子猫ちゃんの異世界珍道中
第90話、みんなで魔法取得その1
「そんな目で見ないでくださいまし」
僕達の視線に気づいたジェニファー王女が恥ずかしそうに頬を染めながら言葉を漏らします。
「いや、すまない。妾も王女ではあるが国の政務は兄がいる為に関わった事が無い。その若さで国王の代理を務めていると聞いて驚いたのだ」
フローゼ姫から見ても年下の少女であるジェニファー王女が、国の政務を行うのは以外だった様です。
「本来ならジェニファーの母君が代理を勤める所なのだが……」
ギルマスの話では、王様がビックウッドローズに喰われたと報告を受け、王妃様が倒れてしまったらしいです。
「王妃様は大丈夫ですの?」
エリッサちゃんが心配そうに尋ねます。
父と2人で子爵家を支えてきたエリッサちゃんは、自らの境遇を重ね、これで王妃様まで万一の事があると――そう心配になったのでしょう。
「体には何の問題もありませんの。ただ父を失って憔悴が激しくて……」
体に問題があれば僕達のヒールで解決出来るかも知れませんが、心の問題だけは魔法では解決出来ません。
「今はそっとしておく方がいいかも知れませんわね」
エリッサちゃんが自分では力になれる事が無いと知り、顔を俯かせます。
「父様の仇が討てれば、母様だって元気になるんだぞ!」
まだ幼少の少年は気楽でいいですね。
でもそれが一番かもしれません。
「私はまだお話がありますから、バルザーはお部屋に戻ってちゃんと勉強しなさいな」
ジェニファー王女から勉強の言葉が出た時に一瞬嫌そうな面持ちを浮かべましたが、幼くても王子です。わかったぞ! と言い残しメイドと共に戻って行きました。
まるでピンポンダッシュの様な子ですね。
王子が戻ってから討伐の話に戻りましたが、元々奇襲を仕掛けられる相手ではありません。
次に襲来した時に、僕達が急行する以外の作戦はありません。
討伐の打ち合わせは次第に報酬の話へと移っていきます。
「討伐に成功した場合は、ギルドから金貨10枚を出そう」
「王家からはラクダを人数分差し上げましょう。馬だけで砂漠を越えるのは大変でしょう?」
ギルマスとジェニファー王女は正式に書面に認め、僕達はそれを受け取りました。
これで正式に依頼として受けた事になります。
ギルドで昼食を食べた後なので、生憎と王室料理をご馳走になる事はありませんでしたが、高級な茶葉を使った美味しい紅茶をご馳走になり僕達は宿まで馬車で送ってもらいました。
この国で取れる黒い油は、魔法を使えない地域の人達に販売されているらしいのですが、匂いが食物油や、動物油と比べて臭い為に格安で販売されているとの話でした。
通りでサースドレイン子爵城よりも、質素なお城だった理由に納得です。
宿に戻った僕達は、僕達だけの打ち合わせがあります。
「オーガと同じAランクとは言っても何があるか分らないにゃ。だからもっと強く成れるように魔石を食べるにゃ」
今日の午前中に討伐したスコーピオンの魔石が17個、前回の残りを含め20個あります。これを皆で食べましょう。
取り敢えずは魔法を覚え易いと思われる、エリッサちゃんと、フローゼ姫から順に1個ずつ食べていきます。勿論、子狐さんもです。
エリッサちゃんが食べると、流石に延びしろがあるのでしょう。
1個目で体が仄かに光ります。
「覚えましたわ!」
笑顔のエリッサちゃんを皆で祝福しながら、子狐さんが小さな牙で噛み砕きながら魔石を食べ終わります。
ですが光りません。
「アーン」
悲しそうな声を漏らす子狐さんに、ビックワームの魔石を与えます。
それを口をモグモグさせながら食べ終えると、今度は光りました。
「アーン!」
今度は覚えた様ですね。
フローゼ姫が魔石を手に取っていると、子狐さんの体が光に包まれ口を開くと白かった牙が漆黒の硬い牙に変わっています。
エリッサちゃんにいち早く見せたかった様です。
エリッサちゃんが子狐さんを撫でると、嬉しそうにその掌に頬ずりしています。
「うふふ、良かったですわね。これで子狐さんもまた強くなりましたわ」
「妾も負けては居られないな」
フローゼ姫も1個食べましたが、何も起こりません。
2個目を食べると、体が微かに光りました。
「ほう、これは――」
何を覚えたのか気になりますが、先にミカちゃんからですね。
ミカちゃんも1個では何も覚えず、3個目で漸く何か覚えた様です。
「これは子猫ちゃんが使った事がある魔法にゃ」
僕が使える魔法ですか……何でしょう?
さて皆が覚えた魔法も気になりますが、僕ももっと強くならないとですね。
僕は魔石を1個食べると最初の1個で何か覚えました。
前に食べたのはビックワームの魔石でした。
スコーピオンの魔石は今回が初めてです。これが何か関係あるのでしょうか?
スコーピオンの魔石はまだ12個も余っています。
「同じ魔石を食べた場合は、1個では覚えられない様だな」
フローゼ姫が導き出した見解を述べます。
確かにそれもあるのでしょうけれど、個体差による延びしろも関係しているように思えます。
「次は子猫ちゃんから食べてみるにゃ!」
そんなミカちゃんからの提案で、僕から魔石を食べます。
2個目で体が光り、魔法を覚えました。
でもこれは果たして魔法と言えるのでしょうか?
試しに使ってみます。
僕が魔法を使うと一瞬だけ輝き光は弾け飛びます。
「これが、僕が覚えた魔法みたいです」
僕が皆に話しかけると――。
「「えっ……」」
「子猫ちゃんが喋ったにゃ!」
エリッサちゃんとフローゼ姫も驚いています。
今までは、みゃぁ~だけでミカちゃんが通訳してくれていましたが、僕の声が変換されて人の言葉で聞こえるようになりました。
「ほう! これで子猫ちゃんと会話が出来る訳だな!」
フローゼ姫が興奮してそんな事を言っていますが、敢えて言いましょう。
僕が沢山話したいのはミカちゃんだけですと――。
僕達の視線に気づいたジェニファー王女が恥ずかしそうに頬を染めながら言葉を漏らします。
「いや、すまない。妾も王女ではあるが国の政務は兄がいる為に関わった事が無い。その若さで国王の代理を務めていると聞いて驚いたのだ」
フローゼ姫から見ても年下の少女であるジェニファー王女が、国の政務を行うのは以外だった様です。
「本来ならジェニファーの母君が代理を勤める所なのだが……」
ギルマスの話では、王様がビックウッドローズに喰われたと報告を受け、王妃様が倒れてしまったらしいです。
「王妃様は大丈夫ですの?」
エリッサちゃんが心配そうに尋ねます。
父と2人で子爵家を支えてきたエリッサちゃんは、自らの境遇を重ね、これで王妃様まで万一の事があると――そう心配になったのでしょう。
「体には何の問題もありませんの。ただ父を失って憔悴が激しくて……」
体に問題があれば僕達のヒールで解決出来るかも知れませんが、心の問題だけは魔法では解決出来ません。
「今はそっとしておく方がいいかも知れませんわね」
エリッサちゃんが自分では力になれる事が無いと知り、顔を俯かせます。
「父様の仇が討てれば、母様だって元気になるんだぞ!」
まだ幼少の少年は気楽でいいですね。
でもそれが一番かもしれません。
「私はまだお話がありますから、バルザーはお部屋に戻ってちゃんと勉強しなさいな」
ジェニファー王女から勉強の言葉が出た時に一瞬嫌そうな面持ちを浮かべましたが、幼くても王子です。わかったぞ! と言い残しメイドと共に戻って行きました。
まるでピンポンダッシュの様な子ですね。
王子が戻ってから討伐の話に戻りましたが、元々奇襲を仕掛けられる相手ではありません。
次に襲来した時に、僕達が急行する以外の作戦はありません。
討伐の打ち合わせは次第に報酬の話へと移っていきます。
「討伐に成功した場合は、ギルドから金貨10枚を出そう」
「王家からはラクダを人数分差し上げましょう。馬だけで砂漠を越えるのは大変でしょう?」
ギルマスとジェニファー王女は正式に書面に認め、僕達はそれを受け取りました。
これで正式に依頼として受けた事になります。
ギルドで昼食を食べた後なので、生憎と王室料理をご馳走になる事はありませんでしたが、高級な茶葉を使った美味しい紅茶をご馳走になり僕達は宿まで馬車で送ってもらいました。
この国で取れる黒い油は、魔法を使えない地域の人達に販売されているらしいのですが、匂いが食物油や、動物油と比べて臭い為に格安で販売されているとの話でした。
通りでサースドレイン子爵城よりも、質素なお城だった理由に納得です。
宿に戻った僕達は、僕達だけの打ち合わせがあります。
「オーガと同じAランクとは言っても何があるか分らないにゃ。だからもっと強く成れるように魔石を食べるにゃ」
今日の午前中に討伐したスコーピオンの魔石が17個、前回の残りを含め20個あります。これを皆で食べましょう。
取り敢えずは魔法を覚え易いと思われる、エリッサちゃんと、フローゼ姫から順に1個ずつ食べていきます。勿論、子狐さんもです。
エリッサちゃんが食べると、流石に延びしろがあるのでしょう。
1個目で体が仄かに光ります。
「覚えましたわ!」
笑顔のエリッサちゃんを皆で祝福しながら、子狐さんが小さな牙で噛み砕きながら魔石を食べ終わります。
ですが光りません。
「アーン」
悲しそうな声を漏らす子狐さんに、ビックワームの魔石を与えます。
それを口をモグモグさせながら食べ終えると、今度は光りました。
「アーン!」
今度は覚えた様ですね。
フローゼ姫が魔石を手に取っていると、子狐さんの体が光に包まれ口を開くと白かった牙が漆黒の硬い牙に変わっています。
エリッサちゃんにいち早く見せたかった様です。
エリッサちゃんが子狐さんを撫でると、嬉しそうにその掌に頬ずりしています。
「うふふ、良かったですわね。これで子狐さんもまた強くなりましたわ」
「妾も負けては居られないな」
フローゼ姫も1個食べましたが、何も起こりません。
2個目を食べると、体が微かに光りました。
「ほう、これは――」
何を覚えたのか気になりますが、先にミカちゃんからですね。
ミカちゃんも1個では何も覚えず、3個目で漸く何か覚えた様です。
「これは子猫ちゃんが使った事がある魔法にゃ」
僕が使える魔法ですか……何でしょう?
さて皆が覚えた魔法も気になりますが、僕ももっと強くならないとですね。
僕は魔石を1個食べると最初の1個で何か覚えました。
前に食べたのはビックワームの魔石でした。
スコーピオンの魔石は今回が初めてです。これが何か関係あるのでしょうか?
スコーピオンの魔石はまだ12個も余っています。
「同じ魔石を食べた場合は、1個では覚えられない様だな」
フローゼ姫が導き出した見解を述べます。
確かにそれもあるのでしょうけれど、個体差による延びしろも関係しているように思えます。
「次は子猫ちゃんから食べてみるにゃ!」
そんなミカちゃんからの提案で、僕から魔石を食べます。
2個目で体が光り、魔法を覚えました。
でもこれは果たして魔法と言えるのでしょうか?
試しに使ってみます。
僕が魔法を使うと一瞬だけ輝き光は弾け飛びます。
「これが、僕が覚えた魔法みたいです」
僕が皆に話しかけると――。
「「えっ……」」
「子猫ちゃんが喋ったにゃ!」
エリッサちゃんとフローゼ姫も驚いています。
今までは、みゃぁ~だけでミカちゃんが通訳してくれていましたが、僕の声が変換されて人の言葉で聞こえるようになりました。
「ほう! これで子猫ちゃんと会話が出来る訳だな!」
フローゼ姫が興奮してそんな事を言っていますが、敢えて言いましょう。
僕が沢山話したいのはミカちゃんだけですと――。
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