金髪、青目の美人エルフに転生!

鏡田りりか

第六十二話  強くなってる・・・。

「か、可愛い! なんて可愛いんだ!」
 と、心の中で叫んだのはさて置き。一年生が入学! しかも、制服! あぁ、いいね。


 制服はお金持ち学校を意識して。だから、結構、可愛いよ?
 しかも、こっちの世界じゃ、制服は滅多に……。可愛いのはね。
 その上、制服なんてほとんど着ない。みんなローブとかずっと着てるし、制服を着る義務もないし。
 でも、とりあえず、着てられる素材で作ってくれた。動きやすい、ローブみたいな。


「で? マリン、どうするの?」
「うぅん。どうしましょう……」
 さすがに、この子たちと混ざるのは……。無理だろう。どうしようかな。でも、習いたいのは、戦いだよね?


「じゃあ、戦闘系の、というか、習いたい学科の時だけ混ざれば? 一応、研修生、的な」
「え! いいんですか!」
「うん。ちょうど基礎からだしね。頑張って」
 まあ、やる気になったなら、やってみればいい。これで少しは良くなるかな。


「じゃあ、入学式、行ってくるから」
 私はマリンに待っているように言って、私は体育館に。さあて、今日から学校スタート、か。










「ということで、この子も混ざる時があるからね。みんな、よろしく」
 男の子十人、女の子十三人の一年クラス。可愛いなぁ。
 と、一人がちょこんと首をかしげる。


「じゃあ、お姉ちゃんも一緒にやるのぉ?」
「そういうこと。いいよね?」
「うん!」
 はい、オッケー。これでマリンは大丈夫。じゃ、私は帰っていいよね。










「ソーフィア。ねぇねぇ、外行こうよ」
 クララとルアンナが部屋に入ってきた。ちょうど私が杖の手入れをしているところだった。


「うん。いいよ。どこに行くの?」
「森の方。剣の素振りがしたいのだけど、このあたりじゃ、ちょっと私のじゃね……」
「ってことだよ。練習に行きたいのだけれど、ソフィアも行くかなって」
 なるほど。じゃ、新しい使い魔が欲しいな。










「わあ、可愛い鳥。この子、なんていうのかなぁ」
「ソフィア好きだねー。あ、でも、小鳥、可愛いね」
 私は肩に止まった緑色の小鳥を眺めて笑った。その小鳥も嬉しそうに小さく鳴いた。


「生き物に好かれる、っていうのかな。やっぱ、何かあるんだね」
 そうかな。トレアのおかげかな? ふふ、やっぱり、可愛いなぁ。


「あ、ソフィア、髪……」
 え? あ。髪に大きな薄桃色の蝶……。何度か羽を上げ下げしたあと、羽を閉じてそのまま収まった。


「可愛い……。私の魔力と同じ、ピンク……」
「すごいねぇ。こんな大きな蝶、いるんだね」
 触ろうと思ったけれど、そのままふわりと舞い上がってしまった。


「あ、私、目的があったんだった。シナモン探しに来たんだった」
「シナモン? どうかしたの?」


 そうじゃなくて……。
 いっつも「狩りに行ってくるね」って言って出て行っちゃうから、ちょっと様子が見たくて。
 たまに狩れなかったから、何か作って、なんて言われるけど。そういう時はキッチンへ。たまに怪我して帰ってくるけど。そういう時は回復魔法。
 ほら、問題ないから、今まで気にしなかったんだ。


「じゃあ、クララは私が見てるよ。行ってきな。ここに戻ってきたら、一緒に帰ろ」
 そう言ってくれたので、私は森の中を歩き出した。










 あ、あれ、シナモンだ……。なにかと対峙してるみたい。相手は……。
 大森林虎フォレストタイガー?! シナモン、あんなの相手するようになったの?!


 大森林虎フォレストタイガーは、属性虎というものだ。まあ、わかるよね? 全属性の虎がいるというわけ。
 確か……。クララがぎりぎり一人で狩れるとか。桃色魔法衣ピンクローブが二十人でやっと狩れたとか。噂だけど。


「私、どうなのかな? まあ、いいや。シナモンだ」


 まだ、会ったばかりのようだ。どちらも傷はなく、相手のことを見たまま動かない。
 先に動いたのは大森林虎フォレストタイガー。しびれを切らしたようで。
 でもまあ、スピードでシナモンにかなうコはいないでしょうね。素早さに特化した子だし。
 即後ろに回り込んで……。え? まさか、フレイム?!


「シナモン! あなた、いつ魔法を……?!」
「うええ?! ソフィア様?! まだ見ちゃダメなのに!」
 隠れて練習してたようです。ちょこっと悪いことしました。










「うん、そっか。速いだけじゃ、って思ってたんだ」
「はい。私は確かに速さに特化した種類の犬です。だから、それはわかってる。でも、やっぱ……」
「ううん、頑張ったね。随分上手じゃない。じゃあ、クララとルアンナが待ってるからさ。行こうか」


 シナモンはひょいっと立ち上がると、私の後ろについた。そっと歩き出す。
 にしても、みんな頑張ってるなぁ。私、なんにもしてないんだけど……。
 まあ、私も出来ることをやるとしよう。とりあえず、魔王を倒すため、魔力を増やしておかないとね。


「ソフィア! じゃ、帰ろっか。私も素振りできたし。あ、ほら、だってさ、中でやると建造物破壊コースだもん」


 そうだね、クララが振ったら、触れる前に切れるもんね。しかもすごい距離……。
 この森の木も、すごいことに。クララの周り二百メートルくらい何もない。


「ってか、すごすぎでしょ。この距離、どうなってるの?」
「ソフィアが買ってくれたんでしょ、この剣。すごい切れ味なんだもん!」


 クララはブロードソードを少し持ち上げてみせた。光ってる、光ってる。怖いな、これ。誰が作ったんだろう。すごい鍛冶屋じゃないか?


「と・に・か・く! 早く帰ろう! マリンちゃんも待ってるよ」
 そうだね。ルアンナの言葉で、私たちは歩き出した。

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