パーティー追放されたのでパーティー結成してみたら

永遠ノ宮

一時撤退

勝算が完全に消え去った今、俺達にできることは何もなくなってしまった。
 俺が剣で防衛魔法を壊し、本体に剣を当てても軽く止められる。
 ユミソファが弱点を3つ同時に攻撃しても魔法を返してくる。
 ナズナちゃんの魔法技も全て無効にされる。
 フィルテンプは戦おうにも接近戦できる相手じゃないために動けない。


「勝ち目ないぞあんなあいて……」

「だから最初にいったでしょ?君たちはここで死ぬって!アハハハハハ!」


 終わった……。俺達じゃ勝てなかった……。
 そう思っていた時、遠くから声がした。
 その声はどんどん近づいてきて霧の奥から姿を現す。


「カインくーん!大丈夫かーい!」

「ベクトル!どうしてここに……」

「ヴァンパイアバードの魔力を感知して助けにきた!僕はヴァンパイアキラーだから」

「チッ!ヴァンパイアキラーの坊主か」

「カイン!大丈夫か!」

「ルータ!」
 
「カインー!きたじぇー!」

「ミーチェ!」


 ヴァンパイアキラーの仕事を専門する特殊集団「薔薇十字団」に所属する、俺のことをよく知る育成所の頃からの友、ベクトル、ルータ、ミーチェが助けに来てくれた。
 ヴァンパイアキラーは、ヴァンパイアから放たれる特殊な音波を感知して場所を特定できる特化能力をもつ。
 だからここにヴァンパイアバードがいることがわかったため退治にしに来たという。
 ただし、ヴァンパイアバードにはヴァンパイアキラーの特殊集団「薔薇十字団」のメンバーでも勝ち目はない。
 そんな簡単に倒せる相手ではないからだ。
 

「カインくん!ここは一時引くよ!」

「逃げれないぞ?ここはあいつが作り出した幻術の中、あいつのテリトリーだ!」

「忘れたのかよ、カイン!ミーチェのことを!」

「うちの幻術返しは誰でも通じるじょー!「アートリダイアル」!!」


 ミーチェの能力は2つあり、1つはヴァンパイアキラーなら誰もがもつ十字架使用能力、もう1つは今使った幻術返しだ。
 幻術をかけられた状態で幻術返しを使うと、敵がどれだけ強力な幻術を使っていても強さ問わず、全てを跳ね返す。
 そして、ミーチェに触れていればみんな一緒に抜け出せるということだ。
 そして俺達は幻術から一時抜け出して、街の真ん中で今の状況を全く気にしてないかのようにリズムを刻みながら水を吹き上げる噴水の中に落ちた。
 俺達はその足で近くの酒場に入り、服を乾かしながら作戦会議をした。


「あいつは不死身だけど、それはヴァンパイアの力だ。つまり、十字と炎には弱い!」 

「だがあいつの翼からでる強風は炎を吹き飛ばすぞ?」

「そこは大丈夫だじょー!翼をユミソファちゃんの魔法技で止めるだけだじぇ!あいつはそれくらいなら何もせずにほっておくからだじぇ!」

「それはそうですね。あいつは攻撃すらもほっておきますものね」


 ユミソファはいつものユミソファに戻っていて、タイアードレイブは消えていた。
 

「カインと、ネメシス六世様には混合一撃奥義を使ってもらいます。身体に当たれば再生不可能確実の一撃技「十字炎一刀」です」

「それには、ユミソファ様が動きをとめ、ナズナさんが真正面から突っ込んで防衛魔法を壊す、そして現れる生身の身体を僕らが三角陣で囲み動き制御する。そして「十字炎一刀」を撃ち込む」


 作戦会議は五時間にも及んだ。
 その間にヴァンパイアバードが街を襲いに来る可能性もあったが街は昼だ。
 そんなことをすれば日光で身体は燃え上がる。
 そしてユミソファの魔力も全快し、一週間以上も出続けている迷いの森に再び俺達は足を踏み入れた。
 律儀に岩の上で待つヴァンパイアバードのもとへ戻り、俺達はまた、最強の化物を相手に戦うために剣をぬいた。

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