幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について
97話目 ぐだぐだ
興味本位で尋ねたら存外に深く立ち入ってしまった。そのおかげで何故あのボロスの娘であるリーディアがこんなに人懐っこいのだろうかという疑問の答えが、つまり彼女は単純に人ととの触れ合いに飢えていたのだろうということがわかり、そしてそれと同時にそんな娘をポイとくれてやるんじゃねえよ、という思いが頭を過る。
話を聞く限りではボロスやリーディアがどっかの貴族の末裔というようでも無さそうであり、彼女がそう振る舞うための教育を受けたということも無いようである。そうなるとよくもまあ知らない男に褒美として与えられる事に抵抗しなかったなあと思うが、あの時の彼女の様子を思い出して『そもそも剣術を教わる事しか頭に無かったんだろう』と俺は納得する。
それから数ヵ所ほどリーディアに連れられて見て回るが、やはりというべきかそれだけで終わってしまう程に一日は短くない。それぞれの距離が離れていたので多少時間はかかったがそれでもまだ日は高く、時間に直せば凡そ二時にしかなっていない。
「それで、これからどうする」
元々の目的を早々にどちらも達成してしまったため、やる事が本気で無くなってしまった。ついでに気も抜けてしまっているので俺の頭は働かない。念のためにとどこか観光名所のような場所は無いかとリーディアに尋ねてみるも、『いや、そういった場所に心当たりは無くてな……』と言われてしまう。現地人なのに何故と思わなくもないが、恐らく剣術と自分だけの秘密の場所を探すのにしか興味がなかったのだろう。
「大きくなってからそういった場所には行かなかったの?」
「手伝えるようになってからはずっと父の手伝いをしていたからな、すまない」
いつまでもそれだけしかしないという事も無いだろうと考えたのか、シャルがリーディアに尋ねるも返事はご覧の通りである。加えてリーディアが申し訳なさそうにして深々と頭を下げてしまったので謝られたシャルの方がわたわたと慌ててしまっている。
もう何度か繰り返しているがこれ帰宅していいんじゃないかなあ。日本に居た時もこんな風にぐだぐだになったら解散しているし、そういった流れとか空気とかはこっちの世界でも同じだと思うし。
俺が一人頭の中で帰ったら何をしようか考えている間、彼女らはあれこれと意見を出し合って如何に時間を潰すかを議論している。やれ何処かの飲食店を見て回るだの聞き込みをして観光名所を探すだのといった意見が出るものの、決定打と言えるものは出てこないようである。
大体の意見が出尽くしたのか二人とも腕を組んで『うーん』と唸りながら首を捻っている。俺はそろそろ頃合いだろうと思い口を開こうとしたその時、リーディアは何かを思いついたようで『あっ!』と言って顔を上げた。
「そうだ! 二人も城に来てはどうだろうか?!」
彼女は名案を思い付いたとばかりに何度も『うんうん』と頷いているが、それはこの街に来た時に遠慮させてもらうって言わなかったっけ?
「いやあ、俺が行くと城の人達が怯えちゃうだろうし……」
ただの住人ならばともかく、城で働いている人間ともなれば俺の顔を知っていてもおかしくない。そして知っていた場合どういった反応をされるかは……、ガイウスとかいう男の反応を思い出せば簡単に予想できる。そのため俺は彼女の意見をやんわりと断ろうとしたのだが……。
「何を言っているのだリョウ殿。先程使っていた魔法を使えば良いではないか」
「あ、それもそうだね!」
そこら辺は彼女もちゃんと考えていたらしく具体的な案で返されてしまう。確かにそうすれば城の人達が騒ぐことも無いためシャルもその意見に同意してしまい、『それじゃ師匠、行こ?』なんて言いながら腕を組んでくるし、リーディアはといえばもう城に向かって歩き始めている。
ふええ……、二人ともすっかりその気になっちゃってるよぉ。なんていうかね、面倒なことになりそうだから城に行きたくない、というよりもぶっちゃけボロスの野郎に会いたくないんだよぉ。
シャルに引っ張られて城へと向かいながら俺は彼女らに水を差さないような言い訳を必死で考えるも、口をもごもごとさせるばかりで何も言えないままとうとう城の前にまで来てしまったのであった……。
話を聞く限りではボロスやリーディアがどっかの貴族の末裔というようでも無さそうであり、彼女がそう振る舞うための教育を受けたということも無いようである。そうなるとよくもまあ知らない男に褒美として与えられる事に抵抗しなかったなあと思うが、あの時の彼女の様子を思い出して『そもそも剣術を教わる事しか頭に無かったんだろう』と俺は納得する。
それから数ヵ所ほどリーディアに連れられて見て回るが、やはりというべきかそれだけで終わってしまう程に一日は短くない。それぞれの距離が離れていたので多少時間はかかったがそれでもまだ日は高く、時間に直せば凡そ二時にしかなっていない。
「それで、これからどうする」
元々の目的を早々にどちらも達成してしまったため、やる事が本気で無くなってしまった。ついでに気も抜けてしまっているので俺の頭は働かない。念のためにとどこか観光名所のような場所は無いかとリーディアに尋ねてみるも、『いや、そういった場所に心当たりは無くてな……』と言われてしまう。現地人なのに何故と思わなくもないが、恐らく剣術と自分だけの秘密の場所を探すのにしか興味がなかったのだろう。
「大きくなってからそういった場所には行かなかったの?」
「手伝えるようになってからはずっと父の手伝いをしていたからな、すまない」
いつまでもそれだけしかしないという事も無いだろうと考えたのか、シャルがリーディアに尋ねるも返事はご覧の通りである。加えてリーディアが申し訳なさそうにして深々と頭を下げてしまったので謝られたシャルの方がわたわたと慌ててしまっている。
もう何度か繰り返しているがこれ帰宅していいんじゃないかなあ。日本に居た時もこんな風にぐだぐだになったら解散しているし、そういった流れとか空気とかはこっちの世界でも同じだと思うし。
俺が一人頭の中で帰ったら何をしようか考えている間、彼女らはあれこれと意見を出し合って如何に時間を潰すかを議論している。やれ何処かの飲食店を見て回るだの聞き込みをして観光名所を探すだのといった意見が出るものの、決定打と言えるものは出てこないようである。
大体の意見が出尽くしたのか二人とも腕を組んで『うーん』と唸りながら首を捻っている。俺はそろそろ頃合いだろうと思い口を開こうとしたその時、リーディアは何かを思いついたようで『あっ!』と言って顔を上げた。
「そうだ! 二人も城に来てはどうだろうか?!」
彼女は名案を思い付いたとばかりに何度も『うんうん』と頷いているが、それはこの街に来た時に遠慮させてもらうって言わなかったっけ?
「いやあ、俺が行くと城の人達が怯えちゃうだろうし……」
ただの住人ならばともかく、城で働いている人間ともなれば俺の顔を知っていてもおかしくない。そして知っていた場合どういった反応をされるかは……、ガイウスとかいう男の反応を思い出せば簡単に予想できる。そのため俺は彼女の意見をやんわりと断ろうとしたのだが……。
「何を言っているのだリョウ殿。先程使っていた魔法を使えば良いではないか」
「あ、それもそうだね!」
そこら辺は彼女もちゃんと考えていたらしく具体的な案で返されてしまう。確かにそうすれば城の人達が騒ぐことも無いためシャルもその意見に同意してしまい、『それじゃ師匠、行こ?』なんて言いながら腕を組んでくるし、リーディアはといえばもう城に向かって歩き始めている。
ふええ……、二人ともすっかりその気になっちゃってるよぉ。なんていうかね、面倒なことになりそうだから城に行きたくない、というよりもぶっちゃけボロスの野郎に会いたくないんだよぉ。
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