追放された私を拾ったのは魔王だった為、仕方なく嫁になってあげた私はラグナロクにてスローライフを送りたいと思います

永遠ノ宮

第二十話 子供

「まって、今テト……その子誰の子供って言ったの……?」

「私はテトお父様の娘です、アリアお母様」

「事情話すけど……ちょっと急だよね……アリアすまない!」 

「いや誰が産んだ子なの?!」

「僕だけど……」


 はぁ、もう私は訳がわからなくなってきて頭を抱えた。
 話すと少し長くなるけれど、二時間前に遡る。


ーーラグナロク 転移門前

 私はテトと今から魔界へテトのペットのケルベロスちゃんの様子を見に行くために転移門という世界を自由に転移できる異空間への入り口の前にいる。
 

「じゃあ、アリアいこうか」

「私、魔界の人たちからさけられないかな?」

「大丈夫だよ?神説書には魔界にすむ者はみな人間を嫌うと言うけど真反対で大好きだからね!」

「それなら安心だけど……」


 神説書とは、神の住む天界、悪魔の住む魔界のことについて色々と仮説と空想を並べて記されている書説。
 この書説を読んでいる人間からすれば、魔界に住む悪魔はみんな人間を嫌っていると思っているため、私もそう思っていた。
  テトは大丈夫だよ!と言いながら私の手を引いて、門へと入っていく。
 私も門に入り、ラグナロクに来たときのように異空間を抜けて魔界についた。
 

「テト……まんまね。溶岩と炎と骨ばかりね……」

「ここを抜けたら次は氷の都につくよ?そこに僕のケルベロスちゃんはいるからね!」


 テトが私の手を引いたまま、溶岩と炎の間を抜けていく。
 暑くて汗が吹き出してきて、視界がまつ毛についた汗によってぼんやりとして見えにくくなってきたところで今度は究極の寒さに襲われる。
 ついたよ!とテトが指をさした先には、何もかもが氷出てきているまんま氷の都!がどんと待ち構えていた。
 テトは空間移動のステルスで私も浮かしながら氷の都の真ん中にそびえ立つ氷の宮殿の三階にあるベランダに降りる。


「ヘル!ヘルー!僕だ!テトだー!」

「ヘル……?ヘルお父様だーー!わーーい!」

「お父様……?……どいうこと?」

「僕の子供のヘルだよ?」

「まって、今テト……その子誰の子って言ったの……?」

「私はテトお父様の娘です、アリアお母様」


 と、言う感じで今に至る。
 テトには前に奥さんがいたいの?もう頭くるくるな私にテトはペラペラと訳を話しだす。


「ヘルは僕が作り出したんだよ!ヘルは元々、魂だけ異空間に浮遊する霊魂を食べる神だったんだけど、たまたま異空間浮遊中のヘルを僕が見つけて実体化させてあげたんだ。だから僕はお父様で、それのお嫁さんだからアリアはお母様!」

「なるほどね……。理解したわテト……」

「さすが!そして、ヘルは寒いところでしか過ごせない、だから魔界の氷の都にあるここ氷の宮殿で氷の女王としているんだ!そして、ケルベロスをペットとして預けているんだ」

「じゃあ、私は切り替えなきゃね。……ヘルちゃん、私がお母様で大丈夫?」

「うん!アリアお母様がいいです!」


 とてもいい子で可愛くて、テトが実体化させたからか目はテトと同じで綺麗。
 お母様……。嬉しいけど、自分で産んでない分、色々と複雑だけど娘の存在、本当に結婚して夫婦になったみたい。少し微笑ましかった。


「アリアお母様、私が娘なのは嫌ですか?実の娘じゃないので」

「ううん、すごく嬉しいよ!お母様になったんだ!って少し喜びに浸っていたのよ」

「アリアは絶対にヘルを気に入ると思ったんだよね!アリアがお母さんか……いいね!家族がたくさんだね、ヘル!」


 テトがそう言うとヘルちゃんはとても喜びながら、はい!お父様!と喜んだ。
 私はヘルちゃんと氷の都をお散歩しようと誘うと、


「僕はほっていくのかい?!」

「テトも行きたいの?……仕方ないわね、家族みんなで行きましょう!」

「それでしたらケルベロスも呼びたいです。お父様、お母様」


 ヘルちゃんのお願いで、ケルちゃんを首輪から外し家族三人と一匹で氷の都を散歩し、氷の神ヒュラド様にお願いをして屋敷にの一角に氷の部屋を作ってもらい、そこにヘルちゃんとケルちゃんも住むことになり、ヒュラド様に氷の都の女王を変わってもらいました。


「ケルベロス、ラグナロクは久しぶりね。お父様、お母様とこれからはずっと一緒にいれるね」

「くぅぅぅん」

「あなたも嬉しいのね……明日は屋敷でたくさん遊ぼうね、ケルベロス」

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