インセクト ケージ

内藤 涼

5話 絶望の産声II

朝陽の放った矢がバグの背中に突き刺さり噛み付いたタケルの腕から離れ悶え始める。
流れ出る体液の量を見るに致命傷でわなさそうだが動かなくなりこちらを見つめている。
[すまん助かった一旦引こう奴の成長速度は異常だ、恐らくもう弓による攻撃は効かん、俺の持ち合わせている装備も全て通用しなくなってしまった捕縛兵装も動きを完全に止めないと使えん]
タケルの確認した事象によるとこの新種は与えられた攻撃に対して即座に耐性を獲得するとの事だその為近隣住民をIcのシェルターに避難させドローンで監視をし対策を練るとの事だった。
[タケルさんこいつに使った兵装を教えて下さい]
なにか考えがあるのだろう朝陽は持ち合わせている道具を確認しながらタケルに尋ねる。
[凍結弾による攻撃とそれから神経ガスによる攻撃だ]
説明を受け朝陽がならば捕まえれるかもと言い始める。
先程も一度使ったが朝陽の持つアーチェリー、シャフト、アローヘッドには特別なカスタムが施されている。まずアローケースから矢を取り出すとシステムがオンラインになる、矢を放ちその後セカンドトリガーと呼ばれるトリガーを引く事によりアローヘッドに信号が送られ信号を受信したアローヘッドは付属した効果を発動すると言う流れになっている。その種類は言ってしまえばカスタム次第で無限なのだが、今回持ち合わせていたアローヘッドは散弾接射型、高圧電流型、可燃ガス散布型、玄関先で使った物が散弾接射型、先程タケルを助ける為に放った物が高圧電流型である。
朝陽の提案は簡単だったさっき背中に放った矢はまだセカンドトリガーを使っていないためそれを発動させ耐性を得る前に捕獲と言う流れだ。
[なるほどな了解したでわタイミングは君に任せるぞこちらのフレームは多少の電撃なら耐性があるから気にせずにやれ、千翼は失敗した場合に備えて"アレ"の準備をしろ最悪の場合は殺してしまって構わん]
即席のプランで不安の残る所だが行動を開始した。
タケルが石の如く動かないバグに接近して行く、タケルが背後に回り込み朝陽に合図をすると朝陽がトリガーを引いた。矢から雷の如き閃閃光と共に放電が始まるが、バグは苦しむそぶりも見せず硬直したままだ。
好機と見たのかタケルがバグに駆け寄り片方しか無い手錠の様な物を全ての足に付けていった。
取り付けが終わったらしい、タケルの顔色はスーツがフルフェイスな為分からないが、それでも分かってしまう程に安堵している様子だ。
[電磁拘束具の取り付けが完了したもう大丈夫だ。千翼 収容コンテナを解放してくれ]
タケル達の乗ってき車両の後方に積んであるコンテナの様な物のハッチが開くとタケルがバグを軽々と持ち上げる。先程の拘束具の機能なのだろうタケルは直接触れる事無くバグを宙に浮かせている様な状態だ。そのままバグをコンテナに収容した頃、別の武装した部隊が駆けつけた。どうやら事態の後始末をしてくれるらしい、朝陽達は女王が見当たらなかった事や兵隊に成り果てた人間を殺した事などを説明し近辺の安全を確認した所で解放され帰宅する事になった。

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