幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について

スプマリ

107話目 業務説明

「ああ! あんたらが依頼を受けてくれたのか! ありがたい!」


 この家の家主だろうか、そのような言葉と共に現れたのはやや白髪の混じった頭をした中年の男性であった。白髪が生えるにはやや早いが、恐らくはゴブリンに対処しかねていることによるストレスが原因だろう。男性は『ここで立ち話するのもなんだから』と言って俺達を家の中へと招き入れた。


 貴族でもないのだから当然ではあるが、外観は立派なものであったがその内装は質素なものであり、必要最低限の家具程度しか置いていない。まあそもそも街から遠く離れた村で必要なものが揃っているだけ上等だ。


「本当はお茶の一つでも出したいところなんだが……、ゴブリンのせいでそうそう森に行けなくてね」


 リビングにある椅子に座ると男性はそう申し訳なさそうにポリポリと頭を掻きながらそう言い訳をした。この男は案の定村長だそうで、村の外の人間とのやり取りに慣れていない他の住人のところに行く前にここに来てくれて良かったと苦笑して言った。


 村長の話によるとゴブリンが農作物を狙って畑に出没するようになったのは一か月程前からで、初めの内こそは昼間に一、二匹で散発的に現れていたので何とか村人でも仕留める事が出来ていたそうだ。しかしそうやって対処している内にゴブリンは纏まって行動するようになり、終いには夜中に畑を荒らすようになったそうだ。


 昼間ならば住人のほとんどが活動しているので比較的容易に人手を集めて撃退することが出来たが、夜中となると昼間の仕事との兼ね合いもありどうにも難しいのだそうだ。一応柵や先を尖らせた杭を打ち込んで対策を施したものの、やはりそれだけでは不十分で対処しきれず、また、一回襲撃がある毎にほとんどが壊されるためその修理の作業も馬鹿にならない。


 このままではジリ貧だと考えた村長は住人らに頭を下げて何とか資金を工面して今回の依頼を出したのだという。


「あいつらは森を根城にしているようでね。そのせいで碌に薪を取れてないんだよ」


 薪の貯蔵すら出来ていないためこれ以上被害が続けば冬に凍死者が出る可能性もあり、それを避けるために何としても森からゴブリンを一掃してくれと頼まれるが、言われなくてもそのつもりである。


「強さで言えば問題にならないんで、まあ安心してください」
「どうかよろしくお願いします。夜までまだ時間はありますので、広いだけの家ですがどうかゆっくりしていってください」
「え、どういうことですか?」


 村長の言葉に疑問を覚えた俺は彼に真意を訊ねる。どうやら彼は俺達がゴブリンの襲撃に合わせて、明日以降の準備や今夜の襲撃の対策を考えるのだと考えていたらしい。だが当然ながら対策など取らなくとも被害無しに迎撃することは容易であるし、むしろ今から森に行ってゴブリンを駆逐するつもりであったくらいだ。そのため俺は村長の勧めを断り、訝し気な顔をしている村長に向けて『ちょこっとやって終わらせてきますんで』と言って村長の家を後にするのであった。

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