幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について
13話目 暴走
シャルに魔法を教えてから数日たったがやはりシャルの様子がおかしい。調子が戻るどころか日が経つにつれてどんどんと落ち込んでいっているように思える。
彼女の保護者としては原因を突き止めて何とかした方がいいのではないかと思うものの、子育ての経験など無いため何をすべきなのかさっぱりわからない。こういう時は知識魔法の出番なのだが、これで得られるのはあくまで知識だけなので経験までは得られない。
きちんとした対処が出来ないまま時間が過ぎ、そしてとうとう事件が起こった。
最初の内はシャルが魔法を使う際には俺は付きっ切りでいたが、込める魔力量を多少間違えても体が弾け飛ばない程度にはシャルの魔力量が増えたため、俺はシャルが訓練をしている間は庭でいつもの訓練をするようにした。
この間思いついた転移魔法を使った戦闘を試していると大きな魔力のうねりを感知する。そのうねりはシャルがいる方向から感じられ、明らかに多少魔力量の調整を間違ったようなものではない。
そして一番不味いのはこの魔力量はシャルの許容量を大幅に超えるものであることで、発動してしまえばシャルの体は跡形もなく弾け飛んでしまうだろう。
「ッ!」
悠長に走っていく余裕などないので転移魔法を用いてシャルの下へ行く。シャルの目の前に現れたが魔法は発動寸前であり一刻の猶予もない。
「シャル!」
俺は発動に不足している魔力をシャルに注ぎ込みつつ魔法の発動を阻害する。シャルの腕に皹が入ってるため治癒の魔法も同時に発動してシャルの体が弾け飛ばないようにする。
今までやったことのない作業だったが何とか成功して発動一歩手前で魔法を止めることが出来た。弾けそうになっていた体も抑え込むことが出来たし危機は回避できたと言っていいだろう。き、危機一髪だった……。
「この馬鹿!」
「痛い!」
『ガスッ!』と音が出る程強くシャルの頭をゲンコツで殴る。
「どうして教えてない魔法を使おうとしたんだ! もう少しでお前が死ぬところだったんだぞ!」
「で、でも……」
「『でも』じゃない! またこんなことするようだったら魔法を使うことが出来なくなるようにするからな!」
「そ、そんなのやだ!」
「だったら教えてない魔法は使うんじゃない! 返事は!」
「……はい」
はあ、一体どうしたってんだ。様子がおかしいとは思っていたがまさかここまで暴走するとは思っていなかった。
「今日は魔法の訓練は中止だ。部屋に行って本でも読んでなさい」
「わかりました……」
自分が悪いということは理解しているのだろう、シャルは渋々と言った様子だが俺の言葉に大人しく従うようだ。
「言っておくが部屋で魔法の練習をしようとしても魔法を使えなくするからな」
「はい……」
その日の夜、自室のベッドの上に寝ころびながら俺は一人悩んでいた。やはり叩いたのはやりすぎだっただろうか……。
あの後シャルは夕食の準備の手伝いを申し出ることもなくずっと部屋にいた。彼女を慰める意味も込めてパンやスープなど彼女が気に入っている料理を用意したが、食事が始まっても反応が薄く、ずっと暗い顔のままだった。
「やっぱりきちんと話し合うべきだよな……」
何が悪いのか、どうすればいいのか自分一人ではわからないし、この手の問題はやはりきちんと話し合うべきだろう。そう考えて俺は明日どうやって話を切り出そうか悩んでいると控えめに扉をノックする音が聞こえた。
「シャル? どうした?」
俺が声をかけるとシャルが部屋に入ってきた。その顔は何か思いつめたものであり、何と声をかけていいかわからなくなる。
そして俺がシャルに声をかけるよりも先に彼女は口を開いた。
「リョウ様、どうか私の体を使ってください」
彼女の保護者としては原因を突き止めて何とかした方がいいのではないかと思うものの、子育ての経験など無いため何をすべきなのかさっぱりわからない。こういう時は知識魔法の出番なのだが、これで得られるのはあくまで知識だけなので経験までは得られない。
きちんとした対処が出来ないまま時間が過ぎ、そしてとうとう事件が起こった。
最初の内はシャルが魔法を使う際には俺は付きっ切りでいたが、込める魔力量を多少間違えても体が弾け飛ばない程度にはシャルの魔力量が増えたため、俺はシャルが訓練をしている間は庭でいつもの訓練をするようにした。
この間思いついた転移魔法を使った戦闘を試していると大きな魔力のうねりを感知する。そのうねりはシャルがいる方向から感じられ、明らかに多少魔力量の調整を間違ったようなものではない。
そして一番不味いのはこの魔力量はシャルの許容量を大幅に超えるものであることで、発動してしまえばシャルの体は跡形もなく弾け飛んでしまうだろう。
「ッ!」
悠長に走っていく余裕などないので転移魔法を用いてシャルの下へ行く。シャルの目の前に現れたが魔法は発動寸前であり一刻の猶予もない。
「シャル!」
俺は発動に不足している魔力をシャルに注ぎ込みつつ魔法の発動を阻害する。シャルの腕に皹が入ってるため治癒の魔法も同時に発動してシャルの体が弾け飛ばないようにする。
今までやったことのない作業だったが何とか成功して発動一歩手前で魔法を止めることが出来た。弾けそうになっていた体も抑え込むことが出来たし危機は回避できたと言っていいだろう。き、危機一髪だった……。
「この馬鹿!」
「痛い!」
『ガスッ!』と音が出る程強くシャルの頭をゲンコツで殴る。
「どうして教えてない魔法を使おうとしたんだ! もう少しでお前が死ぬところだったんだぞ!」
「で、でも……」
「『でも』じゃない! またこんなことするようだったら魔法を使うことが出来なくなるようにするからな!」
「そ、そんなのやだ!」
「だったら教えてない魔法は使うんじゃない! 返事は!」
「……はい」
はあ、一体どうしたってんだ。様子がおかしいとは思っていたがまさかここまで暴走するとは思っていなかった。
「今日は魔法の訓練は中止だ。部屋に行って本でも読んでなさい」
「わかりました……」
自分が悪いということは理解しているのだろう、シャルは渋々と言った様子だが俺の言葉に大人しく従うようだ。
「言っておくが部屋で魔法の練習をしようとしても魔法を使えなくするからな」
「はい……」
その日の夜、自室のベッドの上に寝ころびながら俺は一人悩んでいた。やはり叩いたのはやりすぎだっただろうか……。
あの後シャルは夕食の準備の手伝いを申し出ることもなくずっと部屋にいた。彼女を慰める意味も込めてパンやスープなど彼女が気に入っている料理を用意したが、食事が始まっても反応が薄く、ずっと暗い顔のままだった。
「やっぱりきちんと話し合うべきだよな……」
何が悪いのか、どうすればいいのか自分一人ではわからないし、この手の問題はやはりきちんと話し合うべきだろう。そう考えて俺は明日どうやって話を切り出そうか悩んでいると控えめに扉をノックする音が聞こえた。
「シャル? どうした?」
俺が声をかけるとシャルが部屋に入ってきた。その顔は何か思いつめたものであり、何と声をかけていいかわからなくなる。
そして俺がシャルに声をかけるよりも先に彼女は口を開いた。
「リョウ様、どうか私の体を使ってください」
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