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初恋の子を殺させた、この異世界の国を俺は憎む!

石の森は近所です

11話、岬のピンチ

「いやぁー良く寝た!」


朝の陽射しが眩しくて秋人は目を覚ます。


 今日はどうしようか?
そう思っていたら……。
昨日の騎士達がドルワージュの村の方から馬に乗って駆けてきた。
秋人は寝起きで呆けて居た為に見つかってしまった。
『いたぞ!』という声が聞こえる。
馬を秋人の方へ向けやって来た。


「そこの小僧、名をなんと言う?」


確かこういう時は……あれだな。


 「私は旅の一座で御座います」
「何を恍けた事を……」
「おーい!見つけたぞ!本体へ連絡しろ!」


3人居た内の1名が早馬になり離れて行った。
あれ?なんでこうなる!


 「お前がアキトだな!」
「だったら何?」
「王城まで同行してもらおう!」
「断わったら?」


抜剣された。


 「それ抜いたら、こっちも後に引けなくなるよ。分っているよね?」
「大人しく付いてくれば、手荒な事はしないと約束しよう」
「それで隷属の腕輪で言いなりにするってか?」
「なんで、それを……」


秋人は話しながらこっそりとエアー弾の準備をしていた。


「さぁ?なんでだろうね!」


 言い終わるや否や、エアー弾を馬に乗ったままの騎士の胸へと放つ。
風が吹いたと思ったら『ドンッ』騎士の胸元に命中。
騎士は馬から強制的に振り落とされ3m飛ばされた。


「魔法を使える様だ!気をつけろ!」


 後方に居た、もう一人が叫ぶが、もう遅い。
2発目の発動態勢に入っていた秋人は2人目に同じエアー弾を放つ。
『ドンッ』と音がすると最初の騎士同様、馬から吹き飛ばされた。


「シルバー!逃げるぞ」
「クウゥーン!」


俺とシルバーは一目散に森の中へと逃げ込んだ。


 騎士2人は落下と同時に背中を打った様で動けなくなっている。
秋人は、この森には昨日も入っている。
楽々と木々を縫って奥へ奥へと逃げて行った……。














「朝の早い時間から申し訳無いね。君に聞きたい事があってね」


そう言って後宮にやってきたアルドバーン国の第一王子は、
岬の前に紙を出した。


「この国の言葉を覚えて欲しいんだけど……」


いいかな?と……。
この国に長居するつもりは一切無いので首を横に振ると、


「それは困ったね。僕の立場としては他国が召還した勇者を簡単に帰す訳には行かないんだよ」


それを聞いて私は目を見開いた。
そんな事言われても困りますよ。
私だって何処の国が召還したのか知らないんですから。


そう心で思っても通じる訳もなく……腕で×を作りジェスチャーで答える。


「んーそれはどう言う意味かな?」


私は必死に手振りで、そんな国知らないと言っているが……。


「さっぱり分らないね」


否定された。


自分が何でこの国に飛ばされたのか、それすら分らないのに……。
ドジッ子天使のせいなのだが……。


 「君達、勇者が召還された時に必ず説明する事があるんだけどね、そもそもの始まりは今から250年前に遡る――。この国の南東にヤマト皇国って国があるんだけど、元はアリアスレーゼ王国って言ってね。その国が初めて勇者を召還した事から全ては始まったんだ。」


 王子の話では現ヤマト皇国は、
当時、猛威を振るっていた魔族を殲滅する為に、
初めて勇者を召還したそうだ。


最初は国王も半信半疑で召還に同意したらしいのだが、
蓋を開けて見れば――。


 勇者は召還されると、
 この世界の人の10倍は強くなっており、
更に覚醒すると、何も無い所から武器を取り出せる独特の能力があった。
その武器は出し入れ自由で刃が欠けても、一度消せば新品に戻り。
しかも、勇者の魔力は強化次第で無尽蔵に増えたらしい。
結果、その勇者の活躍により魔族を殲滅出来た。
アリアスレーゼに平和が訪れたと誰しもが思ったらしい。
所が、その勇者は元の世界へ帰れない事を悲観して、
当時の王族を殺した。


 国民の信頼は勇者にあった為、
勇者は連れていたメンバーと結婚しヤマト皇国を建国した。
召還当初は勇者の能力は1代限りと思われたが、
その子にも能力が備わりヤマト皇国はこの大陸の覇者となった。
だが、それも2代、3代と代を重ねると力は薄れ……。
やがて普通の人と同じ能力しか持たなくなった。


 ヤマト皇国が再び、大陸の覇権を握る事の無い様、
各国で召還魔法を研究し、
150年前に成功させ挙って勇者を召還した。
その当時、ヤマト皇国は弱体化してきており、
各国はその隙に勇者を使い、隣国に攻め入り領土拡大を行った。
その結果、大陸の覇者だったヤマト皇国は領土が半分以下に減少した。


 各国というのは、中央にヤマト皇国、皇国を基準に北西にアルドバーン王国。
南西にフェスリシア王国、南東にエステランド王国。
北東にエルドラン王国の5カ国ね。


 だが、覚醒遺伝で勇者の能力が再発する者が皇国から生まれた。
それが今から16年前。
現在のヤマト皇国の姫が勇者の能力を所持している。


 残念ながら各国が召還した勇者は子孫を残す前に皆、死亡した為――。
最近になって焦って勇者召還を行い出したんだけど……。
うちは知っての通り、マサト・カトウ君ね。


だが、他の国の動向は一切秘匿されていてね……。
その為に、どの国が君を召還したのか知りたいのだけど……。


口が利けない、文字も読めないではね……。
最後にそう付け加えられた。


 そんなの私には関係の無い話だ。
でも今の話だと秋人君が覚醒していた?
秋人君、槍持っていたし――。


「どうせなら君、僕の妾にならないかい?ゆっくりベッドの中で文字も教えられるし!」


 はぁ!なんでそうなるのよ!
無理!
絶対、無理!
秋人君と赤い糸で結ばれているんだから!










その日の晩……部屋へと運ばれた料理を食べてから私は深い眠りに付いた。


 「こんな事、あまりしたく無いんだけどね――。でも料理に妊娠確率の高くなる魔法薬まで混ぜてあるから……。僕の勇者を君が産むんだよ。マサト1人じゃちょっと戦力不足でね。この国で堕胎は認められて居ないし君が居ればこの国も安泰だしね」


王子は、岬のベッドに腰を下ろし、


制服のままベッドに横たわっている岬のスカートを剥ぎ取り――。


中に履いていた白い下着も取り払った。


「これで君は僕の奴隷だ!」






翌朝、目が覚めると素っ裸になって寝ている私の隣に……。


裸の王子が寝ていた。


私の足元には……










赤く染まったシーツが残されていた。






















「イスズ殿、少し宜しいか?」




 朝食後に談話室で1人お茶を飲んでいると、
私達を学校まで助けに来てくれた、
この国の役人でオドリーという人が話しかけてきた。
正直、この人が苦手だ。
背は私より10cm位高いが、禿げ上がった頭に目皺がくっきり入り、
温和そうに見えるけど――。
何か胡散臭いものをここへ連れて来られてから感じていた。


 「なんでしょうか、オドリー様」
「実はもう1人生存者が見つかりましてな」
「ほ、本当ですか!」
「えぇ、あの付近にある村に立ち寄ったそうで、名をアキトと名乗ったそうです」
「それじゃ?」
「えぇ、貴女達を助けたのは彼でしょうね」
「そうですか、秋人君が……」
「それで、彼がどの様な人なのか知りたいのですが……」
「どうしてです?」
「いえ、勇者になるには人望も必要でしょ?それで適正かどうかを判断したいのです。勇者の力は強大故に……」
「そうですね……一言でいえば、大人しい人でしたよ」
「格闘技などの経験は?」
「さぁ、よく分りませんが。格闘系なら運動部に入っている筈だから、何も経験は無いと思いますが……」
「容姿はどんな感じです?」
「背はオドリーさんより低い位で、細いですね。二重で黒目。髪の色は茶髪でベリーショートでしたよ」
「そうですか。ちなみにベリーショートと言うのは……」
「あぁ、こちらの世界の言葉じゃ無かったですね。サイドが短く、耳がはっきり出ていて、前髪は眉毛にかからない位でトップが水だけで立つ短さで、
襟足もサイド同様に短い感じですかね?」
「成る程、短髪ですね」
「はい。そうですね」
「協力有難う御座いました」


 そう言ってオドリー氏は去っていった。
一体なんだったんだろう?
それにしても、秋人君だったのか……。
ただ1人、私達を助ける為に戦った男の子。
いつもクラスでは大人しい方だったのに。
あんなに強いなんてね。
後で、お礼を言わないと。



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