猫神様のおかげで俺と妹は、結婚できました!
四話 自称親友? 登場!
「協力して欲しいとは言いましたが、あくまで仕方なくです。それに本当はこんな変態に見られ続ける事ですら不快です、なので学校では一切私を見ないでください」
俺らはもうとっくに登校時間を過ぎ、走っているのだがその道中冷奈がそんな事を言ってくる。
「はいはい」
はぁ、少しぐらい気を許してくれたかなとも思ったんだけどな⋯⋯。
俺は冷奈の一言に軽く首肯する。
「嘘つき⋯⋯見ていてくれるんじゃ無かったんですか⋯⋯」
走ってるというのに全く息を切らすことのない態度に完璧超人の4文字を頭に浮かべていると、その妹様の走る速度がどんどん早くなっていく。
「ん、何て? ておいおい⋯⋯! ペ、ペース上がってないか!?」
いや、本当に無理だから!
「⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯っ ほ、本当きついから、速いって!?」
も、もう無理⋯⋯元引きこもりには少しばかりきつすぎ⋯⋯。
そんな弱音を垂らしてるうちに冷奈との距離はどんどん離れて行く。
そして幾らか進んだ先の角で冷奈の姿は見えなくなった。
「はぁ、きっついな⋯⋯どんだけ速いんだよ⋯⋯流石完璧美少女、か」
俺は嫌味を吐く様にそう呟くと、自然と走る足を緩めた。
そういえば昔の冷奈はこんな感じじゃ無かったよな⋯⋯。
昔の冷奈は──。
「え⋯⋯?」
そんな事を考えつつ歩く事数分、先程冷奈が姿を消した角を曲がると突然目の前に冷奈の姿があり俺は目を点にする。
どうして冷奈がここに?
「なんで? 先に行ったんじゃ無かったのか?」
「いや、輝夜が遅かったから⋯⋯仕方なくです」
まさかあの冷奈が俺を待ってた、のか?
本当に今日はどうしたのだろうか、神様の加護でもついているのかね。
「⋯⋯⋯⋯」
「っ!? 勘違いしないでください、あくまで遅れたのには私にも責任がありますので⋯⋯私だけ速く行って輝夜を置いて行くのは卑怯だと思っからです」
俺が何を考えてると思ったのか突然顔を赤く染め、そうまくし立ててくる。
そして最後に「他意はないです!」の一言。
なんかこの感じすごく懐かしいような⋯⋯。
「まぁ、ありがとな。別に嫌なら待ってなくても良かったんだぞ?」
「⋯⋯もういいです。早く行きましょう」
さっきからたまに何言ってんだろ、それになんか尻尾が元気無くしたみたいにしょんぼりしてるし⋯⋯。
「あ、あぁ了解了解」
そうして先に歩き出した妹を追いかける様に俺は歩き出した。
                                         ◇
俺は体育館前に貼ってあるクラス表を見に来ていた。
年度初集会は既に始まってるっぽいし、クラスでも確認しとくか。
これからどうするかな、集会に参加するってのも悪目立ちしそうで嫌だし。
冷奈は学校到着直前に「輝夜と話してるの見つかると後々面倒な事になりますから先に行きます」とか言って先に行ったけど、あいつの事だからもう集会か。
そんな事を考えながらクラス表を見ていく。
一組⋯⋯二組⋯⋯三組⋯⋯。
「あ、あった⋯⋯三組か」
大体ならここで、「あいつと一緒じゃん」とか、「うわぁ、〇〇と離れたしー」みたいな流れがあってもおかしくないのだが、残念ながら俺にそんな事は無い。
そう、俺は完璧で全生徒からの憧れの的である冷奈と違い、友達もろくに居ないぼっち⋯⋯いやぼっちではないか、ちゃんと一人二人は居るし! でも一人、めんどくさい奴が居るんだよな⋯⋯絶対あいつとはクラスになりたくない──
「よぉ親友! 新年度そうそう大遅刻か、流石俺のみこんだ男だな。ちなみに今年も同じクラスだぜ!」
フラグをバッチリ回収する様に、突然後ろから肩を組まれ、いつも通りの軽快な口調で厄災が現れた。
「うぜぇ⋯⋯まじかよ⋯⋯勘弁してくれ」
「つれないなぁ、親友⋯⋯あぁ、これがツンデ──」
「うっせぇ、それ以上言うんじゃねぇ!」
あぁ、本当になんなんだこいつは⋯⋯。
俺が肩を振りほどくと満面の笑みでそいつは目の前にくる。
炎の様に赤い髪は短く切られ、笑うと覗く八重歯が特徴的なこいつは自称俺の親友の山田 光だ。
「おまえと今年も同じなんて⋯⋯本当ついてないな俺。せっかく今日は冷奈と久しぶり話せたのに。今日の運勢は最下位か? 」
「本当に傷つくなぁ、親友である俺をおまえ扱いなんて。おぉ、それは珍しいな。どうせキモいか、どいての一言だろ。」
「その二言が出てくるのが辛いよ⋯⋯」
あぁ、今年の学校生活も終わった⋯⋯神様見てくれてるんですか? 去年こいつのせいでどんだけ苦労したか知ってますよね? まじで勘弁してください。
「てかさぁ、今日女子どんなパンツ履いてるんだろうな! 赤かな? 黒──」
「うるせぇ、今どうでもいいだろ、本当に馬鹿かお前は! 俺の近くで騒がないでくれ、お願いだ!」
俺は突然意味不明な事を大声で叫ぶ光を慌てて止めさせる。
本っ当にやめてくれ⋯⋯ほらほらまた注目されてるじゃないか!
いや、俺はこいつとは関係ないですよ、気にしないでくださいねー。
俺は少しずつ光から離れていく。
「いや、お前何言ってるんだ⋯⋯? どうでもいい⋯⋯? んなわけ無いだろ! 女子高生、JKのパンツだぞ? 男のロマンじゃないか! その宝をお前は興味ないというのならお前は男じゃないね! 親友として悲しいよ!」
すると突然、離れる俺を光が掴み、引き寄せると両手を俺の肩に乗せ、ルビーの様な紅色の瞳で俺に熱弁を始めやがった。
おいおいおいおい、まじで止めてくれ、何が悲しくて新学年そうそうこんな冷たい注目集めなきゃいけないんだよ!
周りの生徒は「また始まったか」と言わんばかりに呆れた様な視線をこちらに送り、避ける様にして帰っていく。
「とにかく、落ち着け! ここは学校だ、お前が発情する場所じゃない」
「あぁ、分かってるって、ちょいと久しぶりだったのとまたお前と同じクラスっていうのが嬉しかったからだって」
「俺は久しぶりにお前に会った事とまた同じクラスと聞いて絶望しか無いけどな」
とまぁ、こんな感じで大迷惑なこいつとの出会いは去年のこの日、始業式だった。
同じ中学からこの高校に来た生徒は冷奈だけで、一人でいた俺に最初に話しかけて来たのが光だったんだ。
「ねぇ、君一人なの?」
「うん、同じ中学からの友達が居なくて⋯⋯」
「そうなんだ、俺と一緒だね! よろしくね、名前は?」
「榊 輝夜だよ、よろしく。君は?」
「俺は山田 光、よろしくな!」
知らない場所で友達もいなかった俺にとって、にこっと笑っていた光が太陽のように眩しく、大袈裟に言えば神様に会えたかの様に嬉しかった。
でも、それは次の瞬間に壊れたんだ。
「ねぇねぇ今日みんなどんなブラ着けてると思う? 赤? 黒?」
突然光は周りにも聞こえる様な声でそんな事を話し出したんだ。
本当に笑えないだろ? 最初はブラの意味がわからなかったさ、普通人前で言うわけないと思ったし。もちろん周りの目線は俺らに集まったよ。
「ブラって何?」
「は? ブラジャーに決まってんじゃん」
俺は呆然として何も答えられ無かった。
それでも光は構わず続ける。
「うーん⋯⋯ならねぇ、巨乳派? 貧乳派?」
「ねぇ⋯⋯」
「何?」
「光⋯⋯普通ここでそんな事言うかな⋯⋯どうでもよくないか?」
「いや、輝夜何言ってんだ⋯⋯」
ここからは大体分かってくれるだろう。そのせいで俺は高校デビュー初日で変態のレッテルを光共々貼られたわけだ。
ただでさえ嫌われていた、冷奈からさらに避けられるようになったりもして最悪だったよ。
それからも毎日意味の分からない事言ったり、盗撮しようとしたりするし、それを俺の近くでそんな事を言ったり報告したりするから俺も怒られる羽目になって⋯⋯。
てか、友達居ないのって三分の一ぐらいこいつな気がして来たな。
まぁ、これでこいつがどんだけめんどくさいのか、うざいのかを分かってくれたなら助かる。
「あ、忘れてたけど冷奈ちゃんともクラス同じだぞ」
先程までクッソどうでもいい話をし続けていた光の突然の発言に、俺は口を開け脳内の思考を全て奪われた⋯⋯。
俺らはもうとっくに登校時間を過ぎ、走っているのだがその道中冷奈がそんな事を言ってくる。
「はいはい」
はぁ、少しぐらい気を許してくれたかなとも思ったんだけどな⋯⋯。
俺は冷奈の一言に軽く首肯する。
「嘘つき⋯⋯見ていてくれるんじゃ無かったんですか⋯⋯」
走ってるというのに全く息を切らすことのない態度に完璧超人の4文字を頭に浮かべていると、その妹様の走る速度がどんどん早くなっていく。
「ん、何て? ておいおい⋯⋯! ペ、ペース上がってないか!?」
いや、本当に無理だから!
「⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯っ ほ、本当きついから、速いって!?」
も、もう無理⋯⋯元引きこもりには少しばかりきつすぎ⋯⋯。
そんな弱音を垂らしてるうちに冷奈との距離はどんどん離れて行く。
そして幾らか進んだ先の角で冷奈の姿は見えなくなった。
「はぁ、きっついな⋯⋯どんだけ速いんだよ⋯⋯流石完璧美少女、か」
俺は嫌味を吐く様にそう呟くと、自然と走る足を緩めた。
そういえば昔の冷奈はこんな感じじゃ無かったよな⋯⋯。
昔の冷奈は──。
「え⋯⋯?」
そんな事を考えつつ歩く事数分、先程冷奈が姿を消した角を曲がると突然目の前に冷奈の姿があり俺は目を点にする。
どうして冷奈がここに?
「なんで? 先に行ったんじゃ無かったのか?」
「いや、輝夜が遅かったから⋯⋯仕方なくです」
まさかあの冷奈が俺を待ってた、のか?
本当に今日はどうしたのだろうか、神様の加護でもついているのかね。
「⋯⋯⋯⋯」
「っ!? 勘違いしないでください、あくまで遅れたのには私にも責任がありますので⋯⋯私だけ速く行って輝夜を置いて行くのは卑怯だと思っからです」
俺が何を考えてると思ったのか突然顔を赤く染め、そうまくし立ててくる。
そして最後に「他意はないです!」の一言。
なんかこの感じすごく懐かしいような⋯⋯。
「まぁ、ありがとな。別に嫌なら待ってなくても良かったんだぞ?」
「⋯⋯もういいです。早く行きましょう」
さっきからたまに何言ってんだろ、それになんか尻尾が元気無くしたみたいにしょんぼりしてるし⋯⋯。
「あ、あぁ了解了解」
そうして先に歩き出した妹を追いかける様に俺は歩き出した。
                                         ◇
俺は体育館前に貼ってあるクラス表を見に来ていた。
年度初集会は既に始まってるっぽいし、クラスでも確認しとくか。
これからどうするかな、集会に参加するってのも悪目立ちしそうで嫌だし。
冷奈は学校到着直前に「輝夜と話してるの見つかると後々面倒な事になりますから先に行きます」とか言って先に行ったけど、あいつの事だからもう集会か。
そんな事を考えながらクラス表を見ていく。
一組⋯⋯二組⋯⋯三組⋯⋯。
「あ、あった⋯⋯三組か」
大体ならここで、「あいつと一緒じゃん」とか、「うわぁ、〇〇と離れたしー」みたいな流れがあってもおかしくないのだが、残念ながら俺にそんな事は無い。
そう、俺は完璧で全生徒からの憧れの的である冷奈と違い、友達もろくに居ないぼっち⋯⋯いやぼっちではないか、ちゃんと一人二人は居るし! でも一人、めんどくさい奴が居るんだよな⋯⋯絶対あいつとはクラスになりたくない──
「よぉ親友! 新年度そうそう大遅刻か、流石俺のみこんだ男だな。ちなみに今年も同じクラスだぜ!」
フラグをバッチリ回収する様に、突然後ろから肩を組まれ、いつも通りの軽快な口調で厄災が現れた。
「うぜぇ⋯⋯まじかよ⋯⋯勘弁してくれ」
「つれないなぁ、親友⋯⋯あぁ、これがツンデ──」
「うっせぇ、それ以上言うんじゃねぇ!」
あぁ、本当になんなんだこいつは⋯⋯。
俺が肩を振りほどくと満面の笑みでそいつは目の前にくる。
炎の様に赤い髪は短く切られ、笑うと覗く八重歯が特徴的なこいつは自称俺の親友の山田 光だ。
「おまえと今年も同じなんて⋯⋯本当ついてないな俺。せっかく今日は冷奈と久しぶり話せたのに。今日の運勢は最下位か? 」
「本当に傷つくなぁ、親友である俺をおまえ扱いなんて。おぉ、それは珍しいな。どうせキモいか、どいての一言だろ。」
「その二言が出てくるのが辛いよ⋯⋯」
あぁ、今年の学校生活も終わった⋯⋯神様見てくれてるんですか? 去年こいつのせいでどんだけ苦労したか知ってますよね? まじで勘弁してください。
「てかさぁ、今日女子どんなパンツ履いてるんだろうな! 赤かな? 黒──」
「うるせぇ、今どうでもいいだろ、本当に馬鹿かお前は! 俺の近くで騒がないでくれ、お願いだ!」
俺は突然意味不明な事を大声で叫ぶ光を慌てて止めさせる。
本っ当にやめてくれ⋯⋯ほらほらまた注目されてるじゃないか!
いや、俺はこいつとは関係ないですよ、気にしないでくださいねー。
俺は少しずつ光から離れていく。
「いや、お前何言ってるんだ⋯⋯? どうでもいい⋯⋯? んなわけ無いだろ! 女子高生、JKのパンツだぞ? 男のロマンじゃないか! その宝をお前は興味ないというのならお前は男じゃないね! 親友として悲しいよ!」
すると突然、離れる俺を光が掴み、引き寄せると両手を俺の肩に乗せ、ルビーの様な紅色の瞳で俺に熱弁を始めやがった。
おいおいおいおい、まじで止めてくれ、何が悲しくて新学年そうそうこんな冷たい注目集めなきゃいけないんだよ!
周りの生徒は「また始まったか」と言わんばかりに呆れた様な視線をこちらに送り、避ける様にして帰っていく。
「とにかく、落ち着け! ここは学校だ、お前が発情する場所じゃない」
「あぁ、分かってるって、ちょいと久しぶりだったのとまたお前と同じクラスっていうのが嬉しかったからだって」
「俺は久しぶりにお前に会った事とまた同じクラスと聞いて絶望しか無いけどな」
とまぁ、こんな感じで大迷惑なこいつとの出会いは去年のこの日、始業式だった。
同じ中学からこの高校に来た生徒は冷奈だけで、一人でいた俺に最初に話しかけて来たのが光だったんだ。
「ねぇ、君一人なの?」
「うん、同じ中学からの友達が居なくて⋯⋯」
「そうなんだ、俺と一緒だね! よろしくね、名前は?」
「榊 輝夜だよ、よろしく。君は?」
「俺は山田 光、よろしくな!」
知らない場所で友達もいなかった俺にとって、にこっと笑っていた光が太陽のように眩しく、大袈裟に言えば神様に会えたかの様に嬉しかった。
でも、それは次の瞬間に壊れたんだ。
「ねぇねぇ今日みんなどんなブラ着けてると思う? 赤? 黒?」
突然光は周りにも聞こえる様な声でそんな事を話し出したんだ。
本当に笑えないだろ? 最初はブラの意味がわからなかったさ、普通人前で言うわけないと思ったし。もちろん周りの目線は俺らに集まったよ。
「ブラって何?」
「は? ブラジャーに決まってんじゃん」
俺は呆然として何も答えられ無かった。
それでも光は構わず続ける。
「うーん⋯⋯ならねぇ、巨乳派? 貧乳派?」
「ねぇ⋯⋯」
「何?」
「光⋯⋯普通ここでそんな事言うかな⋯⋯どうでもよくないか?」
「いや、輝夜何言ってんだ⋯⋯」
ここからは大体分かってくれるだろう。そのせいで俺は高校デビュー初日で変態のレッテルを光共々貼られたわけだ。
ただでさえ嫌われていた、冷奈からさらに避けられるようになったりもして最悪だったよ。
それからも毎日意味の分からない事言ったり、盗撮しようとしたりするし、それを俺の近くでそんな事を言ったり報告したりするから俺も怒られる羽目になって⋯⋯。
てか、友達居ないのって三分の一ぐらいこいつな気がして来たな。
まぁ、これでこいつがどんだけめんどくさいのか、うざいのかを分かってくれたなら助かる。
「あ、忘れてたけど冷奈ちゃんともクラス同じだぞ」
先程までクッソどうでもいい話をし続けていた光の突然の発言に、俺は口を開け脳内の思考を全て奪われた⋯⋯。
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