金髪、青目の美人エルフに転生!
第九十八話 魔族戦争(マリア)
「ジェイド! ソフィ、一体何を……」
一番に目に入ってきたのは、楽しそうに大滝を撃ちまくり、ジェイドを溺死させようとしている、ソフィアの姿だった。
「ジェイドさん! 今助けますぅ!」
「ソフィ、なんてことをしてるのさ!」
隣にいた二人が叫ぶ。白髪の少女が、ジェイドの周りにバリアを張った。
ジェイドは自力でこちらまで歩いてきた。私たちを確認すると、ホッとしたような、困ったような顔をする。
「ありがとうございます、エベリナ様。マリア様に、リリアーナ様も……」
「それはいいの。で? どうなってるの?」
「裏切ったのかしらぁ? そうなれば、殺すしかないけれどぉ?」
ジェイドは泣きそうな顔をする。私には、それが何を意味しているのか、よくわからない。
なにせ、選択肢が多すぎる。ソフィがそんなことするはずない、と考えると。
「操られた、のか?」
「さすが、マリア様。そういうことです」
そう言うと、ジェイドは胸を抑えて大きく咳き込む。長い間、水の中にいたのだろうな……。
本当に、何て事をしてくれるんだ、魔族は……。
「大丈夫か?」
「え、ええ……。ソフィア様に殺されるみたいで、正直、やめてほしいんですけれど……」
「まあ、ソフィではあるな。それより、殺されていなくてよかった」
リリアーナがちょっと首をかしげて聞いてくる。
「ねえ、解く方法は、ないの?」
「なくはないんですけれど……。一度、眠らせれば。そんなこと、できますか?」
「眠らせればいいの……? そのあとは? 絶対出来る?」
ジェイドは考えを巡らせるように視線を動かす。それから、ちょっと困ったように言う。
「解除魔法を、最大まで強化して、全魔力を注ぎ込めば」
「出来るん、だな?」
「でも、それには、これ以上魔力は使えません」
私はリナとリリを見る。二人は同時に頷いた。なら……。大丈夫だろう。
不安なのは、他の兵が、ジェイドが、巻き込まれないか、だな。
「私たちが請け負う。さんざん練習で戦わせてもらったからな」
「全部負けちゃってたけど、操られたソフィになら、勝てると思うよ」
「フェイントとかが、ソフィはうまいのよぅ」
私たちは武器を構える。すると、小さな女の子達がワラワラと出てくる。
「じゃあ、催眠魔法は、ボク達に任せて!」
「ただ、詠唱にすっごく時間がかかるの」
「みんなでやるから、誰かが攻撃されたら終わりだよ」
「攻撃を全部防いで欲しいの」
ソフィのアルラウネたちだ。みんながいるなら心強いな。
実際、ソフィを眠らせる魔法は思いつかない。催眠の得意なアルラウネ達がやってくれるなら平気だろう。
この子達に、絶対に攻撃させてはいけない。それくらいなら、なんとかなると思うのだが……。
操られたソフィはにやっと笑って魔力を溜め始めた。溜めるのは一瞬だ。出した技は……。猛火か!
私は死海を使って妨害する。ソフィに勝つため、詠唱短縮の練習は欠かさずやったのだ。威力は劣るが、スピードなら、勝てなくとも、互角にはなれるだろう。
「マリ。神級も使えるんだったね」
「お前……。ソフィに何をしてくれるんだ」
「ん? なぁに? ……変なの」
喜怒哀楽が、少し、ソフィと違う。だから、操られているのは、よくわかる。
エベリナが魔法を連射しているのが目に入った。ソフィはにっこり笑うと、手を軽く出しただけで全て消し去った。
「な……?! これ、ほんとにソフィなの?」
「なんか、強くなってる気がするんですけどぉ?!」
リリの矢も、あっさり消されてしまった。こんなの、詠唱が終わる前に……。
アルラウネたちを見ると、手で『あと一分』と合図を出してきた。一分……。もつだろうか?
「そうそう、アルラウネたちを先になんとかしないとだったね」
「やめ……!」
リリが慌ててバリアを張る。魔法は消えたが、リリは大きく吹き飛ばされた。
「きゃあ!」
「リリ!」
リナが飛ばされたリリを抱きとめる。リリは一言、「こんなの、勝てない」と呟く。
私もそう思うが、ソフィの体で人殺しなど、させるものか。それこそ、自殺するぞ。
「お願い……。助けて、ユニ!」
巨大な魔法陣が浮かび上がり、私の愛しいユニが召喚される。
ユニはソフィを見ると、戸惑ったように振り返った。私が静かに首を横に振ると、理解したようで、悲しそうに前を向く。
「本気で、止めて。でも、殺しちゃ、ダメよ」
「マリ……。お願いね!」
「ユニちゃん、頑張ってぇ」
ユニは任せろ、とばかりに首を縦に振る。
ジェイドが後ろで魔力を溜めている。アルラウネたちが詠唱を続けている。
みんな、成功すると思っているんだ。私たちが諦めるわけにはいかないだろ!
私は、ソフィの魔法を妨害することに力を入れる。ユニが、ソフィに少しずつダメージを入れてくれているんだ。私は、私のできることをするべきだろう?
にしても、魔法の威力が高い。魔力を多く込めているのが分かる。その魔力は、いったいどこから……?! 異常すぎる。
『儀式魔法 催眠花粉・強!』
アルラウネたちが一斉に魔力を放つ。ソフィはちょっと困ったような顔をする。
「儀式魔法……。これはまずいかもね。諦めよっかな。ご主人、ごめんねー」
「ご主人様は、ボク達が助けるの!」
アルラウネたちは黄色い粉のようなものをソフィに浴びせる。ふっとそのまま倒れたソフィ。
「助かります! 解毒!」
ジェイドが込めた魔力が、ジェイドのほぼ全ての魔力だと気がつくのに、だいぶ時間がかかった。
確かに言っていたではないか。全魔力を込める、と。その時は、使える魔力の、という意味だと思っていたが……。
「おい! ジェイド! それでは死んでしまうぞ!」
一番に目に入ってきたのは、楽しそうに大滝を撃ちまくり、ジェイドを溺死させようとしている、ソフィアの姿だった。
「ジェイドさん! 今助けますぅ!」
「ソフィ、なんてことをしてるのさ!」
隣にいた二人が叫ぶ。白髪の少女が、ジェイドの周りにバリアを張った。
ジェイドは自力でこちらまで歩いてきた。私たちを確認すると、ホッとしたような、困ったような顔をする。
「ありがとうございます、エベリナ様。マリア様に、リリアーナ様も……」
「それはいいの。で? どうなってるの?」
「裏切ったのかしらぁ? そうなれば、殺すしかないけれどぉ?」
ジェイドは泣きそうな顔をする。私には、それが何を意味しているのか、よくわからない。
なにせ、選択肢が多すぎる。ソフィがそんなことするはずない、と考えると。
「操られた、のか?」
「さすが、マリア様。そういうことです」
そう言うと、ジェイドは胸を抑えて大きく咳き込む。長い間、水の中にいたのだろうな……。
本当に、何て事をしてくれるんだ、魔族は……。
「大丈夫か?」
「え、ええ……。ソフィア様に殺されるみたいで、正直、やめてほしいんですけれど……」
「まあ、ソフィではあるな。それより、殺されていなくてよかった」
リリアーナがちょっと首をかしげて聞いてくる。
「ねえ、解く方法は、ないの?」
「なくはないんですけれど……。一度、眠らせれば。そんなこと、できますか?」
「眠らせればいいの……? そのあとは? 絶対出来る?」
ジェイドは考えを巡らせるように視線を動かす。それから、ちょっと困ったように言う。
「解除魔法を、最大まで強化して、全魔力を注ぎ込めば」
「出来るん、だな?」
「でも、それには、これ以上魔力は使えません」
私はリナとリリを見る。二人は同時に頷いた。なら……。大丈夫だろう。
不安なのは、他の兵が、ジェイドが、巻き込まれないか、だな。
「私たちが請け負う。さんざん練習で戦わせてもらったからな」
「全部負けちゃってたけど、操られたソフィになら、勝てると思うよ」
「フェイントとかが、ソフィはうまいのよぅ」
私たちは武器を構える。すると、小さな女の子達がワラワラと出てくる。
「じゃあ、催眠魔法は、ボク達に任せて!」
「ただ、詠唱にすっごく時間がかかるの」
「みんなでやるから、誰かが攻撃されたら終わりだよ」
「攻撃を全部防いで欲しいの」
ソフィのアルラウネたちだ。みんながいるなら心強いな。
実際、ソフィを眠らせる魔法は思いつかない。催眠の得意なアルラウネ達がやってくれるなら平気だろう。
この子達に、絶対に攻撃させてはいけない。それくらいなら、なんとかなると思うのだが……。
操られたソフィはにやっと笑って魔力を溜め始めた。溜めるのは一瞬だ。出した技は……。猛火か!
私は死海を使って妨害する。ソフィに勝つため、詠唱短縮の練習は欠かさずやったのだ。威力は劣るが、スピードなら、勝てなくとも、互角にはなれるだろう。
「マリ。神級も使えるんだったね」
「お前……。ソフィに何をしてくれるんだ」
「ん? なぁに? ……変なの」
喜怒哀楽が、少し、ソフィと違う。だから、操られているのは、よくわかる。
エベリナが魔法を連射しているのが目に入った。ソフィはにっこり笑うと、手を軽く出しただけで全て消し去った。
「な……?! これ、ほんとにソフィなの?」
「なんか、強くなってる気がするんですけどぉ?!」
リリの矢も、あっさり消されてしまった。こんなの、詠唱が終わる前に……。
アルラウネたちを見ると、手で『あと一分』と合図を出してきた。一分……。もつだろうか?
「そうそう、アルラウネたちを先になんとかしないとだったね」
「やめ……!」
リリが慌ててバリアを張る。魔法は消えたが、リリは大きく吹き飛ばされた。
「きゃあ!」
「リリ!」
リナが飛ばされたリリを抱きとめる。リリは一言、「こんなの、勝てない」と呟く。
私もそう思うが、ソフィの体で人殺しなど、させるものか。それこそ、自殺するぞ。
「お願い……。助けて、ユニ!」
巨大な魔法陣が浮かび上がり、私の愛しいユニが召喚される。
ユニはソフィを見ると、戸惑ったように振り返った。私が静かに首を横に振ると、理解したようで、悲しそうに前を向く。
「本気で、止めて。でも、殺しちゃ、ダメよ」
「マリ……。お願いね!」
「ユニちゃん、頑張ってぇ」
ユニは任せろ、とばかりに首を縦に振る。
ジェイドが後ろで魔力を溜めている。アルラウネたちが詠唱を続けている。
みんな、成功すると思っているんだ。私たちが諦めるわけにはいかないだろ!
私は、ソフィの魔法を妨害することに力を入れる。ユニが、ソフィに少しずつダメージを入れてくれているんだ。私は、私のできることをするべきだろう?
にしても、魔法の威力が高い。魔力を多く込めているのが分かる。その魔力は、いったいどこから……?! 異常すぎる。
『儀式魔法 催眠花粉・強!』
アルラウネたちが一斉に魔力を放つ。ソフィはちょっと困ったような顔をする。
「儀式魔法……。これはまずいかもね。諦めよっかな。ご主人、ごめんねー」
「ご主人様は、ボク達が助けるの!」
アルラウネたちは黄色い粉のようなものをソフィに浴びせる。ふっとそのまま倒れたソフィ。
「助かります! 解毒!」
ジェイドが込めた魔力が、ジェイドのほぼ全ての魔力だと気がつくのに、だいぶ時間がかかった。
確かに言っていたではないか。全魔力を込める、と。その時は、使える魔力の、という意味だと思っていたが……。
「おい! ジェイド! それでは死んでしまうぞ!」
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