金髪、青目の美人エルフに転生!
第百二十五話 私、らしく?
進んで行っても、もうほとんど人はいなかった。
そのまま、普通に、何事も無く5階、魔王がいるであろう部屋にたどり着いた。
 ちなみに、ハリケーンが吹き飛ばしていった所は、アルラウネたちに蔓を出して運んで貰った。
「よし、準備は良いね?」
「大丈夫よぉ、ソフィ」
「行くぞ!」
扉を蹴破ると、そこには1人の悪魔がいた。
部屋の半分はカーテンで仕切られている。この向こうに、魔王が居るのだろう。
「なっ?! コンチータ?!」
「残念じゃ。わらわがまたお主らと戦う事になるとはな」
どうして……。いや、分かっていた。悪魔って言うのは、魔族の兼族。
魔族と戦うってことは、悪魔を敵に回すことでもある。ジェイドを召喚した私は、結構矛盾したことしてるわけ。
コンチータは、大きな羽を広げて魔力を溜め始めた。殺る気、か。
「ソフィア様、私に任せて下さいませんか? 決着を、つけたい」
「ふっ……。わらわに勝てるとでも思っているのか?」
「もう、あの時のひよっこではないのでね」
ジェイドは剣を構えて、ニヤリと笑う。こうやって見ると、魔族そっくりだ。
コンチータも、それを見ると、前と同じ、赤い魔石の杖を出す。
「ジェイド、平気なの?」
「もちろんです。任せて下さい」
「わらわも負ける気などない。本気で行かせて貰うぞ!」
先に動いたのはコンチータ。杖の先から真っ赤な光線を出した。被害を最小限に抑えるため、ジェイドはそれを避けるのではなくはじき返した。
ジェイドの振った剣はコンチータには当たらない。けど、余波が当たっただけで吹き飛ばされそうだ。
普通の兵士の戦いは、みんなが口々に呪文を詠唱するから騒がしい。
だからといって、ベテランの人の戦いが静か、ってわけでもない。
無詠唱だから、それは静かだけど、魔法によって生み出される音は大きい。水の音とか、雷の音とかは、強い魔法ほど大きくなるし。
それに加えて、木が倒れたり、壁が消えたり、装飾品が壊れたり、酷ければ家一つなくなったりする。そういう音も結構だ。
という事で、2人の戦いも激しいものだ。カーテンが破れないのは、何か、特殊な布だからなのだろう。
実際、窓ガラスはないし、壁もほとんど吹き飛んでるし、装飾品が壊れてる。良いんだろうか?
と。コンチータの魔法が、ジェイドの羽を貫いた。
ジェイドは悲鳴はあげなかった。が、痛そうな顔はした。今のはまずい、悪魔魔法だ。
悪魔魔法で悪魔の羽、尻尾、爪、牙が傷ついた時、回復魔法では癒せない。一週間経つと、何事もなかったかのようになるらしいけど。
だから、この羽は、しばらく治らない。強い痛みを伴って、普通の戦いなど、出来るはずがない。
コンチータが勝ってしまうかと、みんなが思った。
だけど、ジェイドは。勝てると信じ、油断したコンチータに向かって剣を振り降ろしていた。真っ赤な血が飛び散る。
「ジェイド!」
「大丈夫、殺しませんから、ソフィア様……。安心して下さい」
「な、何故……?!」
コンチータには、『敵を殺さない』という事が理解できなかったようだ。
「私は、ソフィア様と約束してます。無駄に人を殺すことはできません」
「でも、わらわは! お主を殺そうとしてた!」
「関係ありません」
ジェイド……。嬉しいなぁ、私の言っていた事、ちゃんと守ってくれたんだね。
無駄に人を傷つける必要はない。それが、敵だったとしても。もし、手加減できるなら。
コンチータは、泣きながらジェイドを見つめていた。そんなコンチータに、ジェイドは回復魔法をかける。
私は安心して、そこから目を離した。その目に飛び込んできたのは……。
「そ、ソフィア様!」
私の立っていたところに、何かの魔法が放たれた。
空中に、ダークエルフが立っているのが見えるな。魔法によって、私は宙に放り出される。
ジェイドとコンチータの戦いで、壁が無い。だから、そのまま下に落ちていく。
どうやら、下は森になっているみたいだ。ああ、痛いだろうなぁ。生きてられるのかなぁ?
なんて思っていたら。ジェイドがその場から飛び降りた。
傷ついた羽では、飛ぶ事は出来ない。それでも、私を庇うように抱きしめて、そのまま……。
「ソフィ! ジェイド!」
バキバキと枝が折れて、下に、下にと落ちていく。でも、痛くない。全部、ジェイドが守ってくれてるから。
ジェイドの事が心配だけど、ジェイドは私を離してくれない。悪魔の力って強いから、私にはどうもできないし。
いや、本気でやったらいけるかもね。本気を出した事はないし。少なくとも、この状態じゃ無理だ。
下まで落ちきると、ジェイドはようやく離してくれた。初めてジェイドの姿が見えるようになる。
「馬鹿……。私をそこまで守る価値なんて、あるはずがない」
「何言ってるんですか? 私にとっては、大切な人なのですよ」
羽どころの問題ではない。あちこちひっかき傷で、血が流れている。それでも、ジェイドは笑って私の頭を撫でてくれた。
「私は平気です。ソフィア様が、無事だったら」
「もう……。あんまり心配させないでよ、まったくっ!」
ああ、悔しいな。ジェイドには勝てないよ。零れ落ちた涙を拭ってから、ジェイドにそっと触れて回復魔法をかける。
「ソフィ! ジェイド! 無事か?!」
「あ、マリ。うん、平気だよ! いま行くね!」
私はジェイドを巻き込んで、移動魔法で5階に戻る。
落ちてる途中では、移動魔法は使えないしね。これが一番ベストなんだろう。
「ソフィ……。悪いけど、ダークエルフは消えてた。もう追う事は出来ない。だから……。行くよ」
「うん、準備は出来てる」
「あ、あの、ソフィア様!」
カーテンを開けようとした時。ジェイドが止めた。私たちの視線が集中して、ジェイドはそっと視線を落とす。
「分かってます、魔王様が、悪いことしてるの。でも……」
「出来れば、ソフィア様らしく、許してあげて欲しいんです」
そのまま、普通に、何事も無く5階、魔王がいるであろう部屋にたどり着いた。
 ちなみに、ハリケーンが吹き飛ばしていった所は、アルラウネたちに蔓を出して運んで貰った。
「よし、準備は良いね?」
「大丈夫よぉ、ソフィ」
「行くぞ!」
扉を蹴破ると、そこには1人の悪魔がいた。
部屋の半分はカーテンで仕切られている。この向こうに、魔王が居るのだろう。
「なっ?! コンチータ?!」
「残念じゃ。わらわがまたお主らと戦う事になるとはな」
どうして……。いや、分かっていた。悪魔って言うのは、魔族の兼族。
魔族と戦うってことは、悪魔を敵に回すことでもある。ジェイドを召喚した私は、結構矛盾したことしてるわけ。
コンチータは、大きな羽を広げて魔力を溜め始めた。殺る気、か。
「ソフィア様、私に任せて下さいませんか? 決着を、つけたい」
「ふっ……。わらわに勝てるとでも思っているのか?」
「もう、あの時のひよっこではないのでね」
ジェイドは剣を構えて、ニヤリと笑う。こうやって見ると、魔族そっくりだ。
コンチータも、それを見ると、前と同じ、赤い魔石の杖を出す。
「ジェイド、平気なの?」
「もちろんです。任せて下さい」
「わらわも負ける気などない。本気で行かせて貰うぞ!」
先に動いたのはコンチータ。杖の先から真っ赤な光線を出した。被害を最小限に抑えるため、ジェイドはそれを避けるのではなくはじき返した。
ジェイドの振った剣はコンチータには当たらない。けど、余波が当たっただけで吹き飛ばされそうだ。
普通の兵士の戦いは、みんなが口々に呪文を詠唱するから騒がしい。
だからといって、ベテランの人の戦いが静か、ってわけでもない。
無詠唱だから、それは静かだけど、魔法によって生み出される音は大きい。水の音とか、雷の音とかは、強い魔法ほど大きくなるし。
それに加えて、木が倒れたり、壁が消えたり、装飾品が壊れたり、酷ければ家一つなくなったりする。そういう音も結構だ。
という事で、2人の戦いも激しいものだ。カーテンが破れないのは、何か、特殊な布だからなのだろう。
実際、窓ガラスはないし、壁もほとんど吹き飛んでるし、装飾品が壊れてる。良いんだろうか?
と。コンチータの魔法が、ジェイドの羽を貫いた。
ジェイドは悲鳴はあげなかった。が、痛そうな顔はした。今のはまずい、悪魔魔法だ。
悪魔魔法で悪魔の羽、尻尾、爪、牙が傷ついた時、回復魔法では癒せない。一週間経つと、何事もなかったかのようになるらしいけど。
だから、この羽は、しばらく治らない。強い痛みを伴って、普通の戦いなど、出来るはずがない。
コンチータが勝ってしまうかと、みんなが思った。
だけど、ジェイドは。勝てると信じ、油断したコンチータに向かって剣を振り降ろしていた。真っ赤な血が飛び散る。
「ジェイド!」
「大丈夫、殺しませんから、ソフィア様……。安心して下さい」
「な、何故……?!」
コンチータには、『敵を殺さない』という事が理解できなかったようだ。
「私は、ソフィア様と約束してます。無駄に人を殺すことはできません」
「でも、わらわは! お主を殺そうとしてた!」
「関係ありません」
ジェイド……。嬉しいなぁ、私の言っていた事、ちゃんと守ってくれたんだね。
無駄に人を傷つける必要はない。それが、敵だったとしても。もし、手加減できるなら。
コンチータは、泣きながらジェイドを見つめていた。そんなコンチータに、ジェイドは回復魔法をかける。
私は安心して、そこから目を離した。その目に飛び込んできたのは……。
「そ、ソフィア様!」
私の立っていたところに、何かの魔法が放たれた。
空中に、ダークエルフが立っているのが見えるな。魔法によって、私は宙に放り出される。
ジェイドとコンチータの戦いで、壁が無い。だから、そのまま下に落ちていく。
どうやら、下は森になっているみたいだ。ああ、痛いだろうなぁ。生きてられるのかなぁ?
なんて思っていたら。ジェイドがその場から飛び降りた。
傷ついた羽では、飛ぶ事は出来ない。それでも、私を庇うように抱きしめて、そのまま……。
「ソフィ! ジェイド!」
バキバキと枝が折れて、下に、下にと落ちていく。でも、痛くない。全部、ジェイドが守ってくれてるから。
ジェイドの事が心配だけど、ジェイドは私を離してくれない。悪魔の力って強いから、私にはどうもできないし。
いや、本気でやったらいけるかもね。本気を出した事はないし。少なくとも、この状態じゃ無理だ。
下まで落ちきると、ジェイドはようやく離してくれた。初めてジェイドの姿が見えるようになる。
「馬鹿……。私をそこまで守る価値なんて、あるはずがない」
「何言ってるんですか? 私にとっては、大切な人なのですよ」
羽どころの問題ではない。あちこちひっかき傷で、血が流れている。それでも、ジェイドは笑って私の頭を撫でてくれた。
「私は平気です。ソフィア様が、無事だったら」
「もう……。あんまり心配させないでよ、まったくっ!」
ああ、悔しいな。ジェイドには勝てないよ。零れ落ちた涙を拭ってから、ジェイドにそっと触れて回復魔法をかける。
「ソフィ! ジェイド! 無事か?!」
「あ、マリ。うん、平気だよ! いま行くね!」
私はジェイドを巻き込んで、移動魔法で5階に戻る。
落ちてる途中では、移動魔法は使えないしね。これが一番ベストなんだろう。
「ソフィ……。悪いけど、ダークエルフは消えてた。もう追う事は出来ない。だから……。行くよ」
「うん、準備は出来てる」
「あ、あの、ソフィア様!」
カーテンを開けようとした時。ジェイドが止めた。私たちの視線が集中して、ジェイドはそっと視線を落とす。
「分かってます、魔王様が、悪いことしてるの。でも……」
「出来れば、ソフィア様らしく、許してあげて欲しいんです」
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
1512
-
-
124
-
-
35
-
-
75
-
-
63
-
-
516
-
-
314
-
-
159
-
-
221
コメント