未知日々 (ミチヒビ)
続く日々
◇続く日々◇
光がその場一体を包み込んだ。
その数秒たった中、
「おい、眼鏡」
大男は今、一人の男に背負われていた。
ボサボサの髪に眼鏡をかけ、紳士的な表情をしたその男は宙に足をつけ、跳ぶように光が未だ輝き続ける場から遠ざかっている。
「俺を早くあそこに」
「黙れ。貴様のレギアは当分は使えないだろう」
男は大男の腰に見える小さな巻物を見る。
その巻物が大男のレギアなのだろう、大男は舌打ちをし、未だ輝き続ける光を睨んだ。
そして、思う。
あの時、あそこにいたら俺をどうなっていた?
大男はもう一度、舌打ちをし、男に視線を戻そうとした。
だが、男は直後。
「ッ……もう来たのか」
「は?」
急降下で地面に向かって宙を蹴った。
その刹那。
ガッ!!と音と共に、
今までそこに浮いていた雲が切り裂かれた。
その光景に唖然とする大男。
一方、男は舌打ちをし、自らの右手を空に向け、
「シルバァリア」
一言。
「ワイバーン!!」
その瞬間。
次元をねじ曲げその空間から鋭い爪と牙、青き翼、黄色の瞳と、
この世界の理からはみ出たドラゴンが姿を現した。
「行け」
そして、男はドラゴンにそう言い残し、再び走り出す。
「おいおい、何焦ってんだよ」
「黙れ」
おかしいな、と大男は男の行動に疑問に思った。
普段なら紳士とまではいかないが冷静な人間のはずの男だった。
だが、今。
その冷静さが全く見えない。
何故だ、と大男は疑問を募らせる。
そして、ふと大男はさっき後ろ飛ばしたドラゴンに視線を向けた。
その瞬間。
大男は理解した。
男が何故、こんなにも焦っていたのか。
翼を広げ、ドラゴンがまっしぐらに前方を飛ぶ中。
スタッと、
一人の男が地面に足を着けた。
「グギャァァァァァ!!」
ドラゴンは咆哮を出しながらその男に向かって進む。
男は片手に握る。鋭く光る漆黒の刀を持ち、
「攻式」
その一言で、その場一体を殺気で支配させた。
そして、
「奥義」
腕を横から一閃に振り。
「黒羽」
男。
風霧 新はその空間を黒き羽根で切り裂いた。
「……逃げたか」
新は腰に手をつけ息を吐いた。
正確にいうと、ドラゴンを消すのに集中しすぎて、あの二人組を見失ったのだ。
「あー、それにしてもまだ腹がいたい……」
新は腹をすさり、昨日のあの悪夢に肩を震わせた。
しかし、今はそんなことは後回し。
新は足を動かし、
「まったく、無茶しやがって」
目の前の電柱柱に二人仲良く寝そべる。
田中 桜。
如月 光夜。
その二人の前に立った。
そして、新は光夜に向かって、
「よくやったよ、お前」
笑ったのだった。
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