幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について
90話目 アンの夢とか
それからガンダスは『予算は』と言って俺の持ち金を聞き出し、『待ってろ』と短く言うと店の奥に隠れてしまった。店主が唐突に行ってしまったため俺とシャルは手持無沙汰になってしまう。しかしアンはこういった事態には慣れているようで、いつの間にか用意していたお茶を俺達に渡してすっかりシャルと打ち解けてしまった。
「それじゃあシャルねーちゃんはリョウにーちゃんとちゅーしたりするのか?!」
「えーっと、アンちゃんにはまだそういう話は……」
「するんだな?! 大人なんだな?!」
「えっと、だからね?」
打ち解けた、というよりもそういった話題に興味津々なアンがシャルに怒涛の勢いで質問責めにしていると言った方が正しいかもれない。聞けばまだ七歳だというのに、なんともマセた子供だろう。まあ元の世界の七歳の男子ならうんこーうんこーと言って喜んでたような気もするのでそれよりはマシ……、なのか?
幸いにも話題が飛び飛びなため話辛い話題もそう長くは続かない。元々アンが最も興味のある話は鍛冶仕事に関する事であるため自然と話題はそれに関係することに落ち着いていく。だからシャルさん、助けを求めてこちらを見ていたのを無視したのは許してください。
「いつかあたいは父ちゃんみたいに凄い鍛冶師になるんだ!」
ドワーフは男性も女性も手先が器用なのは同じだが、男性は鍛冶仕事に、女性は装飾品関係や製薬等に就くのが普通らしい。そのため女の子のアンが父親の跡を継ぐというのは珍しいことなのだそうだ。本当ならこうして客の相手をするよりも父親の仕事の様子を見学したいらしいが、『危ないから駄目だ』と言って見せてくれないとのことだ。
「でも本当は父ちゃんも嬉しがってるのはあたいも知ってんだ」
へへっ、と赤毛を揺らして笑いながらアンはそう言う。そりゃあ自分の娘に『父ちゃんみたいになる』って言われて嬉しくならない親はそう居ないだろう。ガンダスも例外ではなく、そう言う度に口の端が吊り上がっているらしい。口髭に隠れて分からないと思うのだが、アンはどうやってそれを見ているのだろうか……。
ともあれ今は店の手伝いをしながら、隙を見てはガンダスの弟子にちょこちょこと教えてもらっているらしい。何とかしてガンダスに認めてもらって正式に教えてもらいたいとアンは言っているが、アイラさんの店ではなくガンダスの店を手伝わせている時点で両親がどう考えているかは察せられるが俺達からは何も言わずにいた。
一時間程するとガンダスがのっそりと現れる。その手には剣が握られており、それを早く振りたいとばかりに俺の心臓が早鐘を打つ。新しい玩具を手にした少年のような俺の反応を見てシャルは微笑み、アンは自慢げに、アイラさんそっくりに胸を張った。ガンダスの表情はよく分からなかった。
さて、破格の金貨四枚という安さに驚きながらも即金で支払ったので本来ならばそれで店を去るのだが、ここで俺はガンダスに一つ頼み事をしてしまった。先程頭を過った考えが、もし俺の剣の柄をガンダスが仕上げたならばという考えが、好奇心が抑えきれなかったのだ。
初めはあからさまに機嫌を悪くしたガンダスであったが、頭を下げてお願いしたのと『アイラさんがおまけするように言ってた』と伝えると、彼は渋々ながらといった様子で手を差し出してきた。
俺は腰に差している剣を鞘ごとガンダスに渡し、受け取ったガンダスは顔をしかめる。恐らくアイラさんと同じように、その造りの気味の悪さ等に不快感を覚えているのだろう。その事に若干の申し訳なさを覚えてしまう。そして彼は刀身を確かめるべく鞘から剣を引き抜くが、しばらくすると彼の手が震え始めた。見れば細かった目がカッと見開かれて食い入るように剣を見ている。
「これを作ったのは誰だ」
心配になり声をかけるべきか悩んでいるとガンダスがそう尋ねてきた。あ、うん、忘れてたけどやっぱりさっきと同じ流れなのね……。
「それじゃあシャルねーちゃんはリョウにーちゃんとちゅーしたりするのか?!」
「えーっと、アンちゃんにはまだそういう話は……」
「するんだな?! 大人なんだな?!」
「えっと、だからね?」
打ち解けた、というよりもそういった話題に興味津々なアンがシャルに怒涛の勢いで質問責めにしていると言った方が正しいかもれない。聞けばまだ七歳だというのに、なんともマセた子供だろう。まあ元の世界の七歳の男子ならうんこーうんこーと言って喜んでたような気もするのでそれよりはマシ……、なのか?
幸いにも話題が飛び飛びなため話辛い話題もそう長くは続かない。元々アンが最も興味のある話は鍛冶仕事に関する事であるため自然と話題はそれに関係することに落ち着いていく。だからシャルさん、助けを求めてこちらを見ていたのを無視したのは許してください。
「いつかあたいは父ちゃんみたいに凄い鍛冶師になるんだ!」
ドワーフは男性も女性も手先が器用なのは同じだが、男性は鍛冶仕事に、女性は装飾品関係や製薬等に就くのが普通らしい。そのため女の子のアンが父親の跡を継ぐというのは珍しいことなのだそうだ。本当ならこうして客の相手をするよりも父親の仕事の様子を見学したいらしいが、『危ないから駄目だ』と言って見せてくれないとのことだ。
「でも本当は父ちゃんも嬉しがってるのはあたいも知ってんだ」
へへっ、と赤毛を揺らして笑いながらアンはそう言う。そりゃあ自分の娘に『父ちゃんみたいになる』って言われて嬉しくならない親はそう居ないだろう。ガンダスも例外ではなく、そう言う度に口の端が吊り上がっているらしい。口髭に隠れて分からないと思うのだが、アンはどうやってそれを見ているのだろうか……。
ともあれ今は店の手伝いをしながら、隙を見てはガンダスの弟子にちょこちょこと教えてもらっているらしい。何とかしてガンダスに認めてもらって正式に教えてもらいたいとアンは言っているが、アイラさんの店ではなくガンダスの店を手伝わせている時点で両親がどう考えているかは察せられるが俺達からは何も言わずにいた。
一時間程するとガンダスがのっそりと現れる。その手には剣が握られており、それを早く振りたいとばかりに俺の心臓が早鐘を打つ。新しい玩具を手にした少年のような俺の反応を見てシャルは微笑み、アンは自慢げに、アイラさんそっくりに胸を張った。ガンダスの表情はよく分からなかった。
さて、破格の金貨四枚という安さに驚きながらも即金で支払ったので本来ならばそれで店を去るのだが、ここで俺はガンダスに一つ頼み事をしてしまった。先程頭を過った考えが、もし俺の剣の柄をガンダスが仕上げたならばという考えが、好奇心が抑えきれなかったのだ。
初めはあからさまに機嫌を悪くしたガンダスであったが、頭を下げてお願いしたのと『アイラさんがおまけするように言ってた』と伝えると、彼は渋々ながらといった様子で手を差し出してきた。
俺は腰に差している剣を鞘ごとガンダスに渡し、受け取ったガンダスは顔をしかめる。恐らくアイラさんと同じように、その造りの気味の悪さ等に不快感を覚えているのだろう。その事に若干の申し訳なさを覚えてしまう。そして彼は刀身を確かめるべく鞘から剣を引き抜くが、しばらくすると彼の手が震え始めた。見れば細かった目がカッと見開かれて食い入るように剣を見ている。
「これを作ったのは誰だ」
心配になり声をかけるべきか悩んでいるとガンダスがそう尋ねてきた。あ、うん、忘れてたけどやっぱりさっきと同じ流れなのね……。
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