最弱が世界を救う。

しにん。

修行。

 ついにエクスたちの冒険が始まろうと────


 してなかった。
「そんなんじゃダメ!もっと踏み込んでもっと力強く!その程度じゃ悪魔は倒せないよ!」
 城の庭には朝から大声が響いていた。
 エクスとレインは王女様からのお礼として少しの間城に住まわせて貰うことにした。
 とても広い庭があるためそこで剣術や様々な修行をするためだ。
「はぁっ……はぁっ……もうだめ……」
 エクスは疲れ果てて倒れた。
 修行を始めてまだ30分。人形を悪魔と見立てて剣を振ったりなどまだ特に何もしていなかった。
「エクスくんの弱さがよくわかったよ……」
 レインは苦笑いでエクスを見た。
「まだ1時間も経ってないのにそんなんじゃ悪魔を倒すとか無理だよ。」
 エクスはレインと出会う前から自己流だが剣を握っていた。(当時から体力がなく素振りだけで辞めていた。)
「エクスくんは自分の弱さについて考えたことはある?」
「弱さについて……?特に考えたことなかったな。」
 レインはその一言で顔から笑が消えた。
「そんなに弱いのに考えたことないって……っじゃ、私が考えたエクスくんの弱いところを伝えるね。一言一句聞き逃さないこと!いいね?」
「はい……」
 エクスはレインの迫力に気圧され縮こまる。
「まず一つ。体力が無さすぎる。何事をするにしても体力が無いと話にならない。そして二つ目、全身の筋力がない。この年頃の平均の筋力もないんじゃないの?からの三つ目、剣術がまるでなってない。ただ振るだけじゃ相手には当たらない。」
 レインは主に3つ弱さを語った。
 レインが言った3つの事は確実に的を得ている。
「言われてみれば確かに体力、筋力、剣術どれも無い……それじゃ最初の修行は体力強化ってことになるの?」
 エクスは恐る恐る聞いてみる。
「えぇ。そうなるね。まずは1日10km走ることから始めましょうか。10km走った後は筋トレをして筋力強化も忘れずに。」
 レインはこの一瞬でエクスの修行を思いついた。
 エクスはその事に驚き
「レインってほんと頭いいよね。」
「褒めても何も出ないわよ?」
「い、いや、ただ純粋に思ってて……」
 エクスは苦笑いして修行のメニューを確かめる。
「1日10km……慣れれば20km……これはハードだな……でもやるしかない!」
「心意気は素晴らしいよエクスくん!サボらずやるんだよ?」
「俺は強くならなきゃいけないからサボるなんてするわけないだろ?」
「うむ。よろしい、では頑張ってね。」
 レインはその場から立ち去った。




────暗い暗いどこかの建物の地下。
 仮面の男と白いドレスを着た仮面をつけた女の子が対峙していた。男はドレスの女の子に話しかける。瞬時に女の子は炎の剣を握る。
「私に何か用かね?"ルシファー"さんよ。」
「私の正体を知っているとは。お前は何者だ。いや、お前は人間か悪魔か。どっちだ?」
「私はどちらでもない。私は神だ。」
 仮面の男はそう言うと一瞬にしてその場から消えた。白いドレスの女の子は炎の剣を取り出したが逃げられてしまい大人しく収めた。
「あいつは一体……」

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