったんだ。気を失っている間記憶の中の図書館にいたんだ。そこで───」
エクスはムシュのことをレインとセレネに説明する。
「そういや、お城でファントムが記憶がどうてらとか言ってたね。あれと関係はあるんだろうか?」
「んー、詳しくはわからない。何度かムシュに話しかけようとしたけどどうすればいいのかわからず……」
エクスがレインの質問を答えているとセレネはあることに気がつく。
「ベルゼバブの死体が光始めました。一体何が?」


急に発光し始めた死体は徐々に小さくなり、一つの石に変わっていった。
セレネは石へと近づく。
「石?ですかね。」
エクスは、はっとあることを思い出す。
「セレネ!恐らくその石はファントムが言っていた記憶の解除に使う石じゃないかな?」


リリーの呪いを解除した時、お城へ帰るとエクス達の前にファントムは現れた。
その際にエクスは記憶の封印の事を知らされた。
解除する方法は"七大悪魔を倒すと石が現れる。それを使え"と言っていた。
「とりあえず、ここは1度城へ帰りましょう。」
セレネは帰るように促した。
帰っている途中、3人はリリーの事を思い出し急いでリリーの元へ戻り、もう1度城に帰っていった。

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