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初恋の子を殺させた、この異世界の国を俺は憎む!

石の森は近所です

22話、フェスリシア王国

――――エルドラン王城――――


「あはははは――」


大口を開け、高笑いを上げているのは残虐姫の異名のアヴューレである。


「これでエルドラン王国はこの周辺国で最大、最強の国家となったわ。後は邪魔なヤマト皇国さえ潰せば、残りの国家などゴミも同然だわね」
「はっ、まさにアヴューレ様のおっしゃる通りで御座います」


跪き、今回の報告をしていたオドリーもご機嫌である。
裏方の諜報部から、表舞台の大臣への陞爵が先程――正式に陛下より言い渡されたのだから。


「それで現在の化け物の数はいくつになりました?」
「はっ、生まれたばかりのオークが10匹、使えるオークが22匹で御座います」
「まだまだ足りませんね。出産した女達にはどんどんオークを与えよ。最低でも50匹は必要と考えますからね」
「はっ、承知致して御座います」


環に嫌味を言っていた、五味岡珠江も、精神が幼児化した池澤菜摘も既に、
一度目の出産を体験させられていた。
だが、流石に2度目の出産をした生徒達の中には、体力の限界を迎えている者もおり、計画通りには事が運ばないのだが……。
それでも女子生徒達は――所詮、使い潰す為の道具としての扱いしかされなかったのである。
オークとの行為を、する為の部屋では、うめき声が鳴り響いていた。
その中で1人だけ復讐の炎を目に残している者も若干1名居たのだが、
それは後のお楽しみ。


















アオイが飛ばした早馬が、各国からの返事を持って戻ったのは5日後の事であった。
各国の対応は、アオイの思惑の斜め上をいっていた。


「まったく、どの国も状況が理解出来ておりまへんなぁ~」


早馬が持ち帰った報告は、どの国も静観すると言うもので、早期に対処しなければ最悪の事態に陥る事を正確に認識していないものだった。


もしヤマト皇国に進軍し出したら……。
アオイの戦闘力ならばオークの15匹は何とでもなる。
だが、それが50匹、100匹なら?
流石のアオイでも、勇者の能力を持ったオークを100匹相手取るのは――
無理では無いが、エルドラン王国が隠し持つ、残りの勇者の存在を鑑みれば厳しいものになるだろう。そう考えていた。


最悪は、秋人達にも手伝って貰わねば……。
最近もレベルを上げ更に強くなった秋人達を戦力として当てにするのも当然である。
覚醒遺伝の自分に、勇者の能力が覚醒し強くなった秋人達ならば――なんとかなるだろう。


アオイが1人でヤマト皇国を守り、エルドラン王城へ攻め込むのは秋人達にやってもらおうと考えていたアオイであったが、懸念もあった。
最悪、苗床になっている生徒をも殺さねばならないが――秋人達にそれが出来るだろうか?
もし出来ない様であれば、忍者部隊に命令して暗殺させる手もある。
先祖が日本人のアオイにしても、気が乗らない命令だが、仕方が無い。
これ以上の被害を増やさない為に必要な事なのだ。そう割り切っていた。


「なんか大変な事になっちゃったわね」
「そうだな……まさか生徒15人が生きていて全員に産ませたオークをこんなに早く投入してくるとは――思っても見なかったよ」
「五味岡さん達、大丈夫かしら……」
「あー、唯一。妊娠しないで済んだ人だっけ?」
「うん、五味岡さんと、池澤さんの二人ね。彼女達まだあの城に居る筈だから。心配だわ」


もう手遅れなのだが……。


アオイの部下からアルドバーンの惨状を伝え聞いてからと言うもの、
夜に環と一緒の部屋で寝ていても、前の様にドキドキしなくなったのは幸いか?
二人共――心に余裕が無かったのである。


















一方、岬達一行はというと……フェスリシア王国のとある街へと辿り着いていた。
この街に辿り着いた当初は、あまりに破廉恥な格好だったので不審者扱いを受け、取調べの為に牢屋にまで入れられていたが――たまたまその街に滞在していたリーン・フェスリシア第一王女と、フェスリシア王国が密かに召還した田辺繭の顔利きで無事に釈放されたのであった。


「それにしても、あんな格好ではどこの国でも不審者扱いをされると思いますわよ?」
「同じ日本人として恥ずかしいですね」
「いやぁ、俺も好きであんな格好をしていた訳じゃないんだけどな!」
「本当に助かりました。繭さん、リーン王女」
「まったくどいつもこいつも無礼にも程があるぞ」


1名自分の立場が分っていない者が混ざっているが……。


「まさかこの時期に、アルドバーンが召還した勇者がこの国にやってきて下さるなんて、運命を感じて成りませんわ」


そう言って手を控えめな胸の前で組んでいるのは、フェスリシア王国、第一王女のリーン王女である。背は岬より低く幼く見えるが、岬と同じ歳である。緑の長い髪を腰まで伸ばし茶色い瞳をキラキラさせながら話をしているので思わず見惚れてしまう。


「私以外の日本人は、こっちでは初めてだから嬉しいわ」


目の前の、お菓子を食べながらそう語るのは――黒い髪をショートボブにカットして活発な感じを受ける美人顔で、背は岬より少し高い位だろうか?
薄い茶色の瞳で、笑顔が喜びを表していた。
年齢を聞いたら17歳と言っていたので正人と同じ歳らしい。


「私も嬉しいです。日本人の同姓とはこちらでは話していなかったので」


そう言う岬は、口が利ける様になったのも最近なのだから当然である。


「それで、岬さんはどこの国が召還した勇者なのかしら?」


リーン王女にそう言われ……どう答えたらいいのか少し悩んだが――。


「実は、転移直後にすぐまた転移させられたので何処の国なのか分らないんですよ……」
「アルドバーンでは無く、うちの国でも無いとすると……残るのはエステランドか?エルドランしかないですね」
「ヤマトの可能性は?」


岬としてはやはり、聞き覚えのある国が気になるようだ。


「ヤマトは、すでに勇者がいますからね。覚醒遺伝の王女が……。それに、過去の粛清で召還の儀式魔法が記載されていた書物は全て破棄されたと伝わっています。ですのでヤマトの可能性は無いですね」


リーン王女のその言葉に残念な思いを抱きながらも、残りの2カ国のどちらか?に思い至り、もうすぐ秋人君に会えると期待を胸に抱いたのだが……。


続いてリーン王女から出た言葉でその期待も消し飛んだ。


「昨日、ヤマト皇国から早馬が来まして――」


隣に座る正人を気遣う様に、ゆっくりと語りだした。


「エルドラン王国が化け物のオークを使って、アルドバーン王国へと攻め込んだらしいですわ。結果、3日で王都は陥落。もうこの世にアルドバーン王国は――存在しなくなりました」


「な、なんで突然!」


流石に自分を召還した恨みが多少はあっても、友人としてバーンと接していた正人には驚愕だったようだ。


岬にとってはいい思いは一つも無いので、右から左だった――ただ、狼の巣から連れ出してくれた冒険者のエレンは大丈夫だろうか?と思っていた。


岬とリーン王女達が話していたのは、この街の正門に程近い、喫茶店の様な場所だったのだが――。何故正門に近い場所なのか?これは牢屋に囚われていた3人を助けた後、すぐに話を聞く為にこの場所を選んだからに他ならない。
だが、それが今回は幸い?した。
話の途中で、門の方が俄かに騒がしくなっている事に気づいた。
ふと、皆の視線が正門へと向けられると――最初に声を出したのは岬だろうか?正人であったか?


「「エレン!」さん」


ほぼ同時に、騒ぎの中心人物の名を叫んだ。
門の守衛に取り押さえられている、ガチムキな筋肉が眩しい肉体を持った女性がこちらに気づく。


「勇者じゃないか!これをなんとかしてくれ!」


そう助けを求めてきた。
正人は直ぐにリーン王女へお願いして、捕縛され掛かっていたエレンを助ける。
リーン王女の取り成しでエレンも喫茶店の席へと混ざりこんだ。


「いやぁ~大変な目にあったぜ!」


日焼けで黒くなった肌に付いた埃を払いながら暢気にそんな事を言っている。
「んで?なんでここにエレンがいるんだ?」
「それを聞きたいのはこっちだ!王都が陥落したのにその、同郷の子と旅行かよ!」
「いや、これには事情があってな……」
「国の一大事にどんな理由があるって言うのさ!」


流石に正人も、アルドバーンがそんな事態に陥るとは……思わなかった。


「すまない、まさかそんな事態に成っているとは思いもしなかったんだよ」
「謝ってももう遅いさ、王族も皆死んだ。兵も、市民も……大勢な」
「なっ!」
「あんな化け物を相手にBランク程度では無理だったんだよ。あれを倒せるのは勇者だけだ」
「だって相手はただのオークだろ?」
「何言ってやがる。オークが戦斧だけで市壁を壊せるかい?魔法を使って門を壊せるかい?それをやってたんだよ。あの化け物共は……」
「化け物共?」


その単騎では無く、複数の言い回しに気づいたのはリーン王女だった。


「ああ、数にして15匹のオークだ。それら全てが魔法を使っていた。普通のオークならあたしにだって退治位できたさ。でもね、あいつらは無理だった。あたしの剣と戦斧で打ち合った結果――あたしの剣が真っ二つに切れたんだ。折れたのならまだしも、切れたんだぜ!信じられるかい?剣を失ってからと言うもの、あたしは必死に逃げたさ。ほとぼりが冷めるまで、下水の中に潜んでね」


それで格好がこんなに汚いのか……一同納得したのであった。


「俺には、未だに信じられないんだが?だってオークだろ?」
「ああ、そう思われても仕方が無い。だけどな、間違いなくオークだった」


この中に生徒達が妊娠して出産したのが――そのオークだと気づく者は一人も居なかったのであった。
以前、正人との会話で出てきていたのだが……余裕がなく正人も気づかなかった。
無理もあるまい。環から女子生徒がオークの子を妊娠したと聞かされなければ、
アオイでさえ、そこに考えが到達しなかったのだから。


「王族が全員死んだ……」


正人には、彼なりに思う事があったのだろう。


「俺、アルドバーンに戻るわ」


立ち上がって正人がそう言ったのだが……。


「それを認める訳にはいきませんのよ」


阻止したのはリーン王女であった。


そもそも、正人達勇者を繭の望みで釈放させたのは、ヤマトからの早馬の情報を
危惧し、自国の防衛に使えるかもしれない。
そう思ったからなのである。
若くても流石は、国を背負っている王女と言った所であろうか。
今は亡きフォルスター王子が苦手だったのも分る。


流石に正人も現在いる国の王女にこうも毅然とした態度で言い切られては、声も出せない。


「ご理解して頂けた様で何よりですわ」


今晩は、この街の代官の所へ、私どもは滞在する予定になっておりますので、
皆さんもご一緒に――如何です?
一行は、リーン王女に従ってそのまま代官の屋敷へと付いていった。

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