ワルフラーン ~廃れし神話
啓示
「あ、エリさん。目覚めたんですね」
キリーヤは素直に喜んだが、エリはこちらを半目で見ながら、動こうとしなかった。やはりあの時の事を根に持っているのだろうか。急に逆らう事が悪い事だという事は、キリーヤ自身が一番良く分かっているが、それでもあの時、あの一瞬だけでも逆らえなければ、自分はそれ以上成長できないと思ったのだ。おそらく言いなりになるばかりではいずれ依存してしまうし、依存に陥っている者が英雄になどなれる訳がない。
いやしかし……やっぱり謝った方がいいか。
「本当に申し訳ございませんでした!」
「ああ……いや、気にしないでくれていいですよ。私は全然、これっぽっちも微塵たりとも灰燼に帰すぐらい怒ってませんから」
どうやら怒り過ぎて言語能力まで怪しくなっているようだ。騎士は規則を守って生活しているのだから、キリーヤのような反規則的というか、突飛な行動には怒りを隠せないのだろうが、それにしても怒りすぎでは、と思う。自分が子供だからかもしれないが、もう少し穏やかで居てもいいのではと、そう感じてしまう。
「エリさん、怒ってますよね?」
「怒ってませんッ、フン!」
エリは露骨に機嫌を悪くしながら、そっぽを向いた。何度目か分からない不機嫌だが、キリーヤも気を付けているのだ。気を付けて、こうなっている。
人はそれを気を付けている、と言うが、誰が何と言おうと気を付けているつもりだ。しかしこのまま不機嫌で居られるのはそこに理由が無くとも普通に困るので、なんとか話題を逸らさんと、記憶を漁る。
「あ、そうだエリさん。勝負結果は引き分けでしたよ。私達二人共、優勝扱いなんですッ」
「何故そんなに歓喜しているかが理解できませんね。……あ、そうだ。キリーヤちゃん、どうして会場なんかに来たんですか。理由はまだ教えてもらってませんよ?」
「……えー、道中で説明してみますから、聞いてくれます?」
「聞かない道理はないでしょう。というか、道中ってこれから何処に行くんですか」
「決まってるじゃないですか」
「決まってませんよ」
そういえばエリはクウェイとの会話を聞いていなかった。道理でキリーヤと会話がかみ合わない訳だ。何をどう考えてもキリーヤの会話の運び方が下手くそなだけなのだが、当人がそれに気づいていないというのは、何とも悲しい話である。
「えーと、村長さんの家ですよ。ほら。あそこの」
「この部屋に窓ありませんよ。適当に言ってるんですか?」
「……ま、まあとにかく行きましょう!」
まるで締まらないが、とにかく計画通りだ。行くとしようじゃないか。
別に村長の家など知らなくても、その村の長なのだから一番大きい家を捜せば大抵はそこが村長の家である。長は一番大きい家に住まなければならない道理はないが、かといって小さい家に住んだ場合、まるで民家と区別がつかないし、やはり大きい家である方がいいのだろう。
二人が家の前に立ち、扉を開くと、数人の侍女が二人を歓迎した。
「お待ちしておりました、エリ様、クウィ様」
「え?」
ここでばらされては不味い。石に魔力を流し、エリへと会話を飛ばす。
『お願いですから合わせてください!』
侍女が不思議そうにエリの顔を見た。「どうかなさいましたか?」
「い、いえ? 何でもない……訳ありません……ありません」
「? クエイカー様がお待ちです。二階突きあたって右側に部屋がございますので、そちらでお待ちください」
言われた通りに二人は進んでいき、部屋へと向かった。
「君達が決勝の二人か。初めまして、私はクエイカー。クエイカー・シルトンだ。この村の村長であると同時に、我が愛しき娘、リゼルの父親だ。さて、景品は娘との契りなのだが……よもや同性愛者という訳ではあるまい」
「当然です」
「まあ、はい」
「だから挙げられるものと言えば金貨くらいしか無い訳だが……」
そう言ってクエイカーが差し出してきたのは、金貨七十五枚。本来の景品である金貨の約半分の枚数だ。
「これは」
「これは前金、という奴です―――実は貴方がたに頼みたい事があるんですよ。それを引き受けてくれるのであれば、この前金は差し上げます」
その依頼を、キリーヤは既に分かっていたが、本来は絶対に分からない筈のそれ。あえてキリーヤは沈黙し、既に分かり切っている事を聞く。
「実はな……この村には慣習と言うのかな、ともかく一年毎にやる儀式のようなモノがあるのだが……今回、選ばれた者は……なんと私の娘なのだ!」
知っている。
「今まで致し方なし、致し方なしと送ってきた生贄だが……自分の娘とあらばそんな事を言っている場合では無いッ!」
きっと今まで生贄に選ばれた子供の親もそう思っていただろう。だが村長からすれば致し方なしなので、きっと無理やりにでも捧げられた……だというのに、自分の娘の時だけこうも取り乱すとは……実に勝手な気もする。珍しくエリも同じ気持ちのようで、目を顰めながら、クエイカーを見ている。
「……まあそうは思ったが、だからといって村に災いをもたらす訳には行かんのでな。大変心苦しいが……結婚の約束を反故にしてもらい、生贄にする事にしたのだ」
「ええ」
「だが……私の決断を理解してくれぬ者が居てな。そいつの名はパランナ・ウィゼンガー。この街一番の猛者であり、今まで二度、娘の生贄の儀を失敗させてきた愚者だ。一度目は護衛が三人程度だったので致し方なしとして、二度目は百人も連れて行ったのだぞ? だというのに、皆やられた……」
キリーヤはエリと顔を見合わせ、頷く。間違いない。どんな猛者も百人が相手では、アルドを除けば、大抵は負ける。という事は、間違いなく異名持ち所有者だ。
「君達に頼みたい事は他でもない。彼を斃し、儀式を無事に終了させてほしいのだ―――頼まれてくれるかな?」
断る訳には行かない。キリーヤが頷くと、クエイカーはにっこりと微笑んで金貨を袋に詰めて渡してきた。
「さあ、キ……クウィさん。行きましょうか」
「はい」
さて、クウェイの思惑通り、順調に事が運んだわけだが、次はエリも交えて会議を重ねるべきだろうか。或いはパランナも交えて……
背後に注がれる視線に気づく事無く、キリーヤは部屋を後にした。
宿屋ではクウェイが成果を期待したような瞳でこちらを見ていた。成果を伝えると、「そうかそうか」と嬉しそうに笑った。次いでエリを見て、クウェイは軽く自己紹介をしたが、エリは今いち信用出来ないとばかりに背を向け、会議場所という事にしたクウェイの部屋へ、一足先に向かって行った。
「……信用されなかったみたいだな」
渋い顔をするクウェイにキリーヤが苦笑いをする。いい人なのだが……エリの言う通り、胡散臭さが無い事も無い。アルドに騙されていた事も相まって、男性は余計信用出来ないのだろうか。
「ま、まあ話し合いには参加してくれるんですし、よしとしましょうよ」
「そうだな。じゃあまあ、俺達も向かうとしようか」
「はいッ」
三人は得た情報を共有した。といっても、大概はクウェイも知っている情報で、共有に意味があったかどうかは分からなかった。
「うーむ、そうか。大概は俺も知っているが、いやいやそうか。前金を渡されたか」
「何か問題があるんですか?」
「あいつらが渡す金貨には細工があってな。任務を全うしない限り、所有者の移行は認められない……何が言いたいかって言うとだな、俺からすれば妨害をして、儀を失敗させてほしい。だがあっちからすれば儀を完遂させてほしい。前金を渡したという事は、ある意味ではお前達を支配下に置いたと言う事だ。お前達だって旅には金がいるだろう? だが、アイツ等の任務を遂行しなければ、金貨は手に入らない。つまり……俺に被害は無いが、お前達には多大な被害がおよぶという事だ」
旅には危険が付き物だが、それ以上に付きまとってくるのは金銭事情だ。移動経路も場合によっては使うし、買い出しは言うまでも無く、ギルド何かに登録する時も金が必要だ。この金とやらを必要としない人間は居ない。どれ程貧乏で、脆弱。或いは守銭奴だったりしても、一切の金を使わない等有り得ないのだ。
だからクウェイの言う被害というのは、大げさな事では無い。只生活をするだけにも金を使うと言うのに、旅などという生活環境を目まぐるしく変えていく行為に、一体どうしてお金を使わないなんて言えるのか。
それに金貨七十五枚は本当に大金だ。モノに出来れば当分はお金に困らない。少しくらい無駄遣いをした所で大差ない程だ。それを、一応は傭兵をやっているクウェイも知っているので、かなり申し訳なさそうにしているのだろう。
「それで、どうすればいいんですか?」
「…………………………………………内部からの妨害は不可能としよう。だからえーと、日時は話を聞く限り、聞いてないみたいだから教えてやる。まあ後で通達が来ると思うが。明日だ。だからお前達は普通に遂行してくれ」
「つまり、普通に行って、パランナと戦闘をして、普通に任務を遂行すればいいんですね」
「簡単に言ってくれるな。アイツは正直言ってかなり強いぞ。アンタより弱い俺が言うのは何だが、初見じゃ確実に死ぬ」
エリは腕を組み、クウェイを睨んだ。
「私とこの槍の前に敵は居ませんッ」
その視線に気圧されつつ、クウェイは箪笥の引き出しから何かを取り出した。どうやら何かを記載した紙らしい。
「ここにあいつの得意魔術、使用武器を記載した紙がある」
「それが何か」
「見ておけばアンタでも勝てる筈だ」
「見ると思いますか」
「……話し合いは一旦中止だ。キリーヤ、でいいのかな。少し外に行かないか」
キリーヤがエリの方を見ると、エリは勝手にしろとばかりに目を瞑り、それ以上は動かなかった。
キリーヤは静かに一礼すると、クウェイと共に宿の外へと出て行った。
キリーヤは素直に喜んだが、エリはこちらを半目で見ながら、動こうとしなかった。やはりあの時の事を根に持っているのだろうか。急に逆らう事が悪い事だという事は、キリーヤ自身が一番良く分かっているが、それでもあの時、あの一瞬だけでも逆らえなければ、自分はそれ以上成長できないと思ったのだ。おそらく言いなりになるばかりではいずれ依存してしまうし、依存に陥っている者が英雄になどなれる訳がない。
いやしかし……やっぱり謝った方がいいか。
「本当に申し訳ございませんでした!」
「ああ……いや、気にしないでくれていいですよ。私は全然、これっぽっちも微塵たりとも灰燼に帰すぐらい怒ってませんから」
どうやら怒り過ぎて言語能力まで怪しくなっているようだ。騎士は規則を守って生活しているのだから、キリーヤのような反規則的というか、突飛な行動には怒りを隠せないのだろうが、それにしても怒りすぎでは、と思う。自分が子供だからかもしれないが、もう少し穏やかで居てもいいのではと、そう感じてしまう。
「エリさん、怒ってますよね?」
「怒ってませんッ、フン!」
エリは露骨に機嫌を悪くしながら、そっぽを向いた。何度目か分からない不機嫌だが、キリーヤも気を付けているのだ。気を付けて、こうなっている。
人はそれを気を付けている、と言うが、誰が何と言おうと気を付けているつもりだ。しかしこのまま不機嫌で居られるのはそこに理由が無くとも普通に困るので、なんとか話題を逸らさんと、記憶を漁る。
「あ、そうだエリさん。勝負結果は引き分けでしたよ。私達二人共、優勝扱いなんですッ」
「何故そんなに歓喜しているかが理解できませんね。……あ、そうだ。キリーヤちゃん、どうして会場なんかに来たんですか。理由はまだ教えてもらってませんよ?」
「……えー、道中で説明してみますから、聞いてくれます?」
「聞かない道理はないでしょう。というか、道中ってこれから何処に行くんですか」
「決まってるじゃないですか」
「決まってませんよ」
そういえばエリはクウェイとの会話を聞いていなかった。道理でキリーヤと会話がかみ合わない訳だ。何をどう考えてもキリーヤの会話の運び方が下手くそなだけなのだが、当人がそれに気づいていないというのは、何とも悲しい話である。
「えーと、村長さんの家ですよ。ほら。あそこの」
「この部屋に窓ありませんよ。適当に言ってるんですか?」
「……ま、まあとにかく行きましょう!」
まるで締まらないが、とにかく計画通りだ。行くとしようじゃないか。
別に村長の家など知らなくても、その村の長なのだから一番大きい家を捜せば大抵はそこが村長の家である。長は一番大きい家に住まなければならない道理はないが、かといって小さい家に住んだ場合、まるで民家と区別がつかないし、やはり大きい家である方がいいのだろう。
二人が家の前に立ち、扉を開くと、数人の侍女が二人を歓迎した。
「お待ちしておりました、エリ様、クウィ様」
「え?」
ここでばらされては不味い。石に魔力を流し、エリへと会話を飛ばす。
『お願いですから合わせてください!』
侍女が不思議そうにエリの顔を見た。「どうかなさいましたか?」
「い、いえ? 何でもない……訳ありません……ありません」
「? クエイカー様がお待ちです。二階突きあたって右側に部屋がございますので、そちらでお待ちください」
言われた通りに二人は進んでいき、部屋へと向かった。
「君達が決勝の二人か。初めまして、私はクエイカー。クエイカー・シルトンだ。この村の村長であると同時に、我が愛しき娘、リゼルの父親だ。さて、景品は娘との契りなのだが……よもや同性愛者という訳ではあるまい」
「当然です」
「まあ、はい」
「だから挙げられるものと言えば金貨くらいしか無い訳だが……」
そう言ってクエイカーが差し出してきたのは、金貨七十五枚。本来の景品である金貨の約半分の枚数だ。
「これは」
「これは前金、という奴です―――実は貴方がたに頼みたい事があるんですよ。それを引き受けてくれるのであれば、この前金は差し上げます」
その依頼を、キリーヤは既に分かっていたが、本来は絶対に分からない筈のそれ。あえてキリーヤは沈黙し、既に分かり切っている事を聞く。
「実はな……この村には慣習と言うのかな、ともかく一年毎にやる儀式のようなモノがあるのだが……今回、選ばれた者は……なんと私の娘なのだ!」
知っている。
「今まで致し方なし、致し方なしと送ってきた生贄だが……自分の娘とあらばそんな事を言っている場合では無いッ!」
きっと今まで生贄に選ばれた子供の親もそう思っていただろう。だが村長からすれば致し方なしなので、きっと無理やりにでも捧げられた……だというのに、自分の娘の時だけこうも取り乱すとは……実に勝手な気もする。珍しくエリも同じ気持ちのようで、目を顰めながら、クエイカーを見ている。
「……まあそうは思ったが、だからといって村に災いをもたらす訳には行かんのでな。大変心苦しいが……結婚の約束を反故にしてもらい、生贄にする事にしたのだ」
「ええ」
「だが……私の決断を理解してくれぬ者が居てな。そいつの名はパランナ・ウィゼンガー。この街一番の猛者であり、今まで二度、娘の生贄の儀を失敗させてきた愚者だ。一度目は護衛が三人程度だったので致し方なしとして、二度目は百人も連れて行ったのだぞ? だというのに、皆やられた……」
キリーヤはエリと顔を見合わせ、頷く。間違いない。どんな猛者も百人が相手では、アルドを除けば、大抵は負ける。という事は、間違いなく異名持ち所有者だ。
「君達に頼みたい事は他でもない。彼を斃し、儀式を無事に終了させてほしいのだ―――頼まれてくれるかな?」
断る訳には行かない。キリーヤが頷くと、クエイカーはにっこりと微笑んで金貨を袋に詰めて渡してきた。
「さあ、キ……クウィさん。行きましょうか」
「はい」
さて、クウェイの思惑通り、順調に事が運んだわけだが、次はエリも交えて会議を重ねるべきだろうか。或いはパランナも交えて……
背後に注がれる視線に気づく事無く、キリーヤは部屋を後にした。
宿屋ではクウェイが成果を期待したような瞳でこちらを見ていた。成果を伝えると、「そうかそうか」と嬉しそうに笑った。次いでエリを見て、クウェイは軽く自己紹介をしたが、エリは今いち信用出来ないとばかりに背を向け、会議場所という事にしたクウェイの部屋へ、一足先に向かって行った。
「……信用されなかったみたいだな」
渋い顔をするクウェイにキリーヤが苦笑いをする。いい人なのだが……エリの言う通り、胡散臭さが無い事も無い。アルドに騙されていた事も相まって、男性は余計信用出来ないのだろうか。
「ま、まあ話し合いには参加してくれるんですし、よしとしましょうよ」
「そうだな。じゃあまあ、俺達も向かうとしようか」
「はいッ」
三人は得た情報を共有した。といっても、大概はクウェイも知っている情報で、共有に意味があったかどうかは分からなかった。
「うーむ、そうか。大概は俺も知っているが、いやいやそうか。前金を渡されたか」
「何か問題があるんですか?」
「あいつらが渡す金貨には細工があってな。任務を全うしない限り、所有者の移行は認められない……何が言いたいかって言うとだな、俺からすれば妨害をして、儀を失敗させてほしい。だがあっちからすれば儀を完遂させてほしい。前金を渡したという事は、ある意味ではお前達を支配下に置いたと言う事だ。お前達だって旅には金がいるだろう? だが、アイツ等の任務を遂行しなければ、金貨は手に入らない。つまり……俺に被害は無いが、お前達には多大な被害がおよぶという事だ」
旅には危険が付き物だが、それ以上に付きまとってくるのは金銭事情だ。移動経路も場合によっては使うし、買い出しは言うまでも無く、ギルド何かに登録する時も金が必要だ。この金とやらを必要としない人間は居ない。どれ程貧乏で、脆弱。或いは守銭奴だったりしても、一切の金を使わない等有り得ないのだ。
だからクウェイの言う被害というのは、大げさな事では無い。只生活をするだけにも金を使うと言うのに、旅などという生活環境を目まぐるしく変えていく行為に、一体どうしてお金を使わないなんて言えるのか。
それに金貨七十五枚は本当に大金だ。モノに出来れば当分はお金に困らない。少しくらい無駄遣いをした所で大差ない程だ。それを、一応は傭兵をやっているクウェイも知っているので、かなり申し訳なさそうにしているのだろう。
「それで、どうすればいいんですか?」
「…………………………………………内部からの妨害は不可能としよう。だからえーと、日時は話を聞く限り、聞いてないみたいだから教えてやる。まあ後で通達が来ると思うが。明日だ。だからお前達は普通に遂行してくれ」
「つまり、普通に行って、パランナと戦闘をして、普通に任務を遂行すればいいんですね」
「簡単に言ってくれるな。アイツは正直言ってかなり強いぞ。アンタより弱い俺が言うのは何だが、初見じゃ確実に死ぬ」
エリは腕を組み、クウェイを睨んだ。
「私とこの槍の前に敵は居ませんッ」
その視線に気圧されつつ、クウェイは箪笥の引き出しから何かを取り出した。どうやら何かを記載した紙らしい。
「ここにあいつの得意魔術、使用武器を記載した紙がある」
「それが何か」
「見ておけばアンタでも勝てる筈だ」
「見ると思いますか」
「……話し合いは一旦中止だ。キリーヤ、でいいのかな。少し外に行かないか」
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