季節高校生
サバイバル 2
三チーム。
A、B、C、と分かれた人数で水鉄砲を手に水を撃ち合い、チーム分けの頭文字ABCが書かれたゼッケンに貼られた白い紙が濡れればアウトとなる。
さらに、撃ち取られた人は一旦は広場中央に戻り、そこから、自身を撃った人のチームの元に入る。
と、いった物だ。
だから、当初から一人集中放火はない。
……とは思う。
「結局、一人かよ」
藪笠は今、一人茂みの影に隠れている。
体には白い紙が貼られたゼッケンと手には小さな水鉄砲が握られている。
ゲーム開始後、直ぐにグループとはぐれてしまった。
「………………はぁ」
茂みの影からは、辺りを見渡すと、微かに水鉄砲を持った人の姿が見える。
迂闊に出て撃たれてもいいが、さっきから見える男子のほとんどの目が血走って見えた。
……絶対に狙ってるよな、俺のこと。
「「はぁ…………」」
溜め息が溢れる。
…………………………………………………………………は?
今、吐かれた溜め息が重なった。
しかも、直ぐ側だ。
視線を聞こえてきた場所に向ける。
と、そこには、
「…………………」
少し大きめの水鉄砲を手に持つ、汗を頬に垂らした鍵谷真木の姿がそこにあった。
「…………………」
「…………………」
二つの視線が重なる。
確か、島秋と二人で開始そうそう行ったはずだったと思ったが。
と、不意に離れた場所を歩いていた二人のB班男子の声が聞こえてきた。
「なぁ、さっき鍵谷さんたちを狙った時」
「ああ、島秋さん。囮に使われたよな」
「裏切り者!! って島秋さん涙目だったし」
「あれ、後で仕返しされても仕方がないよな」
……まぁ、触らぬ鬼に祟りなしってことで、と笑いながら去っていく男たち。
「…………………」
鍵谷の表情が固まっている。
視線も、こちらに合わそうとしない。
後、目も泳いでいるし……。
「……お前」
「え、えと。別に囮にしようとはしてなかったの。た、たまたま」
「……………」
「………ッ、すみぃませぇん」
謝る鍵谷。
こちらに謝られても仕方がないのだが。
溜め息を重く吐く藪笠だった。
藪笠たちがいる場所から少し離れた地点。
そこではABグループが何やら手を組み、話し合っていた。
さらにいえば、その中心には浜崎の姿が。
「いい? 藪笠だけ残して後を先に潰すのよ」
「……あの、浜崎さん。なんでそんな手間を」
「アイツ、ああ見えて本気で体動かしてないのよ。私が竹刀を降り下ろしても、コケにしたように避けて避けて避けて!」
「ぅ………浜崎さん、何か怒って」
「あのバカを仕留めるのにいいきかいなのよ。だから今日は皆、アイツにやりたい放題やるわよ」
くっくっくっ…、と口元を吊り上げ笑みを浮かべる浜崎。
……彼女を敵にしてはいけない。
この場にいた皆の考えが一致した。
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