幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について
128話目 再開だオラァ!
「フンッ!」
朝食後の修行中、唐突に気合を入れた一声を上げた。素振りの掛け声というわけではなく、朝からちらちらと存在がうざったかったコウモリどもを黙らせるためである。グッとガッツポーズしただけでノックアウト余裕でした。
最近俺が大人しかったからか、調子に乗ったコウモリどもが俺の生活圏とでも言うべき範囲の境界線上をウロチョロウロチョロと飛び回っていて非常にうっとうしい。いっそ範囲内で飛び回ってくれればいいのに。まあその場合は魔法で処分するが。
そしてついでとばかりにドラ助がビビって目を覚ます。さっきまで気持ちよさそうに鼻提灯を膨らませながら寝ていたが、「パァン!」という派手な炸裂音と共に目を丸くして周囲をきょろきょろとする様は正直笑ってしまった。すまん、わざとじゃないんだ。ついやってしまっただけなんだ。
「ししょー、あんまりドラ助をいじめちゃ駄目ですよー」
「おう、分かってる分かってる」
シャルが窓からヒョッコリと顔を覗かせつつそう言ってきた。俺は手をひらひらとさせつつおざなりな返事をするが、大体いつものことなのでシャルもそれ以上は言わずに引っ込む。
ドラ助も慣れたもんで、叩き起こされたことを気にすることもなく、スィーっとどこかへと飛んで行ってしまった。恐らく狩りにでも行ったのだろう。それでいいのかドラゴン。
さて、なんやかんやがあって俺とドラ助とシャルの生活にリーディアが加わってから早数年…………くらいが多分経過した。多分というのはアレだよ、森の中だと季節の変化が無いし、お互いに歳食わないせいで見た目に変化無いし、ドラ助は学習しないでバカばっかりやってるしで、とにかく時間の経過が掴みずらいんだよ。それこそ、アホ貴族が攻め込んできてようやく百年くらいたったかと分かる程度のものでしかない。
そんな風に時の流れが感じづらい環境ではあるものの、ここ数年で俺たちに何の変化も無かったということではない。まず、リーディアが一人で狩りに行けるくらいに成長した。元々剣に天賦の才でもあったのか、教えれば教えただけグングンと技術を吸収し、あっという間に俺が教えられることが無くなってしまった。無論、技術的に教えられることが無いというだけで、彼女が俺と同じくらい強くなったという意味ではない。そう簡単に千年という時間の差は埋められてはたまらないし、埋まるはずもない。というか埋められたら才能の差に絶望して俺が土の中に埋もれてやるわ。また、幸か不幸か彼女には魔法に関する才能はあまり無かったらしく、俺が作った補助装置ありでようやく実用的な魔法が使える程度である。
そんなわけで不老の魔法は俺が彼女にかけることとなったが、彼女自身は自身の魔法の才の無さに関してさしたる不満は無いようだ。実際、戦いの中での補助としてでしか魔法を使っていないようだし、剣の才さえあれば満足なのだろう。
「リョウ殿にシャル殿! ただいま戻った!」
「お疲れさまー! お風呂沸かしてあるよー!」
「うむ!」
いつもの魔法生物を相手に修行をしているとそんな会話が聞こえてくる。リーディアには昼飯時と夕飯時に狩りを切り上げるよう指示しており、血塗れになっている彼女をお風呂に突っ込むまでが日常の一部となった。先程の会話もまるで夜の夫婦の会話のようだが、今は昼である。昼ではあるが、そんなの関係ないくらい彼女は血塗れなので風呂に突っ込む必要がある。
そしていつもであれば彼女が戻ってくる少し前から顔を上げて、『昼飯ちょうだい』とそわそわとしだすドラ助が今日は不在である。食い意地の張ったアイツが戻ってこないのはやや気にかかるが……、まあそうそう気にする必要もあるまい。トカゲと犬の中間的存在とはいえ腐ってもドラゴン。そこらの魔物にどうこうされるはずもあるまいと、俺は楽観してダイニングへと向かったのであった。
朝食後の修行中、唐突に気合を入れた一声を上げた。素振りの掛け声というわけではなく、朝からちらちらと存在がうざったかったコウモリどもを黙らせるためである。グッとガッツポーズしただけでノックアウト余裕でした。
最近俺が大人しかったからか、調子に乗ったコウモリどもが俺の生活圏とでも言うべき範囲の境界線上をウロチョロウロチョロと飛び回っていて非常にうっとうしい。いっそ範囲内で飛び回ってくれればいいのに。まあその場合は魔法で処分するが。
そしてついでとばかりにドラ助がビビって目を覚ます。さっきまで気持ちよさそうに鼻提灯を膨らませながら寝ていたが、「パァン!」という派手な炸裂音と共に目を丸くして周囲をきょろきょろとする様は正直笑ってしまった。すまん、わざとじゃないんだ。ついやってしまっただけなんだ。
「ししょー、あんまりドラ助をいじめちゃ駄目ですよー」
「おう、分かってる分かってる」
シャルが窓からヒョッコリと顔を覗かせつつそう言ってきた。俺は手をひらひらとさせつつおざなりな返事をするが、大体いつものことなのでシャルもそれ以上は言わずに引っ込む。
ドラ助も慣れたもんで、叩き起こされたことを気にすることもなく、スィーっとどこかへと飛んで行ってしまった。恐らく狩りにでも行ったのだろう。それでいいのかドラゴン。
さて、なんやかんやがあって俺とドラ助とシャルの生活にリーディアが加わってから早数年…………くらいが多分経過した。多分というのはアレだよ、森の中だと季節の変化が無いし、お互いに歳食わないせいで見た目に変化無いし、ドラ助は学習しないでバカばっかりやってるしで、とにかく時間の経過が掴みずらいんだよ。それこそ、アホ貴族が攻め込んできてようやく百年くらいたったかと分かる程度のものでしかない。
そんな風に時の流れが感じづらい環境ではあるものの、ここ数年で俺たちに何の変化も無かったということではない。まず、リーディアが一人で狩りに行けるくらいに成長した。元々剣に天賦の才でもあったのか、教えれば教えただけグングンと技術を吸収し、あっという間に俺が教えられることが無くなってしまった。無論、技術的に教えられることが無いというだけで、彼女が俺と同じくらい強くなったという意味ではない。そう簡単に千年という時間の差は埋められてはたまらないし、埋まるはずもない。というか埋められたら才能の差に絶望して俺が土の中に埋もれてやるわ。また、幸か不幸か彼女には魔法に関する才能はあまり無かったらしく、俺が作った補助装置ありでようやく実用的な魔法が使える程度である。
そんなわけで不老の魔法は俺が彼女にかけることとなったが、彼女自身は自身の魔法の才の無さに関してさしたる不満は無いようだ。実際、戦いの中での補助としてでしか魔法を使っていないようだし、剣の才さえあれば満足なのだろう。
「リョウ殿にシャル殿! ただいま戻った!」
「お疲れさまー! お風呂沸かしてあるよー!」
「うむ!」
いつもの魔法生物を相手に修行をしているとそんな会話が聞こえてくる。リーディアには昼飯時と夕飯時に狩りを切り上げるよう指示しており、血塗れになっている彼女をお風呂に突っ込むまでが日常の一部となった。先程の会話もまるで夜の夫婦の会話のようだが、今は昼である。昼ではあるが、そんなの関係ないくらい彼女は血塗れなので風呂に突っ込む必要がある。
そしていつもであれば彼女が戻ってくる少し前から顔を上げて、『昼飯ちょうだい』とそわそわとしだすドラ助が今日は不在である。食い意地の張ったアイツが戻ってこないのはやや気にかかるが……、まあそうそう気にする必要もあるまい。トカゲと犬の中間的存在とはいえ腐ってもドラゴン。そこらの魔物にどうこうされるはずもあるまいと、俺は楽観してダイニングへと向かったのであった。
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