小説を書こうにもネタがない!だが高校生探偵に仕事は舞い込む

Arakikei

【ネタの気配!?電話と連続殺人事件】

夜も更けた深夜、小説を書いていた俺の元に一本の電話が入る。




『燃えるような赤いバラ 胸にs』


ピッ


「はい、霧本です。」
『あぁ、霧本君。水瀬だ。』
「水瀬さん?どうかしたんですか?」




電話の主は俺がお世話になっている『水瀬護みなせまもる』刑事だ。
彼は俺が初めて解決した事件の担当刑事だった。


それから交友を持つようになり、今でも様々な事件の情報を寄越してくれる。




『...霧本君、事件だ。』
「詳しく聞かせてください。」




今回の事件の概要はこうだ。


近頃、女性を狙った連続殺人事件が起きている。


犯行の特徴としては、殺された女性は全員腹を切り裂かれていること。
使われた凶器は全て鋭利な刃物であること。
被害者の女性たちはある臓器が切り取られていること。
そして、何より奇々怪々なことは犯行現場が全て公共の場所であることだ。




「.....随分とおかしな事件ですね。」
『あぁ、担当は俺じゃないんだが少し相談でもと。』
「...分かりました。明日そちらへ向かいます。」
『それは助かる。では明日、いつもの喫茶店で。』
「分かりました。では....。」


ピッ




電話を切ると、後ろから声を掛けられる。




「また事件?」
「ん、茜里?寝てたんじゃないのか?」




布団の中から上半身を出す形でこちらに話しかけている。
眠そうな蕩けた顔で話しかけてくる茜里に少しドキッとしたが、
鋼の精神で耐える。




「電話の声で目が覚めちゃったのよ。」
「そりゃ悪かった。明日は休みだし、ゆっくり寝てな。」
「茂はどうするの?」
「此処で寝る。」




そういった俺は椅子に深く腰掛ける。前回は誘惑に負けたが、今回は勝つ!


粋がっている俺に気づいたのか、茜里がベッドから抜け出し俺の後ろに立つ。




「?どうかしたのかぃ?」
「いんやぁ?ちょっと、思いついてねぇ?」
「あ?一体何を...ッ!?」




いきなり後ろから抱き着かれた。
頭の後ろに柔らかいものが当たり、心臓が跳ね上がる。


ドクン、ドクンと茜里の心臓が動いているのが分かる。
それに呼応してどんどん顔が熱くなってくる。




ヤバい、ヤバい!マズイ!マズイ!マズイ!


「あっ茜里!?おまっ!何してっ!?」
「茂が悪いんだよ?茂がいつまで経っても来ないのが悪いの。」
「だ!...それは、その.....。」




....逃げ道がない!どうする!?どうすればこの状況を打開できる!?
考えろ!考えるんだ、俺!事件の時のように......!




「.......茜里。」
「なぁに?どうしたのかなぁ?」




耳元で囁く茜里の顔を引き寄せ、唇と唇を重ねる。




チュッ


「____ッ!!」




さらに茜里の舌を絡めとるように俺の舌を絡める。
俗にいう、ディープキスだ。


前に調子に乗った茜里を黙らせるためにキスを用いた時、効果てきめんだった。
今回はさらに舌を絡めて唾液を吸う。


触れている頬がもの凄く熱くなっていくのを感じる。
恐らく今、茜里の顔は真っ赤に染まっているに違いない。




「(このまま!このまま茜里の意識を落とすッ!)
ちゅ、ん、ちゅる、はぁ、ん、ちゅ、んちゅっちゅっ!」
「ん!?んぁ、はぁ、ん、ちゅ、んっ、はん、んっん!?」




苦しそうに息継ぎする茜里の唇に噛みつくようにキスをする。
途中何度か肩をタップされるが、そんなの気にしない。


逃げようとする茜里の後頭部をがっしりと捕まえ、
罰としてさらに激しく舌を絡める。


そのうちに茜里の体から力が抜けていき、その場にへたり込む。


真っ赤な顔で倒れている茜里を抱き上げ、ベッドに戻す。




「......これでよかった、のか?」




少し疑問が残るが、やってしまったことは仕方がない。
開き直って明日、謝ろう。うん。


もうどうにもならないこの状況を振り払うように、部屋を出る。
俺はリビングにある最近買ってきた新しいソファーに寝転がり、寝た。







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