創造した世界はとても大きかった。

トース豚

1~新たな道

(…ここは?)
気づくと俺は何もない、ただ空間が広がるところにいた。
(俺はあの通り魔に殺されたはず、夢か?いや、夢の中で寝るほど暇じゃないんだ、やっぱり俺は死んだのかな…)
そんなことを考える、でも、考えたところで何も変わらない、ただ俺は考えているようで本当は考えてはいなかった。そんなとき、
「ようこそ、死後の世界へ。貴方は先ほど、不幸にも心のない通り魔に殺されてしまいました。」
目の前には俺と同じくらいの大きさの女の人がいた。
(死後の世界…今目の前にいるのは案内人みたいな人かな。)
「私は案内人というよりはあなたの世界でいう神です。まあすることは変わりませんが。」
(俺は喋ってない、俺の思っていることがわかるのか、なんだか気持ち悪いな。)
「なら一時的に人の姿に戻しましょう。」
そういうと俺の体は光だし、今まで姿も確認できなかった魂は人の姿となった。
「どうですか?話すこともできるでしょう?」
「話せるよ、体も動かせる。それにしても俺が死んだって、母さんは…?」
「…今、貴方のもとに駆けつけていますよ、私は未来を司る神、メリス、貴方に新たな人生を与えし者。」 
「そうか…それにしても、俺に新たな人生?」
「そうです。嫌なら天国でも地獄でも、しかし、貴方は不幸にも殺されてしまった。これは普通にはない、新たな道なのです。」
新たな道、つまりは異世界転生のようなものか、勿論選択肢はひとつしかないだろう。だが、一つ、聞かなければいけないことがあった。
「俺の…俺の妹と父さんもその選択肢を受けたのか?なら、その二人はどこを選んだ。」
「それは答えられません。でも、貴方が思う人なら分かるのでは?」
「…そうだな。」
俺はもう覚悟を決めた。次こそは失敗しない。
「俺に新たな人生を与えてくれ!」
「分かりました。それでは新たな道に信頼と神の加護を…」
そういうと俺は泡のように消えていった。

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