猫神様のおかげで俺と妹は、結婚できました!

プチパン

五話  親友と仲良く手繋ぎ入場

「あ、忘れてたけど冷奈ちゃんとも同じクラスだぞ」


 光が突然発したそんな言葉に俺は耳を疑った。


「は?」


 いやいや、今なんて言った? 


「いやだから冷奈がちゃんも同じクラスなんだって」


 冷奈が同じ⋯⋯クラス? 
 友達の少ない俺は女子との関わりがこれっぽっちも無いわけで、女子まで全く見てなかったんだけど⋯⋯まさか、ね。
 俺は半信半疑でクラス表を見直していく。
 結論を言おう、そこに冷奈の名前がきちんと記されていた。
 咄嗟に周りを見渡すと少し離れたところを友達と歩く冷奈がいた。
 やっぱりきちんと集会に参加していたのか。


「ねぇ、そう言えば冷奈ちゃん輝夜くんと同じクラスなんでしょ?」


 見計らったかのように冷奈の友達であろう一人、黒に近い茶髪のショートに内巻きのウェーブが特徴的な少女が冷奈にそんな事を訪ね冷奈が足を止めた。
 ショックで倒れられたりしたらマジで引きこもりに戻っちゃうぞ、本気だぞ?
 俺がそんな事を考えてると二人はいくらか話し、周りを見渡し目が合う。


「や、やぁ⋯⋯よろしく」
「話しかけないでください」


 相変わらずの冷たい対応⋯⋯。
 あぁ、本当にどうすればいいんだよ。
 俺は思わず心の内でため息をこぼした。


 ちなみになんで兄妹でこんなあり得ない現象が起きるのかと言うと、それは俺たちの生まれた月が大きく関わってきている。
 俺が産まれたのは4月22日で、冷奈が産まれたのがほぼ一年後の3月16日な訳なのだが、ここで俺らの学校の年度の代わりは4月1日、そう、そのせいで俺ら兄妹が同じ学年なのだ。


 まぁ、冷奈にとってこんなに迷惑な話は無いよな、俺と離れるためにこんな遠い学校を希望したら、まさか俺と同じだなんて⋯⋯いや、俺もわざとじゃ無いからなんとも言えないんだけど。


「まぁ、こんな変態どもどうでも良いよね、早く行かないと菌が移っちゃうよ、冷奈ちゃん早く行こ!」


 てかそこの君? 凄い言い草だね、光はまだしも、ども・・ってなんだよ、どもって! 


「う、うん」


 そう言ってウェーブ女子が歩き出す。
 どうしてか冷奈が一瞬暗い表情を見せた気がしたが直ぐに俺らに背を向け歩いていった。
 それを見送り、光に視線を戻そうとし、そこである事に気づく。
  今尻尾あったか? 無かった様な⋯⋯。
 振り返り確認しようとするが冷奈たちは既に校舎に入り、見えなくなっていた。




「本当にお前の冷奈ちゃんからの嫌われようって凄えよな、それに変態ってまったくお前何しでかしたんだよ」


 光の何気ない冗談に今朝の事が被さり狼狽してしまう。
 いや、あ、あれは事故だから!
 ウンウン、ジコダカラシカタナイヨネ⋯⋯!


「⋯⋯てか、今のはお前の事も含まれてたからな!」


 おいおい光⋯⋯哀れみの目を俺に向けないでくれ。
 お前に向けられると非常に不愉快だ。
 はぁ、本当にこの一年やっていけるのかよ。
 それに冷奈のあれは結局なんだったんだ。
 妹の猫化現象を思い浮かべ、ようやく落ち着いたと背伸びをしたと同時、突然尿意が襲ってくる。
 そういえば朝の騒動でし損ねて⋯⋯。


「ちょっと光、俺トイレ行ってくるから先に行っててくれ」


 そう言い残し一人光を置いて、俺はトイレに走った。


「危なかった⋯⋯もうSHR始まってるよな」
「よぉ、親友! 早く行かないと怒られるぞい」


 トイレから出ると眼前には光が、しかも堂々と仁王立ちで。
 いや、先に行ってて良かったんだけど⋯⋯うん、まじで。


「なんでまだ居るんだ?」
「親友を待つのは当たり前だろ?」
「ふーん、お前にそんな奴いたのか、初耳だ」
「はいはい、じょーだんいらないってぇーの! 早く行かないと怒られるぞ!」


 突然手を取られ光が走り出す。


「お、おい!」


 まじで俺朝から何やってんだろうな! あぁ、もうこの際どうにでもなれよ、冷奈の事だけ考えとけ、ただでさえ役に立たないんだからさ!
 俺はヤケクソ気味にそんな事を考えながら、満面の笑みを浮かべとても楽しそうな光と、教室に飛び込んだ。


            ◇


 教室に入ると、クラス中の目線が一斉に向けられた。
 うわぁ⋯⋯本当にこうゆうの苦手なんだけど⋯⋯どうしても目立つのは気がすくんでやってられない。


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


 だが、いつまでたってもなんの反応も無く、クラスの人がこちらを唖然と見つめているだけだった。
 なんかおかしくないか? 先生も、固まってるし⋯⋯いやまじ何これ、新手の嫌がらせか何か? 心配性の俺にはそれなりに効く攻撃である。
 結構マジでやめてほしい。
 俺の願いが叶ってか、沈黙を破ったのはなんと冷奈だった。


「輝夜⋯⋯気持ち悪いです」


 その一言。
 いやいやいきなりそれは酷くない?! 確かにいつも言ってるけど、なんか今のはいつも以上に傷ついたよ?! 
 そう言った冷奈の後方にはぴょんと伸びた猫の尻尾が。
 また尻尾生えてきてる⋯⋯さっきは生えてなかったよな?
 それより落ち着きすぎだろあいつ、バレたら学校生活終わるんだぞ? 
 どんだけキモが座ってんだよ俺の妹さんは⋯⋯。
 だが冷奈の一言を筆頭にクラスでざわめきが起こりだした。
 それぞれ小声でこそこそと言いあっているのだが⋯⋯丸聞こえなんですけど⋯⋯。


「ねぇねぇやばく無い? あれ」
「流石変態コンビ」
「まぁ、これも青春? だよな」


 などなど⋯⋯色々間違ってるけど、まずいつから俺はこいつとコンビ組まされてんだよ⋯⋯。
 そこで聞きずてのならない一言が耳に飛び込んでくる。


「ねぇ、両刀とは聞いてたけど、まさか手繋いで・・・・仲良く遅刻なんて流石よね」


 は⋯⋯?
 その言葉に俺は思考の全てを放棄し、固まってしまった。

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