最弱が世界を救う。

しにん。

《暴食》3

 怒りで我を忘れ勢いよくベルゼブブに突進するエクス。
当然力任せに剣を振るっても当たるはずがなかった。
「よくも……よくもレインを!!!許さねぇ!!」
「そんな遅い剣ですと私に当てることは愚か、相手にすらなりませんよ?」
 ベルゼブブはエクスの剣を読み全てを避ける。
 その圧倒的な実力差の前にエクスはどうすることも出来なかった。
「また俺が無力だったせいで誰かが傷ついてしまう……ごめんみんな……」
 心の中で呟いた瞬間エクスは力が抜け倒れ込んだ。
「エクスくん!!!!!」
 レインが叫ぶが応答がない……




(ここは……そうか俺死んだのか……)
 エクスの意識はとある図書館にあった。
 目の前には無数の本棚。見える限りではずっと本棚があった。
 エクスはとりあえず誰かいないか探してみることにした。
「誰かいないのかー?いたら返事してくれー」
 無情な程に声だけが響く。
 するといきなり少女が現れた。
 見た目はレインと背丈がそう変わらず、サラサラな金色の髪を持つ少女だった。
「君は?」
「……」
 少女は無言だった。何度も話しかけてみるが結果は同じだった。
「一体ここはどこなんだよ……それに俺は死んでるのか……?」
「ここは貴方の意識の中です。マスター。」
 突如少女は声を発した。
 いきなりの事で驚いてエクスは少女へ視線を向ける。
「意識の中……?それにマスター?」
 少女は読んでいた本を閉じてエクスに向き直る。
「詳しくはマスターの脳内の記憶の部分と説明したがよろしいでしょうか?」
 少女が言うにはここはエクスの脳内らしい。
 つまり本は記憶を記した物になるのだろうか。
「それで君名前は?」
「私に名前などありません。」
「そうか……なら俺が名付けてやろう。んー、じゃあムネモシュネから取ってモシュなんてどうかな?」
「マスターの意のままに」
「わかった、じゃ君のことはモシュと呼ぶね。それでモシュ、どうして俺はここに?」
「マスターは気絶しました。そこで死んでしまう前に少しお話があったので呼びました。」
 モシュは話があるとエクスを呼び出した。
 モシュは表情を変えずにエクスに告げる。
「マスターはこのままでは死にます。そこで私の力でマスターを強くしようと思います。」
「強く……何でも構わない。レインを守れる力を俺にくれ。頼む……」
「了解。」
 短い返事を聞いた瞬間エクスは目を覚ます。

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