幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について

スプマリ

139話目 蠱毒

 結論。この大陸面白れえ。
 いや、ドラゴンは見つからなかったのよ。ちゃんと探索したけど、やたらと骨ばった体躯とドラゴンに比べれば細い翼、尖った口先に鋭い牙を持った空飛ぶ化け物――獣人たちはワイバーンと呼んでいた――が見つかった程度だ。

 初め、野生のワイバーンを見つけた時にドラゴンの一種かと思いひっ捕らえ、翻訳魔法を通して会話を試みたが、『オレサマ オマエ マルカジリ』といった片言の返事しか返ってこず、それもこちらの言葉に反応したというより単に本能に従っての言葉にすぎなかった。

 結局ワイバーンからは有用な情報を得ることは出来ず、ドラゴンも見つからなかったので目的からすればハズレでしかなかった。しかし、獣人の特性、ワイバーンとの共生と二つも興味深いものがここにはあった。

 迸る好奇心を抑えることが出来ず、ちょこちょこと街、というより集落に潜入して彼らの生活をのぞき見したのだが、その結果上記のようなことがわかったのである。まず、獣人はそれぞれ異なった獣の血を継いでいるようで、人間と比べて力が強かったり足が速かったりする獣人が居た。

 そのほか、集落で何か偉そうにしている個体はだいたい似たような形の耳をしていたので、他より賢いとか、そういった特性もあるに違いない。また、鼻や耳が利くのは全個体共通のようで、潜入時には俺でも少し真面目に気配を絶たなければいけなかった。

 ただ、鳥の獣人を見つけることが出来なかった。魔法にすら頼らず自力で空を飛べるのはある種の浪漫を感じていたので是非存在してほしかったが、少なくとも集落程度の場所には居ないようだ。

 だが驚くべきことに彼らはワイバーンを飼育し、あまつさえそれに騎乗することで空を飛んでいたのである! もちろん、誰も彼もがそのようなことが出来るわけではなさそうだが、それでもワイバーンに乗り空を駆ける姿には感じ入る物があった。ママー! 僕もあれに乗りたーい! あ、でも俺ドラ助トカゲに乗って空飛んでるからやっぱいいや。

 で、それで何をするかと言えばやっぱり戦いである。それも対化け物ではなく獣人同士の縄張り争いである。何が彼らをそこまで駆り立てるのか、高確率でドンパチやってやがった。銃とか魔法は使われておらず、むしろただの鉄剣すら使っていなかった。大体は拳か爪、良くて弓や木製の槍である。ワイバーンに騎乗しながらも、持っているのは木の槍というのは非常にシュールな絵面だった。

 そんな感じで文明のレベルも低く、街と言える規模の人里は一個も見つからなかった。この調子じゃあと千年は待たなければまともに文明は進歩しないだろうなぁ。多分、千年たったらようやく鉄剣、場合によっては銃を扱うようになるだろう。

 彼らに政治的な意味での目的は存在しないようで、略奪の為に攻撃する、気に入らないから攻撃する、むしゃくしゃしたから攻撃する、とりあえず攻撃するといった具合で、それを見ていると何だかお祭り騒ぎを見ている気分になってきた。オラなんだかワクワクしてきたぞ! いっちょやってみっかあ! とも考えたが、俺が参戦したら全獣人を相手にしても酷いワンサイドゲームになるのは目に見えているので自重した。

 どうしてここまで酷いんだと思ったが、思えば野生動物も大体群れ同士で殺し合いをしてるな。つまりそのあたりまでキッチリと動物の習性を引き継いでしまっていただけという訳である。ちゃんちゃん。

「幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く