美女エルフの異世界道具屋で宝石職人してます
『天美法具店』の店主の後悔の始まり 1
ドスン!
大きな重い物がどこからか落ちてきた音が、その衝撃の振動と共に起きた。
それは『天美法具店』の店主の眠りを妨げた。
「うおっ!」
店主は驚いて布団から飛び起きる。目覚まし時計の針は明け方の五時を越えた時間を指し示していた。
大きな縦揺れ。誰でも地震を想定するだろう。
しかし揺れは一回きり。
枕元に置いてあるスマートフォンを手にし、地震の情報を急いで探しながら『天美法具店』の二階にある彼の寝室の窓から外の様子を見る。
店の入り口は、車が何とかすれ違うことが出来るくらいの幅の道路に面している。
昔は、そこが家屋や店舗が立ち並ぶ目抜き通りでその町内はこの町の中心地だったが、人口の過疎化のせいか空き家が目立ち始めた。
町の再開発計画により、それらを更地にして新たに道路が作られた。
『天美法具店』は交通量の多いその新しい道路と、かつては賑わいを見せたが今では車はほとんど通ることのない入口の前を通る道路の交差点の角に位置する形になった。
店主のの住まいは店舗の二階と三階。寝室は二階にあり、その窓は『天美法具店』の入り口のすぐ上にある。
外はようやく朝日が昇り始める。新しい道路を走る車は、走り去っていく一台か二台しかいない。周りは普段の朝と変わらず、静まり返っている。振動を感じたのは店主だけのようだ。
店主はいつも、午前六時頃に起きている。だが体調がすこぶるいい時は早く目が覚めることもある。
本当に何でもない一日の朝の風景。ただ一点、店の入り口の隣のショーウィンドウの前に大きな塊と誰かが地面に座り込んでいることを除いては。
店主は真っ先に、店の入り口や窓に損害があるかどうかを心配した。
寝間着姿のまま急いで一階に駆け下り店の入り口の施錠を外し外に出る。
一番心配していたはずの入り口の自動ドアのガラス戸の外側よりも先に店主の目に入ったのは、道路でかがみこんでいる金色の長い髪の女性。片手で自分の尻をさすりながら顔をしかめている。
ドアや窓の破損よりも気になった彼女の存在。普通の美的センスを持っている者ならば誰もが目を奪われる顔つき。店主も例外ではなかった。
それと同時に彼女の着ている衣類も目を惹いた。
どこかの民族衣装か何かという第一印象を店長に与えた彼女の服装は、首からくるぶしの上までを覆った、緑を主とした色の一枚のマントに袖の部分がつけられたようなもの。
もう片方の手には、いくつかの種類の宝石が埋め込まれている木製の杖が抱えられていた。それはまるで西洋の昔話に出てくる魔女の持ち物を連想させた。
金髪は地毛のようで、瞳の色も、水色のような珍しい色をしている。
その女性はどこの誰かは分からないが、自分の店の前で騒ぎを起こされてほしくはない。
店主は注意しようと近寄るがその女性から異質な雰囲気を感じ、近づくにつれ次第にそれが強くなっていく。
「▽●×◇……」
店主に気付いた彼女は顔をしかめて何かを訴えている。泣きそうにも見えるその顔は、体のどこかを痛めたように見えるが、店主は彼女の言う言葉が理解できない。
「何で外国人がこんな時間にこんなところで……。それとこれは……」
そして次に目に入ったのは、彼女の周りに散らばった、大小さまざまな大きさの宝石と思しきもの。
「そうだ! 窓は……って、なんだこりゃ?!」
店内からは高額で大きな仏壇の背中があるため、窓の外に何があるかはわからなかったが、それを見せまいとするかのように窓よりも大きな透明な塊がその外にあった。一見彼女の周りに散らばっている物と同じ種類の石と思われた。
店主は、自分が感じた地震の原因はおそらくこれが落ちて来たのだろうと考えた。しかしこんな重そうで大きな塊を落とす者がどこに存在するのか。
しかも地面には亀裂やへこみがない。痛そうにしている女性との関連も何とも言えない。
よその国の人間が誰かに追われてるということも考えられた。もしそうならば警察を呼ぶのが一番無難だが、この大きな塊を撤去してくれるとは限らない。
それとこの女性の態度。追われているなら誰を見かけてもまず逃げるだろう。店主の顔を見てからは不安そうにあちらこちらを観察している彼女。迷子になった子供が、見覚えのない周りの風景を見るような仕草に似ている。
「あんた、どうした? どこか痛めたか? 湿布くらいならあるぞ。名前は? この石はあんたが持ってきたのか?」
彼女に質問攻めをする店主。
だが返ってくる答えは
「※◎\〒……」
先ほどの言葉と言い今の言葉と言い、店主には聞き覚えのない言葉が返ってくるだけであった。
大きな重い物がどこからか落ちてきた音が、その衝撃の振動と共に起きた。
それは『天美法具店』の店主の眠りを妨げた。
「うおっ!」
店主は驚いて布団から飛び起きる。目覚まし時計の針は明け方の五時を越えた時間を指し示していた。
大きな縦揺れ。誰でも地震を想定するだろう。
しかし揺れは一回きり。
枕元に置いてあるスマートフォンを手にし、地震の情報を急いで探しながら『天美法具店』の二階にある彼の寝室の窓から外の様子を見る。
店の入り口は、車が何とかすれ違うことが出来るくらいの幅の道路に面している。
昔は、そこが家屋や店舗が立ち並ぶ目抜き通りでその町内はこの町の中心地だったが、人口の過疎化のせいか空き家が目立ち始めた。
町の再開発計画により、それらを更地にして新たに道路が作られた。
『天美法具店』は交通量の多いその新しい道路と、かつては賑わいを見せたが今では車はほとんど通ることのない入口の前を通る道路の交差点の角に位置する形になった。
店主のの住まいは店舗の二階と三階。寝室は二階にあり、その窓は『天美法具店』の入り口のすぐ上にある。
外はようやく朝日が昇り始める。新しい道路を走る車は、走り去っていく一台か二台しかいない。周りは普段の朝と変わらず、静まり返っている。振動を感じたのは店主だけのようだ。
店主はいつも、午前六時頃に起きている。だが体調がすこぶるいい時は早く目が覚めることもある。
本当に何でもない一日の朝の風景。ただ一点、店の入り口の隣のショーウィンドウの前に大きな塊と誰かが地面に座り込んでいることを除いては。
店主は真っ先に、店の入り口や窓に損害があるかどうかを心配した。
寝間着姿のまま急いで一階に駆け下り店の入り口の施錠を外し外に出る。
一番心配していたはずの入り口の自動ドアのガラス戸の外側よりも先に店主の目に入ったのは、道路でかがみこんでいる金色の長い髪の女性。片手で自分の尻をさすりながら顔をしかめている。
ドアや窓の破損よりも気になった彼女の存在。普通の美的センスを持っている者ならば誰もが目を奪われる顔つき。店主も例外ではなかった。
それと同時に彼女の着ている衣類も目を惹いた。
どこかの民族衣装か何かという第一印象を店長に与えた彼女の服装は、首からくるぶしの上までを覆った、緑を主とした色の一枚のマントに袖の部分がつけられたようなもの。
もう片方の手には、いくつかの種類の宝石が埋め込まれている木製の杖が抱えられていた。それはまるで西洋の昔話に出てくる魔女の持ち物を連想させた。
金髪は地毛のようで、瞳の色も、水色のような珍しい色をしている。
その女性はどこの誰かは分からないが、自分の店の前で騒ぎを起こされてほしくはない。
店主は注意しようと近寄るがその女性から異質な雰囲気を感じ、近づくにつれ次第にそれが強くなっていく。
「▽●×◇……」
店主に気付いた彼女は顔をしかめて何かを訴えている。泣きそうにも見えるその顔は、体のどこかを痛めたように見えるが、店主は彼女の言う言葉が理解できない。
「何で外国人がこんな時間にこんなところで……。それとこれは……」
そして次に目に入ったのは、彼女の周りに散らばった、大小さまざまな大きさの宝石と思しきもの。
「そうだ! 窓は……って、なんだこりゃ?!」
店内からは高額で大きな仏壇の背中があるため、窓の外に何があるかはわからなかったが、それを見せまいとするかのように窓よりも大きな透明な塊がその外にあった。一見彼女の周りに散らばっている物と同じ種類の石と思われた。
店主は、自分が感じた地震の原因はおそらくこれが落ちて来たのだろうと考えた。しかしこんな重そうで大きな塊を落とす者がどこに存在するのか。
しかも地面には亀裂やへこみがない。痛そうにしている女性との関連も何とも言えない。
よその国の人間が誰かに追われてるということも考えられた。もしそうならば警察を呼ぶのが一番無難だが、この大きな塊を撤去してくれるとは限らない。
それとこの女性の態度。追われているなら誰を見かけてもまず逃げるだろう。店主の顔を見てからは不安そうにあちらこちらを観察している彼女。迷子になった子供が、見覚えのない周りの風景を見るような仕草に似ている。
「あんた、どうした? どこか痛めたか? 湿布くらいならあるぞ。名前は? この石はあんたが持ってきたのか?」
彼女に質問攻めをする店主。
だが返ってくる答えは
「※◎\〒……」
先ほどの言葉と言い今の言葉と言い、店主には聞き覚えのない言葉が返ってくるだけであった。
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