金髪、青目の美人エルフに転生!

鏡田りりか

第百十四話  バレンタインデー

「フェリ、レオン、ヴェリ、サウル、ニコライ。これ」


 私はレルフ家を、特に私を象徴する濃い桃色のリボンでラッピングしたチョコレートを渡す。
 中身はトリュフだ。結構頑張って作ったさ。美味しくないはずはない。
 ちなみに、バレンタインイベントはなくなった。私があまりに大変だからだ。渡さなくていいって。またクリスマスの時みたいになるところだった。


「あ、ありがとう!」
「ありがとう。必ず返すね」
「ラッピング、綺麗だなー」
「ソフィアの色……」
「へえ、綺麗じゃん」


 反応は様々だけど、喜んでもらえたみたいだね。よかった。
 ところで、ほかの子はどうしたのかな……。










 昨日の事。リーダーの中の女子みんなでチョコレートを作る事になった。
 クララ、ルアンナ、アラーナ、ナタリア。スカーレットもやることになった。それと、リリアーナも呼んでおいた。


「みんなは何作るの?」


 私が訊くと、みんな秘密といって教えてくれなかった。仕方ないなぁ。
 ちなみに、道具は揃ってるよ。食堂のキッチンを借りているから。気持ちを伝えるはずのチョコを、魔法で作るのはあまりにも無礼だからね。


 私は鍋に入れたクリームをかき混ぜている。混ぜる必要があるかは分からない。
 そこに刻んだチョコを入れて、また混ぜる。うーん、溶けたかなぁ? ブランデーを少し加える。
 あとは扱いやすい固さに固める。氷水を入れたボウルにつけて、やっぱり混ぜる。


「さっきからずっと混ぜる事しかやってない気がするよ」
「え? そういえばそうかも。さっきから混ぜてるソフィアばっかり見てる」
「ソフィアは何を作ってるんだろうね?」
「ソフィ、結構本格的かもぉ?」


 スプーンである程度丸めたら、冷蔵庫へ。二十分くらい入れておけば、多分成形しやすい固さになるはずだ。
 というわけで、その間に違うものを作ろう。こっちは本当に秘密だよ?










 そろそろ良いだろう。手で丸める。綺麗に丸くしないと、歪なチョコが出来上がる。それは困るでしょ。
 あとはデコレーションだね。ココアパウダーをまぶして、その上に飾りを。
 飾りはナッツを中心に、ドライフルーツを細かく切って。


 はい、可愛いトリュフの完成だ。


「おお、可愛い。ソフィアは器用だね」
「あ、クララ。出来たの?」
「型に入れて固めるだけ。私が不器用なのは知ってるでしょ」


 そうだった。最近はみんなに教わって、手芸や調理にも手を出してるみたいだけどね。さて、終わった私はほかの人のを見て回る。
 クララはもう冷蔵庫に入れてある。さっき私がいれた時、もう入ってた。ハートの型のね。ルアンナはアルミカップか。
 アラーナとナタリアはクッキーを作っていた。チョコっぽいの。良い香りがする。
 リリアーナは、結構本気だろう。と思って見に行くと、チョコレートブラウニー! マジで……。










 といった感じで、リリアーナは今超可愛いので、私はちょこっと離れてフェリをつける事にした。ほら、リリアーナつけると一瞬でばれるから。
 リリアーナの事だ、結構本気なんだろうな。フェリオスに伝わるかな。
 ここでその気になって貰えたら、戦うところまで行くのかな。何にしろ、友人の恋は応援したいよね! 別に、興味だけじゃないんだから!


「ねぇ、フェリオスくん、ちょっと良いかなぁ?」
「リリアーナ様……。どうされましたか?」
「あ、いや、その……」


 あ、これなら、リリアーナをつけても気づかれてないだろうな。だって、注意力が散漫だもん。
 フェリオスに気が付かれることはまずない。魔力は完全に消し、その上、隠蔽魔法を使っている。普通の人なら、まず気が付かない。










「えっと、そうだなぁ。もうちょっと待ってね、一カ月」
「それって、ホワイトデー……」
「うん、もうちょっと待って欲しいんだ。良いかな?」
「もちろん! 必ず待ってるからねぇ」


 まあ、上手く行ったと言っていいだろう。そうじゃなかったら、完全に私の事しか見てなかったフェリオスにそんな事を言わせるなど不可能だから。
 リリアーナ、よく頑張ったね。あと一カ月、さて、どうなる事やら。










「ジェイド、待って!」
「わっ! あ、ソフィア様でしたか……。脅かさないでください」
「あはは……。やっぱりきたか」
「あんなに食べられると思いますか?! ……受け取ってもあげませんでしたから、泣いてるかも知れませんね」


 やっぱり人気なんだね……。やり過ぎだと思うけど。嫌がってるし。
 っと、どうしようかな。仮にも待てと言ったのは私だ。でもまあ、一年後だし……。そのために受け取らなかったのもあるだろうし。


「ジェイド、……ほら」
「ふふ、待ってましたよ。ちゃんと作ってくれたんですね」
「お返しの為だよ」
「またまた。素直じゃないですねぇ」


 中身は……。相当頑張って作った、桃色のマカロン。失敗も結構したけど、一番綺麗なのを集めてラッピングした。
 難しいって言われるマカロンだけど、前世では何回かトライしてる。レシピくらい覚えてたんだ。こっちではマカロンあんまり見ないしね。珍しいと思う。


「じゃあ、早いところ帰ります。では」
「うん、感想、頂戴よ?」
「分かってますよ。じゃ」


 ジェイドは飛び去ってしまった。喜んでくれたらいいんだけど。どうかなぁ。ついて行く事は出来ない。飛んでいっちゃったからね。
 ちなみに、割れたやつは自分で食べた。味見として。だから、味は問題ないはずなんだけど……。










「ねえ、ソフィア、美味しかったよ、あれ」
「何て言うの?」
「トリュフ。お酒入ってたけど、平気だった?」
「うん。美味しかった」


 次の日、男の子たちには好評だったようだ、美味しいと言ってくれた。
 ちなみに、友チョコってことで、女子の中でも交換した。みんなも美味しいと言ってくれた。


 で、ジェイドだけど。


「あれ、なんですか? 小さくて可愛くて美味しいですね、ソフィア様らしいです」
「難しいんだよ、あれ。頑張ったんだから」
「はは、分かってますよ。みんなには秘密ですね?」


 うん……。嬉しいな。喜んでくれた。みんなには知られないようにだったけど、結構上手にできたもん。
 そういえば、ジェイドはお返し、どうするんだろうなぁ。

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