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初恋の子を殺させた、この異世界の国を俺は憎む!

石の森は近所です

13話、出会いと別れ

<a href="//24546.mitemin.net/i295108/" target="_blank"><img src="//24546.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i295108/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a> 「残念だったな1年!」


野太い声で鈴木が言う。


「あんま虐めてやるなよ、アヴューレ王女に従うなら連れて来いって言われているんだろ?」
「なぁ秋人、こっちに付けよ。勇者3人もいりゃ天下が取れるぜ!」


少し高めの声の山田が従えと命令してくる。


 冗談じゃない、岬ちゃんを殺すきっかけを作った奴らに屈したくない。
睨み合いも続かず、鈴木が斧を振り回し飛ばしてきた。
『ビュッ』秋人は辛うじて左に横飛びして避けた。
しめた!
これで鈴木の武器は無くなった……。
そう思った秋人だったが、
鈴木を見ると、何処に予備を隠し持っていたのか、既に新しい斧を掲げていた。
なんだありゃ。
後ろの木々の延焼は酷くなる一方。
横に逃げても二人に挟まれたらおしまいだ。


「まだ逃げるって言うなら、死にな!」


 またしても、鈴木の斧が飛んで来る。
秋人はそれを屈んでやり過ごすが――。


「これでお終だ!」


 山田の剣で秋人の肩口に、斬り付けられた。
『ザッ』という鈍い音と共に右肩から血が噴出す。


「う゛っ!」


 痛みを堪え尚も、左へ逃げる秋人。
そこに追い討ちの鈴木の斧が襲い掛かった。
今の秋人には流石にこれを避ける術は無い。
斧が当る瞬間に、岬の顔がちらつく。
ごめん、いまから会いに行くから。
そう死を覚悟した瞬間。


 『アイスブレード!』後ろの炎の中から 鈴を転がす様な、そんな声が聞こえ……。
次の瞬間には鈴木の斧は凍り付いて地面に縫い付けられていた。
流石に山田も鈴木も、あれが止められるとは思わず……。
呆気に取られた瞬間。


 『グラビティ』
『サウザンドアイス』
連続して2つの詠唱が聞こえ……。
次の瞬間には、燃え盛っていた木々は一瞬で凍り付き。
山田、鈴木の体が地面に叩きつけられた。


「「なっ!」」


一瞬で二人が無力化された。
すると、詠唱の声の主が先程まで燃え盛っていた森の奥からゆっくりと歩いてきた。


「あんたらうちの国で何やってくれはるん?」


 日本人?
そう思ったが、現れたのはロングの黒い髪に青の瞳で、
背が秋人より少しだけ低そうな、着物を着た美少女だった。


「お前は誰だ!」
「邪魔すんじゃねぇぞ」


山田と鈴木が吼える。


「この状況が分ってへんようどすね」


何で京言葉!


「何でこんな所に関西人がいんだよ!」
「意味がわかれへん」
「ここはとーにヤマト皇国の領土なんやけど、放火したんはあんさん達どすなぁ」


山田と鈴木も流石に、他国に入り込んでいたとは気付か無かった様だ。


「いや、別にヤマト皇国に入るつもりでは無かったんだ」
「そうだ、俺達は犯罪者を追いかけていただけだ!」


彼女は秋人の方を見て……。


「そないどすか?」


「俺は犯罪者じゃない!」


「どっちにしてもここはヤマト皇国、治外法権どすから、これ以上騒ぎを大きくしはるなら、ウチも手を打たなければならへんね」


どうでしょう?と……。


「山田、流石にこれは不味いだろ」
「だな」


力で勝てない相手に喧嘩を売る程、馬鹿じゃないらしい。


「分った。俺達は引き上げる」


「分ってくれて嬉しいどすね」


彼女は山田達へ掛けていた魔法を解除した様だ。


次に秋人の方に寄って来て。


「あんさんには聞きたい事が山ほどおますから、一緒にきてもらいまひょ」


そう、言うや否や……秋人に手を向け『ハイヒール』
回復魔法を詠唱した。
ばっさり切られた肩口の傷が一瞬で治る。


「これでいいでっしゃろ。ほな付いてきておくれやす」


そう言って、歩き出した。


「あの、助けてくれて有難う御座います」
「別にあんさんを助けた訳ではおまへんよ。ここはヤマトの国どすから好き勝手されたら困るからどす」


 それでも助かったのは確かだった。
さっき一度死んだ命だ。
大人しく従った。


 森を抜けると、見慣れた日本家屋の家々が建っており。
遠くには日本の城が建っているのが見えた。


 「ここは一体……日本じゃないですよね?」
「ここはヤマト皇国どす」
「まるで日本に戻ったみたいだ……」
「当然どすね、あたしの先祖が日本恋しさのあまり建とったさかい」


「じゃあなたは……」
「申し遅れました、ヤマト皇国の王女でアオイ・ヤマトどす」


いきなり王女きたぁぁぁぁー!しかも残虐姫じゃないし。


 「そん魔獣はあんさんのペットどすか?」
「あ、この子はシルバー。俺の相棒です」
「そうどすか。こん辺ほな見かけへん狼どすなぁ」
「そうなんですか?さっきの森で出合ったんですけど」
「うちは初めて見たんやよ」


そんな普通の会話をしている内に目の前の馬車に案内された。


「これに乗っておくれやす」


 この馬車も日本っぽい。
塗装に漆を塗っているのは明らかだった。
言われるまま秋人は馬車に乗り込んだ。
















 昨晩、王城を抜け出した五十鈴環は、
朝一番で、王都から他の街へ出発する相乗り馬車に乗り込んでいた。
お金は前に、オドリーから渡されていたので何とか成っている。
問題は、何処に向えばいいか?なのだが。
取り敢えず、学校のある方向へと向っていた。
秋人君と合流出来ればベストなんだけど……。


 環は朝、兵の詰め所付近での出来事を思い出していた。
騎士隊と先輩達が秋人君を追っている?
何故?
勇者は足りている筈なんだけど。
まだ召還したのが、エルドラン王国側だと聞かされていない為に、
秋人の指名手配の理由が分っていなかった。


 「お譲さんはヤマト皇国に向うのかね?」
「はい。そっちの方の街とか見て回ろうと思っています」
「それならカロンの街が一番近いね」
「カロンですか?」
「そうじゃ、ヤマト皇国からの品が入って来て賑わっている街じゃな」


 私の目の前に座っているお爺さんが教えてくれた。
オドリーから聞いた話では、
ヤマト皇国の王女は日本人の子孫らしい。
それならエルドラン王国よりは、まともかも?
そう考えていた環だった。
馬車がしばらく走ると、赤茶けた大地が見えてきた。
この大地には見覚えがある。
学校があった場所だ。


 「そう言えば……最近、軍がこの辺で大規模魔法の練習をしたとか」
「そうなんですか?」
「聞いた話なんで話半分じゃけどな」


 丁度、環達が王城に着いた日に、行われたらしい。
学校の姿は一切、見かける事が無かった。
おかしい?王城に行く時はこの街道から見えた筈の学校が見えない。
先程のお爺さんの話と合わせて考えた環は。
一つの答えに辿り着いた。
もしかして、証拠隠滅?
何の為?
あの国王と王女の視線。
殲滅魔法の練習。
どう考えても、この国が召還事件の犯人に思えた。
そうして環を乗せた馬車は、カロンの街へと到着する。
























 「昨晩、漸くあの子の声を見つけてきて本人へ返したんだけど……」
どうなっている?と聞いた神様は……。
ダメ天使が食いついて眺めている、宙に浮いているモニターを見て仰天した。


「なんじゃ!これは!一体何が起きたらこうなる」
「神様、昨晩人間の男が料理に眠り薬を入れて彼女を襲いました。結果としては私が彼女を操って貞操は守られたのですが……勘違いした様で……自分の殻に篭ってしまいました」


「彼女の赤い糸は切れては居ないからね……にしても困ったね。この殻、彼女が死ぬまでずっとこのままかも?」


別に天使は岬の為に守ったのでは無く、自分が見ている前でHされるのが嫌だっただけなのだが……。


 せめてルシファー受け×ガブリエル攻めならまだしも……男女のHなど。
見ても面白く無い。
このダメ天使――BL好きだった。


 「仕方ない。君、責任取って1万年は地上へ降りて修行し直しなさい。彼女を殻から出すのを最優先でね」
分った?と……。
天使は意気消沈して頷くのであった。














 一方、アルドバーン城では……。
加藤正人が怒っていた。


 「おい!バーン、これはどう言う事だ!」
「そんなに怒らないでくれよ。いつもの事じゃないか?」
「お前まさか……」
「声が出る、出ないは関係無いけどね。ベッドで一晩一緒だっただけだよ」


 勿論、何もしていないよ?服は脱がせたけど……。
そう言ったフォルスターの顔を何度も、殴りつけた。


 「彼女は16歳だろ?なら問題無いじゃないか!」
「こっちの世界の人間ならな!」
「こっちの世界にきたんだから……郷に入れば郷に従えって」


前に、加藤がバーンに教えたことわざだった。


 「彼女の意思に関係なく、犯すのが問題なんだろ!」
「こっちの世界では王族に求められたら従うだろ!」
「ふざけるな!」
「同じ日本人としては許せない!」
「俺は彼女を連れて出て行くぞ!」


 正人も、岬の悲鳴を聞いてしまったのだ。
それがまさか岬だとは、
最初は思っていなかったのだが。
悲鳴を聞いて駆けつけると……。
全裸でゆらゆら歩き、繭になるその瞬間を、
見てしまった。
正人の気持であった。


 この国の法で合法だからと言って……。
何でも許されるのか?と……。
同じ無理矢理、召還された仲間意識からか?
正人が王城に泊まれば、と勧めたからか?
正人の怒りは収まらない。


「もし、邪魔をすると言うなら分っているよね?」


殺すよ。と……。


 正人は繭に近づき、左手で持ち上げた。
そして。そのまま王城から去って行った。

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