ワルフラーン ~廃れし神話
幻覚揺蕩
それが果たして現実のモノであると理解する事に大した時間は掛からなかった。自分はものの見事に引っかかってしまったのだ、偽者の彼女の死を引き金に発生する結界に。あれは偽装してアルドを油断させる為でも、一方的に攻撃する為でもなく、むしろ殺させる為にあんな偽装をしていたのだ。そう考えれば、イティスを材料にした事も説明が付く。
「オニイチャン、オニイチャン……」
「オニイチャン、オニイチャン……」
「オニイチャン、オニイチャン……」
色々言いたい事はあるが、取り敢えず気色が悪い。ここまで大量の妹を持った覚えは無い上に、全員が同じ顔だ。幾ら美人と言ったってこれは限度を通り過ぎている。こちらへの嫌がらせのつもりだろうが、大成功だ。アルドは特に言葉を発する事無く再度抜刀。これ程の数となれば素早く数えられないが、この風景、自分は一度だけ見た事がある。イティスでは無く、数の話だ。
そう、あれはエヌメラを倒す前の話。全面戦争が始まり、攻勢に出たアルドが見た、最初にして最後の風景。
数にして百万。
武器は多種多様な物が揃い、中にはどうやって使うのかすら分からないモノもあった。
魔術を使う物も居た。
竜に乗る者も居た。
はたまた魔力を解放して、理性を失っている者も居た。
その時見た風景と今回の風景。とても良く似ている。何処を見てもイティスばかりで数えにくいが、その数は百万人かそれ以上居る事をアルドは肌で感じ取った。あの時の戦う意義がイティスにあったとするならば。これは執行者からの盛大な皮肉と受け取っても良いのだろうか。安っぽい偽物とはいえ、前方に存在するイティスはこちらを嘲笑うかのように覚えたての単語を口にしている。言葉には霊力が宿るらしいが、今の彼女達の言葉はそんなモノが欠片たりとも乗っかっていない。空虚だ。何も無い。何の意味も無い。何の意味も無いから、雑音にしか聞こえない。
―――もう、無茶は許されないのだがな。
既にこの体は死にかけている。いや、実際は死んでいるのかもしれない。死が疲労と変換される呪いを受けて数年。エヌメラとの戦い以降、アルドは一歩一歩と歩く度に疲れを感じるようになった。それは目を逸らす事しか出来ない確かな死が生み出す疲労だという事には直ぐに気付いた。それでも大陸奪還を完了してない以上は死ぬ訳にはいかなくて、今まで必死に生きてきたのだが……もしかしたら、それもここまでとなりそうである。この体が半分人間である以上、その力は無限ではない。やがて使い切る時が来てしまう。ひょっとしたら、今がその時か。
「助けてあげましょうか」
不意にそんな声が聞こえてくる。背後を振り返ると、何処かで見た事があるような顔がそこにあった。確かその顔は、闘技街を見回りしている際に発見した女性の顔と酷似……というよりそのままである。彼女が善人であるのならその言葉を受け入れるのも吝かでは無かったが、この異常空間に入ってきている時点でそれは無い。
「誰だ?」
「初めまして、と言うべきかしら。闘技街では助けてくれて感謝しているわ。私の名前はレイナス。貴方って、とても優しい人なのね。私を見て膣や胸に触らない様に配慮するなんて、中々出来る事じゃないと思うわよ」
「男としては当然の配慮だ。それで、お前は一体何をしに来た」
そこで会話が一旦途切れる。こちらへの返事などどうでもいいかのように、やがてレイナスが何処へか語る様に歩き出した。
「……いい部屋でしょう? ここはね、私のお腹の中なの。異空間……いえ、胃空間と言うべきかしらね。貴方の妹に見えているそれは私、今貴方と話しているのも私。この世界は、私そのものなのよ」
「何の話だ」
「……ねえ。貴方に選択させてあげる。貴方自身良く分かっているだろうけれど、その体じゃこの空間からは出られないわ。だから……選んでくれる? 胃空間に居る全ての『私』とまぐわって私を孕ませてくれるか、それとも全ての『私』に食べられて私を孕ませてくれるか。どちらが良いかしら」
アルドはこの手の話を特に苦手としているが、相手が気の触れた奴であれば話は別だ。自分はそういう存在を何度だって相手してきた。今更動揺する程こちらも経験は浅くない。
「お前は子供を孕みたいのか?」
「そうなのよッ! 私はね、あらゆる世界の頂点に立つ子供を作りたいの。でも中々良い子種が見つからなくて……」
「その目的は? お前はどうして最強の子供を産みたがる」
「……愉しい事は誰だって好きでしょう? 私はその欲望に従っているだけ。その子と共にあらゆる世界を破壊し尽くし、あらゆる存在を犯し尽くし、あらゆる価値を食い荒らす。それってとても、楽しい事だと思わない?」
そこまで聞いてようやく理解した。彼女は『死』の執行者の手先だ。奴もまた、一人では勝ち目が薄いと気付いて、別世界から協力者を引き連れて来ていたのだ。聞くに悍ましい、見るに堪えない。秩序を破壊する事を善しとする彼女の価値観は、欠片も理解出来ない。したくもない。しかしこの絶望的な状況が、その否定を捻じ曲げようと圧力を掛けてくる。
「だ・か・ら、貴方が必要なのよ。見る限り、中々素敵なモノを持っているようだし、悪い判断では無いと思うのよ。あ、人数を言っておいた方が良いかしら。終わりが見えている方がやる気も出るモノね!」
そう言ってレイナスが手を掲げると、イティスの偽物の前に、レイナスの分身が発生した。いやそれ処ではなかった。イティスの偽物は前方にのみ広大だが、レイナスの分身はアルドを取り囲むかのようにあらゆる方向に発生していた。
「貴方の過去を見させてもらったわ。百万人斬り何て凄いじゃない! この胃空間に居る私はその時のたった十倍よッ? ね、少ないでしょうッ?」
「な…………ッ! って事は―――」
「ええ。一千万人よ!」
この時の驚きを、自分は一体どうやって表現すれば良いのだろうか。その規模の大きさには、流石のアルドも剣を手放しそうになった。まるで自分の過去の栄光を全てひっくり返されたような、そんな感じ。いや、これすらも表現するにはあまりに力が足りなすぎる。一千万人何て……五大陸の全人口を優に上回っているではないか。彼女の出した選択のどちらを選ぶにしても、自分は一千万人を相手にしなければいけないらしい。
「……一応聞いておく。食べられた場合はどうなるんだ」
「この胃空間に居る『私』もね、その体に細分された胃空間を持っているの。貴方の喰われた場所……ううん、魂は、そこでも食べられる。更にその体の中の胃空間で食べられた魂は、更に更にその中にある胃空間に取り込まれて」
「分かった、もういい。要するに、欠片も残さず食べられる訳だな」
こんな言葉を言った所でどうしようもないが、どうすればいいのだろうか。どんな選択をしようがこの一千万人に何らかの対処をしなければいけない事は確実。しかしながら今の自分にこの軍勢を相手どる事なんて――――――
「……それでは選択しよう。私は……」
それは違う。自分は二代目『勝利』だ。絶対的な強さの証を冠っておきながら、出来ない等と言ってはいけない。そんな事を言ってしまったら他の『勝利』はどうなる? エインにもクリヌスにも顔向け出来なくなってしまう。自分は『勝利』、『勝利の英雄』。
こと圧倒的不利から始まる戦いにおいて、決して出来ない等と宣ってはいけない存在なのだ!
「お前達を殺し、外に出るだけだ!」
「あらそう。やってみると良いわ。どうせそんな事、魔術の才能も無ければ剣の才能も無い貴方なんかに、出来る訳が無いんだから」
迫りくる軍勢へ只一人、アルド・クウィンツは飛び込んだ。勝ち目の薄い戦いである事は察していたが、引き下がる訳にはいかなかったのだ。
英雄としても、自分の愛する者の為にも。
「はあああああああああああああああああああああああああああ!」
霊脈から間接的に妨害してくるとは大した敵だ。しかし八百万の権能を使える自分が負ける訳にはいかない。それは自らの知識となってくれた全ての神への侮辱になってしまうから。
「フィージェントさん……! わた、し……も、う―――」
「もう少しだから耐えろ! 魔力を解放して時間を稼げ!」
武具を生成したとしても役には立たない。この場合において最適な権能はどれだ。『破壊』は逆効果、『吸収』は二次被害を呼ぶだけ、『反射』は大陸が爆発する。『変身』は効果なし、『移動』は本末転倒―――ならば、『光輝』しかない。
「『悠穩』!」
手元に現れた木槌を台に叩きつけると、万物を調停する静かな波動が反響。と同時に、エリに流れ込んでいた魔力がピタリと止まった。
「…………はあ、止まった」
エリは玉聖槍から手を離し、その場に崩れ落ちた。辛うじて意識は残っているようで、頭を台に叩きつけた時、僅かに喘ぐ。こちらも頭痛が最高潮に至ってしまい、数分は動けそうもないだろう。
「生きてるか、エリ」
「……………………………………何とか。そちらは」
「頭痛ぇ。休む」
しかしこれでこの大陸から魔力は消え去った。自然治癒の消失などのデメリットはあるが、これでもうこの大陸に穴が開く事は無い筈だ。仮に開いたとしても、今ここで空になった霊脈に能力を発動して大陸全土の『住人』を消し去ればいいだけの事。多少の被害は被ったが、どうにか作戦を成功させる事が出来て良かった。
只一つ気がかりなのは、未だにアルドが帰って来ない事だけである。
「……なあエリ。そっちの方から先生の姿見えるか?」
今は権能を使っていないのでその姿を確認する事は出来ない。入り口側に背中を向けていたエリにそう尋ねてみたが、彼女は力なく首を振った。
「…………アルドさん、の事……です。から。その―――内、帰って、くるん……じゃないですか?」
「……ま、それもそうか。先生をどうにかするなんて並大抵の事じゃないからな。よっぽどイカれた事態に巻き込まれない限り、大丈夫だろ」
「オニイチャン、オニイチャン……」
「オニイチャン、オニイチャン……」
「オニイチャン、オニイチャン……」
色々言いたい事はあるが、取り敢えず気色が悪い。ここまで大量の妹を持った覚えは無い上に、全員が同じ顔だ。幾ら美人と言ったってこれは限度を通り過ぎている。こちらへの嫌がらせのつもりだろうが、大成功だ。アルドは特に言葉を発する事無く再度抜刀。これ程の数となれば素早く数えられないが、この風景、自分は一度だけ見た事がある。イティスでは無く、数の話だ。
そう、あれはエヌメラを倒す前の話。全面戦争が始まり、攻勢に出たアルドが見た、最初にして最後の風景。
数にして百万。
武器は多種多様な物が揃い、中にはどうやって使うのかすら分からないモノもあった。
魔術を使う物も居た。
竜に乗る者も居た。
はたまた魔力を解放して、理性を失っている者も居た。
その時見た風景と今回の風景。とても良く似ている。何処を見てもイティスばかりで数えにくいが、その数は百万人かそれ以上居る事をアルドは肌で感じ取った。あの時の戦う意義がイティスにあったとするならば。これは執行者からの盛大な皮肉と受け取っても良いのだろうか。安っぽい偽物とはいえ、前方に存在するイティスはこちらを嘲笑うかのように覚えたての単語を口にしている。言葉には霊力が宿るらしいが、今の彼女達の言葉はそんなモノが欠片たりとも乗っかっていない。空虚だ。何も無い。何の意味も無い。何の意味も無いから、雑音にしか聞こえない。
―――もう、無茶は許されないのだがな。
既にこの体は死にかけている。いや、実際は死んでいるのかもしれない。死が疲労と変換される呪いを受けて数年。エヌメラとの戦い以降、アルドは一歩一歩と歩く度に疲れを感じるようになった。それは目を逸らす事しか出来ない確かな死が生み出す疲労だという事には直ぐに気付いた。それでも大陸奪還を完了してない以上は死ぬ訳にはいかなくて、今まで必死に生きてきたのだが……もしかしたら、それもここまでとなりそうである。この体が半分人間である以上、その力は無限ではない。やがて使い切る時が来てしまう。ひょっとしたら、今がその時か。
「助けてあげましょうか」
不意にそんな声が聞こえてくる。背後を振り返ると、何処かで見た事があるような顔がそこにあった。確かその顔は、闘技街を見回りしている際に発見した女性の顔と酷似……というよりそのままである。彼女が善人であるのならその言葉を受け入れるのも吝かでは無かったが、この異常空間に入ってきている時点でそれは無い。
「誰だ?」
「初めまして、と言うべきかしら。闘技街では助けてくれて感謝しているわ。私の名前はレイナス。貴方って、とても優しい人なのね。私を見て膣や胸に触らない様に配慮するなんて、中々出来る事じゃないと思うわよ」
「男としては当然の配慮だ。それで、お前は一体何をしに来た」
そこで会話が一旦途切れる。こちらへの返事などどうでもいいかのように、やがてレイナスが何処へか語る様に歩き出した。
「……いい部屋でしょう? ここはね、私のお腹の中なの。異空間……いえ、胃空間と言うべきかしらね。貴方の妹に見えているそれは私、今貴方と話しているのも私。この世界は、私そのものなのよ」
「何の話だ」
「……ねえ。貴方に選択させてあげる。貴方自身良く分かっているだろうけれど、その体じゃこの空間からは出られないわ。だから……選んでくれる? 胃空間に居る全ての『私』とまぐわって私を孕ませてくれるか、それとも全ての『私』に食べられて私を孕ませてくれるか。どちらが良いかしら」
アルドはこの手の話を特に苦手としているが、相手が気の触れた奴であれば話は別だ。自分はそういう存在を何度だって相手してきた。今更動揺する程こちらも経験は浅くない。
「お前は子供を孕みたいのか?」
「そうなのよッ! 私はね、あらゆる世界の頂点に立つ子供を作りたいの。でも中々良い子種が見つからなくて……」
「その目的は? お前はどうして最強の子供を産みたがる」
「……愉しい事は誰だって好きでしょう? 私はその欲望に従っているだけ。その子と共にあらゆる世界を破壊し尽くし、あらゆる存在を犯し尽くし、あらゆる価値を食い荒らす。それってとても、楽しい事だと思わない?」
そこまで聞いてようやく理解した。彼女は『死』の執行者の手先だ。奴もまた、一人では勝ち目が薄いと気付いて、別世界から協力者を引き連れて来ていたのだ。聞くに悍ましい、見るに堪えない。秩序を破壊する事を善しとする彼女の価値観は、欠片も理解出来ない。したくもない。しかしこの絶望的な状況が、その否定を捻じ曲げようと圧力を掛けてくる。
「だ・か・ら、貴方が必要なのよ。見る限り、中々素敵なモノを持っているようだし、悪い判断では無いと思うのよ。あ、人数を言っておいた方が良いかしら。終わりが見えている方がやる気も出るモノね!」
そう言ってレイナスが手を掲げると、イティスの偽物の前に、レイナスの分身が発生した。いやそれ処ではなかった。イティスの偽物は前方にのみ広大だが、レイナスの分身はアルドを取り囲むかのようにあらゆる方向に発生していた。
「貴方の過去を見させてもらったわ。百万人斬り何て凄いじゃない! この胃空間に居る私はその時のたった十倍よッ? ね、少ないでしょうッ?」
「な…………ッ! って事は―――」
「ええ。一千万人よ!」
この時の驚きを、自分は一体どうやって表現すれば良いのだろうか。その規模の大きさには、流石のアルドも剣を手放しそうになった。まるで自分の過去の栄光を全てひっくり返されたような、そんな感じ。いや、これすらも表現するにはあまりに力が足りなすぎる。一千万人何て……五大陸の全人口を優に上回っているではないか。彼女の出した選択のどちらを選ぶにしても、自分は一千万人を相手にしなければいけないらしい。
「……一応聞いておく。食べられた場合はどうなるんだ」
「この胃空間に居る『私』もね、その体に細分された胃空間を持っているの。貴方の喰われた場所……ううん、魂は、そこでも食べられる。更にその体の中の胃空間で食べられた魂は、更に更にその中にある胃空間に取り込まれて」
「分かった、もういい。要するに、欠片も残さず食べられる訳だな」
こんな言葉を言った所でどうしようもないが、どうすればいいのだろうか。どんな選択をしようがこの一千万人に何らかの対処をしなければいけない事は確実。しかしながら今の自分にこの軍勢を相手どる事なんて――――――
「……それでは選択しよう。私は……」
それは違う。自分は二代目『勝利』だ。絶対的な強さの証を冠っておきながら、出来ない等と言ってはいけない。そんな事を言ってしまったら他の『勝利』はどうなる? エインにもクリヌスにも顔向け出来なくなってしまう。自分は『勝利』、『勝利の英雄』。
こと圧倒的不利から始まる戦いにおいて、決して出来ない等と宣ってはいけない存在なのだ!
「お前達を殺し、外に出るだけだ!」
「あらそう。やってみると良いわ。どうせそんな事、魔術の才能も無ければ剣の才能も無い貴方なんかに、出来る訳が無いんだから」
迫りくる軍勢へ只一人、アルド・クウィンツは飛び込んだ。勝ち目の薄い戦いである事は察していたが、引き下がる訳にはいかなかったのだ。
英雄としても、自分の愛する者の為にも。
「はあああああああああああああああああああああああああああ!」
霊脈から間接的に妨害してくるとは大した敵だ。しかし八百万の権能を使える自分が負ける訳にはいかない。それは自らの知識となってくれた全ての神への侮辱になってしまうから。
「フィージェントさん……! わた、し……も、う―――」
「もう少しだから耐えろ! 魔力を解放して時間を稼げ!」
武具を生成したとしても役には立たない。この場合において最適な権能はどれだ。『破壊』は逆効果、『吸収』は二次被害を呼ぶだけ、『反射』は大陸が爆発する。『変身』は効果なし、『移動』は本末転倒―――ならば、『光輝』しかない。
「『悠穩』!」
手元に現れた木槌を台に叩きつけると、万物を調停する静かな波動が反響。と同時に、エリに流れ込んでいた魔力がピタリと止まった。
「…………はあ、止まった」
エリは玉聖槍から手を離し、その場に崩れ落ちた。辛うじて意識は残っているようで、頭を台に叩きつけた時、僅かに喘ぐ。こちらも頭痛が最高潮に至ってしまい、数分は動けそうもないだろう。
「生きてるか、エリ」
「……………………………………何とか。そちらは」
「頭痛ぇ。休む」
しかしこれでこの大陸から魔力は消え去った。自然治癒の消失などのデメリットはあるが、これでもうこの大陸に穴が開く事は無い筈だ。仮に開いたとしても、今ここで空になった霊脈に能力を発動して大陸全土の『住人』を消し去ればいいだけの事。多少の被害は被ったが、どうにか作戦を成功させる事が出来て良かった。
只一つ気がかりなのは、未だにアルドが帰って来ない事だけである。
「……なあエリ。そっちの方から先生の姿見えるか?」
今は権能を使っていないのでその姿を確認する事は出来ない。入り口側に背中を向けていたエリにそう尋ねてみたが、彼女は力なく首を振った。
「…………アルドさん、の事……です。から。その―――内、帰って、くるん……じゃないですか?」
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