追放された私を拾ったのは魔王だった為、仕方なく嫁になってあげた私はラグナロクにてスローライフを送りたいと思います

永遠ノ宮

第二十二話 ケルベロスのお散歩コースは要注意

「テト?私ちょっとケルちゃんのお散歩に行ってくるね」

「ケルベロスのお散歩?いいよ!いっておいでー!」

「アリアちゃん気をつけてちょうだいね?モンスターが出たらケルベロスちゃんの後ろに隠れてちょうだいね?」

「大丈夫ですよ!モンスターは朝そんなにいないですよ」


 私は朝の七時にケルちゃんの首輪についている鎖を外し一緒に外に出る。
 ケルちゃんは外の世界にワクワクしているのか尻尾をくるくる回しながら庭を飛び跳ねる。


「ケルちゃん嬉しそうね!じゃあ行こっか!」

「くぅぅぅん!」


 可愛い鳴き声を放ってケルちゃんは前を歩き出す。
 初めて見る景色にケルちゃんは首を左右に振りながら尻尾をパタパタとさせながら軽快なステップを踏む。
 街を抜けて海に行き、海の側の森に入るとケルちゃんはぶら下がっている木の実に飛びつく。
 

「ケルちゃん、果物好きね!私にも一個とってくれる?」


 頭を撫でてお願いすると、木に飛びついて大量の木の実を爪で根から断ち切り落としてくれた。
 その木の実は、いちごのようの赤いのに、味はみかんのような少し甘酸っぱくて不思議な果物で驚いた。
 ケルちゃんは欲しいと言わんばかりに口を開け私を見ている。
 ケルちゃんの開いた口に木の実をほりこむと嬉しそうに食べて鳴いた。
 私は散歩コースにちょうどいいと思い、森から屋敷の側まで抜けることのできる森道をケルちゃん先頭で進んでいく。
 少し進んだところでケルちゃんはピタッと止まって私をみた。
 辺りをすごく警戒しながらキョロキョロと見渡してケルちゃんが威嚇でなくとゴブリンの群れが現れた。


「美味そうな人間の女だぜ!食うか?生け捕りか?!」

「勝手に出てきて食うとか生け捕りとか物騒なこと言わないでよ、あなた達アホなの?」


物騒なことを言うゴブリンに私は少しイラついてアホと私からは想像できないこと言ってしまった。いや、私は結構イラつくとすぐにアホだのバカだの言ってしまう癖があるというだけで、常日頃からテトに言っているから口癖といいわけではないですよ?
 そんなことを言っても、ただの言い訳にしかすぎないのですが。


「俺達をアホだといったぞこの女!服ひん剥いてやる!」

「服をひん剥くなんて、絶対あんた達まともな教育受けてないでしょ!?」

「モンスターに人間のような学校とかないわ!」

「お父さん、お母さんからそういうことしたら捕まるって聞いてないの!?今時のモンスターはどうなってるよ!」

「お前わざとそんなキャラとってるのか?!それともただのバカなの?!天然なのか?!」

「バカでもキャラでもないわよ!天然でもない!」

「俺達は人間を襲って食うモンスターなんだ!警官兵とかには捕まらないの!」

「え?ゴブリンって人を食うの?!それはだめよ!せめて自分にしなさい!」

「この女話にならねー!やってまうぞ!」


 私は別にキャラん作っていたわけでも、バカなわけでもなく、天然でもないはずなのだが、なぜかゴブリンに怒られてしまった。
 しかも、人間を食べるなんて大嘘をつかれてしまうほど私はバカだと思われているみたいで腹がたった。
 ゴブリンは、大包丁を全員手に持ち私に向かって突っ込んできた。
 私は脅しでも嘘でもなんでも無くて本当にゴブリンは人間を食うモンスターなんだとこの時に気づいた。


 ワンッ!


 ケルちゃんが大声で吠えるとゴブリンは立ち止まって上を見上げる。
 さっきまで前にいたケルちゃんが飛び上がっていた。
 そのままの勢いでケルちゃんが着地をすると、地面にヒビが入り、そこから炎が燃え上がる。


「ケルベロスだとか聞いてないぞ!」

「フッフッフッ……ケルちゃん最強だね!」


 なんて、ケルちゃんの炎におびえて退散していくゴブリン背後に勝ち誇っている私は何もしてない。ましてや、ゴブリンにからかわれているだけと思い込み、人間を食うなんて信じなかった私は大マヌケである。
 そして私はケルちゃんの背中に乗って道を進み、屋敷についてから3泊4日で泊まりに来ている危ない神様、イシス様とアヌビス様と、バカな旦那のテトに散歩道での出来事を話した結果、大爆笑されちゃいました。


「くぅぅん!ワンッ!」

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