季節高校生
悩みと追い詰められて?
「うー」
悩む。
鍵谷真木は今、頭を抑え唸っていた。
今、鍵谷は教室の隅っこの席で座っている。
そして、さらにいうとある一枚の紙を睨んでいた。
それはあくまでも普通の生徒なら貰うはずの、
「普通はこんなの貰わないでしょ」
そこで、浜崎のキツいお言葉。
「む、もっ貰うよ!」
「いや、普通に学園生活を送ってたら貰わないわよ」
それも、と浜崎は続け、
「赤点注意の警告書なんて」
うぅ、と気まずい表情になる鍵谷。
普段から学校の中で有名な鍵谷だったが、ただ一つ欠点といえる物があった。
そう、それは『勉強』。
男性教師たちにとってもそんな鍵谷を助けてやりたいと思っていた。
だが、女性教師たちからのその冷酷な視線による監視により動くことができず、こういう形で鍵谷に今の自分の状況を理解してもらおう、とした。
そして、今にいたるわけなのだが。
「玲奈、何とかならない?」
「無理」
「ちょこっと。ちょこっとだけ教えて」
「その言葉は聞きあきた」
全拒否を貫く、浜崎。
肩を落とし、大きな溜め息を吐く鍵谷は涙目な目線でチラリと浜崎の顔を除いた。
すると、さっきから会話していた浜崎は全くこちらを見ていなかった。
じー、と浜崎は向こうの席を見ている。
何見てるの、と視線を向こうに向けるとそこには、
「だ……大丈夫、籔笠君」
「む……無理……」
今にも倒れそうな籔笠と、手にジュースを持った島秋の姿があった。
(…いいな………花は)
島秋花は浜崎までとは言わなくても、成績は優秀だった。
そう、見た目からは全く想像できないくらいに。
浜崎と同じように茫然とその光景を眺める鍵谷。
すると、その時、
「ねぇ、真木」
「え?……な、何?」
籔笠たちを見ていたことを隠そうとして苦笑いをする鍵谷。
そして、そんな彼女に浜崎は口元を緩ませ、
「明日休み、勉強教えてあげるからアンタの家に行ってもいい?」
……………………。
何だろう、物凄く嫌な予感がする。
彼女からの言葉に鍵谷は息を飲み込む。
もし、『いや』と答えたらどんな目に会わされるか…。
「い、いいよ…」
しぶしぶ、眉を潜めながら浜崎の提案を了解する鍵谷。
そして、その返事をもらった浜崎はニコッと笑ったのだった。
翌日。
「おはよう、真木ちゃん!」
「……………」
「ふふ♪」
何だろう、何で花まで一緒にいるのだろう。
玄関の前で額に手をあてる鍵谷。
そして、浜崎にまさかと思いながら尋ねる。
「ねぇ、玲奈」
「何?」
「まさかと思うけど、アイツも呼んでたりしないよね?」
「アイツ?誰のこと?」
「…………」
まぁいいじゃない、と笑いながらかってに家に上がる浜崎。
鍵谷はそんな浜崎を睨みながら、思った。
(信用できないぃぃぃぃ!!!)
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