子猫ちゃんの異世界珍道中
第85話、砂漠の討伐依頼
正門に辿り着き、依頼書を見せ街の外に出た僕達一行は守衛さんに教えて貰った魔物が集まる場所へと向かいます。
この砂漠の魔物は、基本的に日中は砂の中に隠れている事が多く、知らずに近寄った冒険者や人を後ろから襲い掛かるのが常道らしいです。
魔物の癖に待ち伏せとか、本当に嫌らしいですね。
この街は昨晩襲撃してきた団子虫ことビックウッドローズの餌場で、他の魔物が街を襲う事は無いと聞きました。
ビックウッドローズを倒したら、他の魔物に今度は襲われるんですね。
そう守衛さんに問いかけたら、流石に街壁を破壊出来るのはビックウッドローズだけなので、問題は無い筈との事でした。
なら最悪ビックウッドローズと遭遇して、僕達が退治しても問題はありませんね。
僕達の目の前には、古い遺跡の様な石が詰まれた柱の跡地があります。
その周辺が魔物の湧き場です。
用心しながら遺跡に近づくと――。
突然、背後の砂が爆発したように吹き上がります。
「出たにゃ!」
こっそり近づくならまだしも、これだけ堂々と襲い掛かられたら馬鹿でも分りますよ。
後方を歩いていたエリッサちゃんを中衛まで引き上げ、入れ替わりに僕とミカちゃんが後方に回ります。
フローゼ姫は前衛の位置に入れ替わり、エリッサちゃんを守る様な位置取りに付きました。
砂煙が止むと、先日砂漠で初見のビックワームが顔を出しています。
「同じCランクなら負けないにゃ!」
「みゃぁ~!」
ミカちゃんがサンダーを放ち、僕がミカちゃんを守る様に周囲を窺います。
頭からまともにサンダーを食らったビックワームは、頭部から煙を上げながらもがき苦しみ、動作を停止します。
でもここからです。
先日はこの後からBランクのスコーピオンが湧いてきました。
ミカちゃんが次の魔法を準備するまで、僕が掌に黒い煙を纏わせ待機します。
時間の流れが遅く感じます。
ジリジリと熱くなる空気を感じながら、ジッと待つと――。
ビックワームの周囲の土が盛り上がり、スコーピオンが現れます。
毎回同じとは芸が無いですね。
僕は体が半分出現したスコーピオンに向けて、待機状態の魔法を撃ちます。
姿を全て晒すのと、僕の放った黒い煙が全身を覆うのは同時でした。
砂から出現した途端、グシャと鈍い音を立ててつぶれます。
でも出現したのは1匹だけではありません。
まだ7匹残っています。
ミカちゃんは、それを狙っていた様に全てのスコーピオンが出現した所で、覚えたての魔法を放ちます。
僕も始めてみる魔法です。
ミカちゃんの周囲の空気がひんやりと涼しく感じます。
すると――。
ビックワームを取り囲む様に、氷の塊が円を描いて広がって行き全てのスコーピオンを飲み込んだと思ったら一瞬で氷の彫刻に変えました。
「みゃぁ~!」
僕が凄いね! と賞賛するとミカちゃんは微笑みを浮かべながら、
「でもこれは何度も使えないにゃ。体から魔力が減っていくのが実感できるにゃ」
そう言って胸の辺りを擦ります。
僕の新しい魔法と同じで、威力がある分魔力がごっそり持っていかられる様ですね。
それでも後方から襲撃してきた9匹は倒しました。
僕達は氷の彫像と化した魔物が絶命している事を確認しながら、討伐証明と魔石の回収を進めます。
スコーピオンの討伐証明は尻尾の先です。
生前はとても硬かった尻尾は、ミカちゃんの持つナイフでも簡単に切れます。
ですがエリッサちゃんとフローゼ姫は解体用のナイフは持っていません。
僕達が解体している脇で、背後の監視をしています。
すると突然、きゃっ、とエリッサちゃんが悲鳴を漏らします。
討伐が成功し気が抜けていた訳ではありませんが、エリッサちゃんの監視していた土の中から、音も無く小さなワームが這い出してきました。
小さいから無音だったのでしょうか?
這い出してきたワームは、エリッサちゃんに襲い掛かります。
エリッサちゃんが掌を翳しますが、間に合いません。
するといつの間に魔法の発動体勢を取っていたのか、子狐さんが掌の周囲に氷の矢を浮かべ放ちます。
ビックワームには効果がありませんでしたが、この小さなワームには効いた様です。
頭部に氷の鏃を受けて、呆気なく絶命します。
それを見て安心したのか、エリッサちゃんがその場にしゃがみ込んでしまいました。
子狐さんはエリッサちゃんを気遣う様に、エリッサちゃんの膝の上に乗ると、
「アーン」
可愛らしく、エリッサちゃんを見つめ慰めています。
僕も頑張らないと、お役を奪われてしまいそうです。
「エリッサ譲、すまない。妾が気づくのが遅れたばかりに……」
フローゼ姫はエリッサちゃんの護衛の様なものですからね。
立場的には間逆ですが……。
「いえ、私こそすみません。いざとなると流石に反応が遅れてしまって」
「そればかりは訓練あるのみだ。仕方なかろう」
2人で励まし合っていますが、まだ終わった訳では無さそうです。
小さなワームを追いかけてきたのでしょうか?
スコーピオンが9匹出現します。
流石に、2人に任せられる数ではありません。
僕が掌に魔力を纏わせると、手の周囲にパチバチとサンダーの様な火花が飛び散ります。
僕は9匹のスコーピオンに向け、一気に放ちます。
すると――。
あたり一面が眩しく輝き、『ゴゴゴグワァーンドバゴゴーン』とミカちゃんが放つサンダーが1本の光の矢だとすると、光の豪雨が降り注ぎます。
皆はあまりの眩しさから瞳を閉じています。
僕は瞳を閉じながらも、周囲の気配を窺っています。
眩い輝きが収まり、轟音が止むと9匹のスコーピオンの体からは煙が立ち上がり、砂の上にうつ伏せに倒れています。
僕が用心して近づくと、既に全滅していました。
この砂漠の魔物は、基本的に日中は砂の中に隠れている事が多く、知らずに近寄った冒険者や人を後ろから襲い掛かるのが常道らしいです。
魔物の癖に待ち伏せとか、本当に嫌らしいですね。
この街は昨晩襲撃してきた団子虫ことビックウッドローズの餌場で、他の魔物が街を襲う事は無いと聞きました。
ビックウッドローズを倒したら、他の魔物に今度は襲われるんですね。
そう守衛さんに問いかけたら、流石に街壁を破壊出来るのはビックウッドローズだけなので、問題は無い筈との事でした。
なら最悪ビックウッドローズと遭遇して、僕達が退治しても問題はありませんね。
僕達の目の前には、古い遺跡の様な石が詰まれた柱の跡地があります。
その周辺が魔物の湧き場です。
用心しながら遺跡に近づくと――。
突然、背後の砂が爆発したように吹き上がります。
「出たにゃ!」
こっそり近づくならまだしも、これだけ堂々と襲い掛かられたら馬鹿でも分りますよ。
後方を歩いていたエリッサちゃんを中衛まで引き上げ、入れ替わりに僕とミカちゃんが後方に回ります。
フローゼ姫は前衛の位置に入れ替わり、エリッサちゃんを守る様な位置取りに付きました。
砂煙が止むと、先日砂漠で初見のビックワームが顔を出しています。
「同じCランクなら負けないにゃ!」
「みゃぁ~!」
ミカちゃんがサンダーを放ち、僕がミカちゃんを守る様に周囲を窺います。
頭からまともにサンダーを食らったビックワームは、頭部から煙を上げながらもがき苦しみ、動作を停止します。
でもここからです。
先日はこの後からBランクのスコーピオンが湧いてきました。
ミカちゃんが次の魔法を準備するまで、僕が掌に黒い煙を纏わせ待機します。
時間の流れが遅く感じます。
ジリジリと熱くなる空気を感じながら、ジッと待つと――。
ビックワームの周囲の土が盛り上がり、スコーピオンが現れます。
毎回同じとは芸が無いですね。
僕は体が半分出現したスコーピオンに向けて、待機状態の魔法を撃ちます。
姿を全て晒すのと、僕の放った黒い煙が全身を覆うのは同時でした。
砂から出現した途端、グシャと鈍い音を立ててつぶれます。
でも出現したのは1匹だけではありません。
まだ7匹残っています。
ミカちゃんは、それを狙っていた様に全てのスコーピオンが出現した所で、覚えたての魔法を放ちます。
僕も始めてみる魔法です。
ミカちゃんの周囲の空気がひんやりと涼しく感じます。
すると――。
ビックワームを取り囲む様に、氷の塊が円を描いて広がって行き全てのスコーピオンを飲み込んだと思ったら一瞬で氷の彫刻に変えました。
「みゃぁ~!」
僕が凄いね! と賞賛するとミカちゃんは微笑みを浮かべながら、
「でもこれは何度も使えないにゃ。体から魔力が減っていくのが実感できるにゃ」
そう言って胸の辺りを擦ります。
僕の新しい魔法と同じで、威力がある分魔力がごっそり持っていかられる様ですね。
それでも後方から襲撃してきた9匹は倒しました。
僕達は氷の彫像と化した魔物が絶命している事を確認しながら、討伐証明と魔石の回収を進めます。
スコーピオンの討伐証明は尻尾の先です。
生前はとても硬かった尻尾は、ミカちゃんの持つナイフでも簡単に切れます。
ですがエリッサちゃんとフローゼ姫は解体用のナイフは持っていません。
僕達が解体している脇で、背後の監視をしています。
すると突然、きゃっ、とエリッサちゃんが悲鳴を漏らします。
討伐が成功し気が抜けていた訳ではありませんが、エリッサちゃんの監視していた土の中から、音も無く小さなワームが這い出してきました。
小さいから無音だったのでしょうか?
這い出してきたワームは、エリッサちゃんに襲い掛かります。
エリッサちゃんが掌を翳しますが、間に合いません。
するといつの間に魔法の発動体勢を取っていたのか、子狐さんが掌の周囲に氷の矢を浮かべ放ちます。
ビックワームには効果がありませんでしたが、この小さなワームには効いた様です。
頭部に氷の鏃を受けて、呆気なく絶命します。
それを見て安心したのか、エリッサちゃんがその場にしゃがみ込んでしまいました。
子狐さんはエリッサちゃんを気遣う様に、エリッサちゃんの膝の上に乗ると、
「アーン」
可愛らしく、エリッサちゃんを見つめ慰めています。
僕も頑張らないと、お役を奪われてしまいそうです。
「エリッサ譲、すまない。妾が気づくのが遅れたばかりに……」
フローゼ姫はエリッサちゃんの護衛の様なものですからね。
立場的には間逆ですが……。
「いえ、私こそすみません。いざとなると流石に反応が遅れてしまって」
「そればかりは訓練あるのみだ。仕方なかろう」
2人で励まし合っていますが、まだ終わった訳では無さそうです。
小さなワームを追いかけてきたのでしょうか?
スコーピオンが9匹出現します。
流石に、2人に任せられる数ではありません。
僕が掌に魔力を纏わせると、手の周囲にパチバチとサンダーの様な火花が飛び散ります。
僕は9匹のスコーピオンに向け、一気に放ちます。
すると――。
あたり一面が眩しく輝き、『ゴゴゴグワァーンドバゴゴーン』とミカちゃんが放つサンダーが1本の光の矢だとすると、光の豪雨が降り注ぎます。
皆はあまりの眩しさから瞳を閉じています。
僕は瞳を閉じながらも、周囲の気配を窺っています。
眩い輝きが収まり、轟音が止むと9匹のスコーピオンの体からは煙が立ち上がり、砂の上にうつ伏せに倒れています。
僕が用心して近づくと、既に全滅していました。
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