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水乃流

カクヨムの収益化プログラム、みたいな

 10/10からカクヨムの収益化プロフラム「カクヨムロイヤルティプログラム」の事前登録がはじまりました。カクヨムロイヤルティプログラムは、小説閲覧ページに広告を掲載することで、その広告からの収益を作者に還元するしくみです。プログラム参加には、申し込みが必要です。
 同様の収益化プログラムは、他の小説サイトでも実施されていますが、大手である「カクヨム」が本格的な取り組みを始めることは、結構インパクトがあるのではないでしょうか。なお、プログラム導入に伴い、ユーザーアカウントの設定ページに[収益]タブが追加されています。

 表示される広告の売り上げ(クリック数は無関係)から3割をカクヨム運営が、残りを「カクヨムリワード」としてプログラム参加者で分割して配布されます。配布にあたっては、アドスコアというカクヨムが算出した数値が基準となります。アドスコアは、PV(ページビュー、閲覧数)だけでなく、各エピソードの文字数も勘案したものだそうで、少なくても多すぎても補正されるようです。細かい設定は非公開(公開の責任を負わない)となっています。私のエッセイでは、文字数が少ない(200~300文字)ものも少なくないので、アドスコア的には不利になるかもです。

 少し疑問なのは、プログラムの解説ページでにある「同一ユーザーの連続したアクセスは閲覧数から除外されます」という記述です。「連続したアクセス」というのは、同一エピソードに対して、ということなのでしょうか? もし、複数のエピソードに対しての連続したアクセス、つまり連続して読んでもらうことを指しているのなら、長編作品にが圧倒的に不利になるんですが。

 アドスコアに応じて分配されたリワードは、銀行振り込みで換金できます。換金できるのは3000円(3000リワード)以上で、換金にあたっては、200~300円の振込手数料が換金時に差し引かれます。問題なのは、リワードには有効期限があることです。リワードが付与された日から一年以内に換金しないと、リワードは無効になってしまいます。言い方を変えると、一年間で3000円分(手数料を引くと2800円分)のリワードが得られるような作者でなければ、このプログラムの恩恵に与ることができないということです。単純計算で、毎月250円分以上のアドスコアが必要となるわけで、これが多いか少ないかは、実際にリワードの付与(アドスコアの計算)が行われないとわかりません。私は無理な気がしてならない(;^_^A

 あっと、それから換金した場合には、確定申告が必要になります。雑収入になるのかな? 
 確定申告、やったことがない人は面倒かもしれませんが、昔と違って今はe-Taxで申告すれば簡単ですよ。マイナンバーカードが必要ですが、税務署の窓口に並ぶことを考えれば楽なものです。


 さて、ここからは推測。このプログラムでは、今後、広告以外の収益方法も検討中としています。思いつくのは、「note」の投げ銭システムのようなものですね。他の作者さんにリワードを贈ることができるようになるかも。その場合、読み専や未登録ユーザーはどうするの? という問題はありますが、無効になるくらいなら好きな作者さんに自分のリワードをあげるというのはいいかも。ただし、現時点では規約で第三者への譲渡や共有が禁止されています。

 また今回、「カクヨム」が収益化プログラムを導入した背景には、作者のモチベーションを維持・向上させるという意味合いのほかに、「カクヨム」自身の収益化が目的にあるのではないかと思います。ウェブサービスで収入を得るには、「なろう」がやっているように広告を入れる方法が簡単です。しかし、「カクヨム」はKADOKAWAが運営であるが故に、自社の広告はできても他社の広告は入れにくかったのでしょう。それがシンプルな見やすいページデザインに寄与していたのは事実ですが、そろそろウェブでも収益を上げておかないと、自社広告費の予算内では難しくなった、ということかなぁと。邪推ですが。

 ちなみに疑問に思う点がひとつ。なぜロイヤ“ル”ティなのでしょう? 英語表記だと“Loyalty”で、「忠誠」とか「忠義」とかそんな意味になります。「使用料」とか「印税」という意味であれば“Royalty”(王位という意味もありますが)、日本語だと「ロイヤ“リ”ティ」になるはずなんですよねぇ。つまり「カクヨムに忠誠を誓うプログラム」なのかと。冗談ですよ、冗談……。

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