壊れた奴らに好かれる体質

あんころもちもち

法が届かない街。

 ここはアルバリィ。

 法が届かない場所なんて呼ばれている。といっても生まれた時からここに住んでいる私は法なんてあんまりわからないから、本当かどうか確かめられないけれど。

 ただ、ここでの歩き方を知らないよそ者が酷い目にあうのは本当。

 この場所に溶け込むこと。
 ここでの自分の存在を当たり前にすること。
 簡単なようで難しいこれができない者はどうなっても文句は言えない。

 なんせここにいるのは普通じゃない奴ら。普通じゃいられなかった奴ら。チャンスがあれば誰かを貶めようと狙っているから。そんなカモが歩いていたら喜んで近づいていく。

 ほら、あそこには暗闇で悲鳴さえ上げさせてもらえない女が男達に乱暴されている。
 あそこには口からよだれを垂らし、目を虚ろに、どこか幸せそうに笑っている男が座り込んでいる。
 あそこには小枝のような手足の子供達が鎖に繋がれてどこかへ運ばれていく。

 普通の街で見掛けたら誰かが慌てて警兵なんかに連絡して一件落着。もしくはヒーローが助けにはいるのだろうか。ハッピーエンドなんて夢物語の中でしか私は1度も聞いたことはないけれど。

 少しだけヒーローなんてものに会ってみたいななんて思いながら、私は歩きを緩めることも速めることもなく、そこを通り過ぎた。



 今日は特別な日。
 時間に少しでも遅れたらどんな目にあうかわからないもの。

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