金髪、青目の美人エルフに転生!
第四十九話 ユリアナがマリンと来た理由
「そういえば。ユリアナさんは、私の国にいていいのですか?」
「彼女、か。こちらは別にいいのだが」
「何か、あるんですか?」
客室に戻ると、ミーシャの姿はなかった。代わりに最初に玄関にいたお姉さんがいた。正式な、長いスカートのメイド服を着ている。
「ミーシャお嬢様はドラゴンの目撃者として連れて行かれてしまいました」
……。私、行かなくてよかったな。もっと大騒ぎだよ。
「では、ティーナは下がってよろしい。私たちは二人で話をする」
「かしこまりました、旦那様」
そのティーナと呼ばれたメイドは一礼して部屋から出ていった。
「さて、ユリアナだったな」
村長はふぅっと息を吐くと、静かに話しだした。
「ユリアナは、だいぶ貧しい家のもので、母子家庭だった。……、実は、大きく見えるが十四歳だ。
それで、この前、彼女の母が病気になったのだが、治療費も払えず、母が働けないからな、食費すら、といった感じで。
私たちは知らなかったよ。近所の人が、隠してしまったんだ。ティトフ家は、汚れた家として扱われていたんだ。
早く言ってくれればよかったんだ。なのに、黙ってて。盗みをやってしまったんだよ」
「! それって……」
「あぁ。ユリアナは、追放だ。彼女の母は、もういないしな……」
ユリアナの事、何にも知らなかった。……マリンは知ってるのかな。
「彼女の父は、召喚の術で命を落とした。祖父は、ドラゴンに殺された。祖母は、仲間の魔法が誤ってあたって死んでしまった。みんな、早くに亡くなってしまって、汚れてると言われてしまったんだな」
じゃあ、私たちの街がなかったら、あの時……。怖い。考えたくない。
「ユリアナは、そのせいで小さい時からいじめられていたんだ。そんな中、召喚魔法ばかりやっていたよ。きっと、友達になれるはずだってな。
盗みを犯して、隠れているあいだ、もっと没頭時出した。そして、ついに、成功したんだ。それが、マリン。
成功したせいで、すごい魔力の波動が起きて、見つかってしまったんだが。にしても、あの時、ユリアナの魔力が少なかったせいで、マリンの魔力も使われてしまって、すごく衰弱していたんだ。どうしよう、となって、考えた。獣人は強い。だから、咄嗟に、な」
村長が、血を、飲ませちゃったんだ。でも、だから助かったんだよね。いいんじゃないか。
「彼女の驚きようといったら。どうして? 耳が、尻尾が……。そう言って泣き崩れてしまって。誰かの名前を呼んでいたような……。まあ、それはいいんだ。悪いことしてしまった。何か方法はあっただろうに」
マリン、そんなに、嫌だったのかな。可愛いのに。
村長さん、そんなに自分を責めちゃってたんだ。
「ユリアナは、もう少しで殺されるところだった。でも、マリンの面倒を見るという条件で、追放になった。でも、私に隠れて暴力をした馬鹿はいたが。真っ赤で、ひどかった……」
嫌だ、そんなの。絶対にユリアナは守らなくては。レルフィアの住民なんだから。私が守る。
「失礼します。ご主人様、お客様、何か、お飲みのもはいかがです?」
そこで、私は喉が渇いていることに気がついた。この短い時間で相当いろいろなことがあったし。
「紅茶でいいか?」
私は頷いた。ティーナはまた一礼して戻っていく。
ユリアナが、まさか、そんなことがあったなんて。明るいいい子だったんだけど、表だけ?
「悪いな、暗い話をしてしまって」
村長が悲しそうな顔で私を見ていた。私はそっと目を拭って笑顔を見せた。
村長さん、気を使わせちゃったかな? できるだけ自然に笑う。こうするのが一番いいって、ちゃんとわかってる。
「ソフィア様は優しいな。私たちの方が身分は低いっていうのに」
「身分とか、関係ないんです。私はまだ、何も知らない小娘なんです」
これは、本当に心の底から思っている。知らないことだらけだ。身近な人だって、わからない。だから……。
「これから、ちゃんと一つ一つ、知っていきたい。ごまかされるのは、嫌なんです」
村長さんは笑顔で私に言ってくれた。
「今はまだ若い。私のように年寄りではないだろう? これから、ゆっくりなんでも知っていけばいいんだ」
私のことを慰めようとした、最高の一言。なんとなく、そんな気がした。
「それから、ティーナ、隠れて聞くのいかがなものか?」
「は! 紅茶ですよ! 聞いてなんか!」
ティーナさんが顔を真っ赤にして言い訳をする。しっぽの動きでわかっちゃいますよ?
「美味しい。砂糖とか、何も入れてないですよね?」
「ええ。何も入れてませんよ」
なんだか、ハナの入れたお茶に似ている。ん? もしかして。
「うちの紅茶も、同じ葉かしら?」
「そうだろうな。黒髪のメイドが毎週買いに来るぞ。といっても、最近は見ないが」
「病気でお休みしていたんです。私も出かけていたのでわかりませんが」
ごまかされるの嫌とか言っておいて、超ごまかしてしまいました。これはいけない。反省。
でも、言ったら大騒ぎでしょう? 私の国だけでもあんな騒ぎになるのに……。あぁ、これ以上騒ぎになるのはやめて欲しい。
「では、私はそろそろ帰りますね。あまり開けると、秘書がすごく怒るので」
「おお、それは怖いな。といっても、森を抜けられるかわからないがな」
「そうですね。でも、多分来ますので。では、ありがとうございました」
言えないけどさ。スカーレットのことだ、何が何でも追いかけてくるぞ……。
「彼女、か。こちらは別にいいのだが」
「何か、あるんですか?」
客室に戻ると、ミーシャの姿はなかった。代わりに最初に玄関にいたお姉さんがいた。正式な、長いスカートのメイド服を着ている。
「ミーシャお嬢様はドラゴンの目撃者として連れて行かれてしまいました」
……。私、行かなくてよかったな。もっと大騒ぎだよ。
「では、ティーナは下がってよろしい。私たちは二人で話をする」
「かしこまりました、旦那様」
そのティーナと呼ばれたメイドは一礼して部屋から出ていった。
「さて、ユリアナだったな」
村長はふぅっと息を吐くと、静かに話しだした。
「ユリアナは、だいぶ貧しい家のもので、母子家庭だった。……、実は、大きく見えるが十四歳だ。
それで、この前、彼女の母が病気になったのだが、治療費も払えず、母が働けないからな、食費すら、といった感じで。
私たちは知らなかったよ。近所の人が、隠してしまったんだ。ティトフ家は、汚れた家として扱われていたんだ。
早く言ってくれればよかったんだ。なのに、黙ってて。盗みをやってしまったんだよ」
「! それって……」
「あぁ。ユリアナは、追放だ。彼女の母は、もういないしな……」
ユリアナの事、何にも知らなかった。……マリンは知ってるのかな。
「彼女の父は、召喚の術で命を落とした。祖父は、ドラゴンに殺された。祖母は、仲間の魔法が誤ってあたって死んでしまった。みんな、早くに亡くなってしまって、汚れてると言われてしまったんだな」
じゃあ、私たちの街がなかったら、あの時……。怖い。考えたくない。
「ユリアナは、そのせいで小さい時からいじめられていたんだ。そんな中、召喚魔法ばかりやっていたよ。きっと、友達になれるはずだってな。
盗みを犯して、隠れているあいだ、もっと没頭時出した。そして、ついに、成功したんだ。それが、マリン。
成功したせいで、すごい魔力の波動が起きて、見つかってしまったんだが。にしても、あの時、ユリアナの魔力が少なかったせいで、マリンの魔力も使われてしまって、すごく衰弱していたんだ。どうしよう、となって、考えた。獣人は強い。だから、咄嗟に、な」
村長が、血を、飲ませちゃったんだ。でも、だから助かったんだよね。いいんじゃないか。
「彼女の驚きようといったら。どうして? 耳が、尻尾が……。そう言って泣き崩れてしまって。誰かの名前を呼んでいたような……。まあ、それはいいんだ。悪いことしてしまった。何か方法はあっただろうに」
マリン、そんなに、嫌だったのかな。可愛いのに。
村長さん、そんなに自分を責めちゃってたんだ。
「ユリアナは、もう少しで殺されるところだった。でも、マリンの面倒を見るという条件で、追放になった。でも、私に隠れて暴力をした馬鹿はいたが。真っ赤で、ひどかった……」
嫌だ、そんなの。絶対にユリアナは守らなくては。レルフィアの住民なんだから。私が守る。
「失礼します。ご主人様、お客様、何か、お飲みのもはいかがです?」
そこで、私は喉が渇いていることに気がついた。この短い時間で相当いろいろなことがあったし。
「紅茶でいいか?」
私は頷いた。ティーナはまた一礼して戻っていく。
ユリアナが、まさか、そんなことがあったなんて。明るいいい子だったんだけど、表だけ?
「悪いな、暗い話をしてしまって」
村長が悲しそうな顔で私を見ていた。私はそっと目を拭って笑顔を見せた。
村長さん、気を使わせちゃったかな? できるだけ自然に笑う。こうするのが一番いいって、ちゃんとわかってる。
「ソフィア様は優しいな。私たちの方が身分は低いっていうのに」
「身分とか、関係ないんです。私はまだ、何も知らない小娘なんです」
これは、本当に心の底から思っている。知らないことだらけだ。身近な人だって、わからない。だから……。
「これから、ちゃんと一つ一つ、知っていきたい。ごまかされるのは、嫌なんです」
村長さんは笑顔で私に言ってくれた。
「今はまだ若い。私のように年寄りではないだろう? これから、ゆっくりなんでも知っていけばいいんだ」
私のことを慰めようとした、最高の一言。なんとなく、そんな気がした。
「それから、ティーナ、隠れて聞くのいかがなものか?」
「は! 紅茶ですよ! 聞いてなんか!」
ティーナさんが顔を真っ赤にして言い訳をする。しっぽの動きでわかっちゃいますよ?
「美味しい。砂糖とか、何も入れてないですよね?」
「ええ。何も入れてませんよ」
なんだか、ハナの入れたお茶に似ている。ん? もしかして。
「うちの紅茶も、同じ葉かしら?」
「そうだろうな。黒髪のメイドが毎週買いに来るぞ。といっても、最近は見ないが」
「病気でお休みしていたんです。私も出かけていたのでわかりませんが」
ごまかされるの嫌とか言っておいて、超ごまかしてしまいました。これはいけない。反省。
でも、言ったら大騒ぎでしょう? 私の国だけでもあんな騒ぎになるのに……。あぁ、これ以上騒ぎになるのはやめて欲しい。
「では、私はそろそろ帰りますね。あまり開けると、秘書がすごく怒るので」
「おお、それは怖いな。といっても、森を抜けられるかわからないがな」
「そうですね。でも、多分来ますので。では、ありがとうございました」
言えないけどさ。スカーレットのことだ、何が何でも追いかけてくるぞ……。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
29
-
-
93
-
-
1978
-
-
34
-
-
70810
-
-
337
-
-
63
-
-
59
-
-
26950
コメント