子猫ちゃんの異世界珍道中
第69話、ルフランの大地
翌朝、僕達が起きると主さんと子供達の姿がありませんでした。
一体何処に行ったのでしょうか?
僕は昨晩、ミカちゃんに抱かれる格好で寝ていました。
今もミカちゃんの腕の中です。
僕が起き出したらきっと起こしちゃいますね。
もう少し寝させてあげましょう。
僕は視線をミカちゃんの可愛い寝顔に固定して、周囲の反応を探ります。
でも、周囲に動いている気配はありません。
少しするとミカちゃんの瞼がピクピク動きます。
僕の視線を感じたのか?
ミカちゃんの大粒の瞳が現れ、にっこり微笑みます。
「子猫ちゃん、おはようにゃ」
「みゃぁ~!」
僕達が朝の挨拶を交わしていると、それを目覚まし代わりに皆が起き出します。
「ミカ殿、子猫ちゃんおはよう」
「皆さん、おはよう御座います」
「エリッサちゃんも、フローゼ姫もおはようにゃ!」
「みゃぁ~!」
皆、挨拶が終わり周囲を見回しています。
「あの狐が居ないようだが?」
フローゼ姫が、昨晩まで一緒だった狐が居ない事を訝しみます。
「みゃぁ~」
僕が起きた時から居なかったよ! そう告げますが、通じていません。
「子猫ちゃんが起きた時には、もう居なかったみたいにゃ」
代わりにミカちゃんが答えてくれます。
それを聞いたエリッサちゃんが寂しそうな面持ちで、
「それは残念ですわ」
そう言葉を漏らします。
エリッサちゃんはあの子狐が気に入ったようですね。
僕と大きさが変わらないのは問題ですが……。
そんな会話をしていると、奥の森から賑やかな泣き声が聞こえてきます。
『アーン、アーン』と皆で合唱しながら戻ってきたのは――。
昨日の主さんと、子狐達でした。
『起きた頃合だと思って様子を見に来たぞ』
どうやら気を使わせていたようです。
『主さんおはよう。朝早くから何処に行っていたんだい?』
僕が尋ねると――。
『毎朝の日課で散歩じゃな』
この散歩も、昔の迷い人さんに教えて貰ったと話してくれます。
僕がお婆さんの家に居た時に、橋まで散歩していた様なものですね。
『それで、お主達はこれからどうするのだ?』
この主さんに聞けば、帰り道も分るでしょうか?
ちょっと聞いてみましょう。
『僕達は森で狩りをしていて、エルフが作ったゲートというものに落ちてここに着ちゃったんだよ。帰る方法とか知っているかい?』
僕達がこの場所に来た訳を説明します。
でも主さんの表情はすぐれません。
主さんにも分らないのでしょうか?
『ゲートか……国の名前とか分るか?』
国の名前……何でしたっけ?
フローゼ姫に聞けば分りますよね? だってお姫様だし。
「みゃぁ~みゃぁ~みゃぁ~?」
「子猫ちゃんが、フローゼ姫の国の名前を聞いていますにゃ」
僕の代わりにミカちゃんが通訳をかってくれます。
ミカちゃんも街の名前は知っていても国名は、知らなかった様です。
「む? 妾の国ならアンドレア王国だぞ?」
成る程……アンドレア王国ですね。
『ふむ、聞かぬ名じゃのぉ……』
迷い人と旅をしていた主さんでも分らないとなると……どうしましょう?
「狐さんはアンドレア国の場所は分らないと言っていますにゃ」
ミカちゃんが、僕達の会話を隣で聞いていて通訳してくれています。
「ふむ、妾の国は新興国だからな、古くからの国ならエルストラン皇国が近いが……」
また知らない国の名前が出てきました。
『エルストラン皇国ならば我も知っておるぞ』
「狐さんがエルストラン皇国なら知っていると言っていますにゃ」
ミカちゃんの通訳を聞いたフローゼ姫が、
「何、本当か! 皇国の方向がわかれば……妾の国に戻れるぞ」
フローゼ姫が皇国の近くにアンドレア王国があるのだ。と言っています。
『そのエルストラン皇国はどっちの方角にあるんだい?』
僕が主さんに尋ねます。
すると――。
『ここからエルストラン皇国までは、我の足でも1月はかかるぞ。しかもそこまで辿り着くのにはガンバラ王国とアルフヘイムを通らねばならん』
主さんの話では……アンドレア王国は随分と遠い所の様です。
「国に帰るのに、ガンバラ王国とアルフヘイムを通らないと行けないらしいにゃ」
ミカちゃんが聞いたままの話をフローゼ姫に伝えます。
「という事は、ここは何処なのだ?」
フローゼ姫も聞いた事が無い国の名前が出てきて、疑問符を浮かべながら問いかけてきます。
僕が聞いて見ようと思っていると――。
『ここはルフランの大地だ。ここを治めている国は無い。ここは魔族と人族との国境で緩衝地帯でもあるからな』
「ここは魔族の国境で、ルフランの大地らしいにゃ」
ミカちゃんの言葉を聞いたフローゼ姫が、
「なに? ルフランだと。まさか、そんな場所が本当にあったとは……」
フローゼ姫が昔読んだ歴史の本には、このルフランの大地の事が書かれてあった様で、その書物では赤茶けた荒れた大地だったそうです。
おかしいですね……ここは一面花畑ですよ?
『荒れた大地は、人と魔族という生贄を栄養分として生まれ変わった。種族間の争いの末路がこの花畑とは洒落ているではないか』
詳しくは分りませんが……ここで昔大勢の人と魔族が戦って亡くなり、その骸を栄養分としこれ程のお花畑に変わったそうです。
これ程広大なお花畑になるまで一体、何人の犠牲が出たのでしょう。
過去の事はさておき、僕達の居る場所は有名な大地でした。
一体何処に行ったのでしょうか?
僕は昨晩、ミカちゃんに抱かれる格好で寝ていました。
今もミカちゃんの腕の中です。
僕が起き出したらきっと起こしちゃいますね。
もう少し寝させてあげましょう。
僕は視線をミカちゃんの可愛い寝顔に固定して、周囲の反応を探ります。
でも、周囲に動いている気配はありません。
少しするとミカちゃんの瞼がピクピク動きます。
僕の視線を感じたのか?
ミカちゃんの大粒の瞳が現れ、にっこり微笑みます。
「子猫ちゃん、おはようにゃ」
「みゃぁ~!」
僕達が朝の挨拶を交わしていると、それを目覚まし代わりに皆が起き出します。
「ミカ殿、子猫ちゃんおはよう」
「皆さん、おはよう御座います」
「エリッサちゃんも、フローゼ姫もおはようにゃ!」
「みゃぁ~!」
皆、挨拶が終わり周囲を見回しています。
「あの狐が居ないようだが?」
フローゼ姫が、昨晩まで一緒だった狐が居ない事を訝しみます。
「みゃぁ~」
僕が起きた時から居なかったよ! そう告げますが、通じていません。
「子猫ちゃんが起きた時には、もう居なかったみたいにゃ」
代わりにミカちゃんが答えてくれます。
それを聞いたエリッサちゃんが寂しそうな面持ちで、
「それは残念ですわ」
そう言葉を漏らします。
エリッサちゃんはあの子狐が気に入ったようですね。
僕と大きさが変わらないのは問題ですが……。
そんな会話をしていると、奥の森から賑やかな泣き声が聞こえてきます。
『アーン、アーン』と皆で合唱しながら戻ってきたのは――。
昨日の主さんと、子狐達でした。
『起きた頃合だと思って様子を見に来たぞ』
どうやら気を使わせていたようです。
『主さんおはよう。朝早くから何処に行っていたんだい?』
僕が尋ねると――。
『毎朝の日課で散歩じゃな』
この散歩も、昔の迷い人さんに教えて貰ったと話してくれます。
僕がお婆さんの家に居た時に、橋まで散歩していた様なものですね。
『それで、お主達はこれからどうするのだ?』
この主さんに聞けば、帰り道も分るでしょうか?
ちょっと聞いてみましょう。
『僕達は森で狩りをしていて、エルフが作ったゲートというものに落ちてここに着ちゃったんだよ。帰る方法とか知っているかい?』
僕達がこの場所に来た訳を説明します。
でも主さんの表情はすぐれません。
主さんにも分らないのでしょうか?
『ゲートか……国の名前とか分るか?』
国の名前……何でしたっけ?
フローゼ姫に聞けば分りますよね? だってお姫様だし。
「みゃぁ~みゃぁ~みゃぁ~?」
「子猫ちゃんが、フローゼ姫の国の名前を聞いていますにゃ」
僕の代わりにミカちゃんが通訳をかってくれます。
ミカちゃんも街の名前は知っていても国名は、知らなかった様です。
「む? 妾の国ならアンドレア王国だぞ?」
成る程……アンドレア王国ですね。
『ふむ、聞かぬ名じゃのぉ……』
迷い人と旅をしていた主さんでも分らないとなると……どうしましょう?
「狐さんはアンドレア国の場所は分らないと言っていますにゃ」
ミカちゃんが、僕達の会話を隣で聞いていて通訳してくれています。
「ふむ、妾の国は新興国だからな、古くからの国ならエルストラン皇国が近いが……」
また知らない国の名前が出てきました。
『エルストラン皇国ならば我も知っておるぞ』
「狐さんがエルストラン皇国なら知っていると言っていますにゃ」
ミカちゃんの通訳を聞いたフローゼ姫が、
「何、本当か! 皇国の方向がわかれば……妾の国に戻れるぞ」
フローゼ姫が皇国の近くにアンドレア王国があるのだ。と言っています。
『そのエルストラン皇国はどっちの方角にあるんだい?』
僕が主さんに尋ねます。
すると――。
『ここからエルストラン皇国までは、我の足でも1月はかかるぞ。しかもそこまで辿り着くのにはガンバラ王国とアルフヘイムを通らねばならん』
主さんの話では……アンドレア王国は随分と遠い所の様です。
「国に帰るのに、ガンバラ王国とアルフヘイムを通らないと行けないらしいにゃ」
ミカちゃんが聞いたままの話をフローゼ姫に伝えます。
「という事は、ここは何処なのだ?」
フローゼ姫も聞いた事が無い国の名前が出てきて、疑問符を浮かべながら問いかけてきます。
僕が聞いて見ようと思っていると――。
『ここはルフランの大地だ。ここを治めている国は無い。ここは魔族と人族との国境で緩衝地帯でもあるからな』
「ここは魔族の国境で、ルフランの大地らしいにゃ」
ミカちゃんの言葉を聞いたフローゼ姫が、
「なに? ルフランだと。まさか、そんな場所が本当にあったとは……」
フローゼ姫が昔読んだ歴史の本には、このルフランの大地の事が書かれてあった様で、その書物では赤茶けた荒れた大地だったそうです。
おかしいですね……ここは一面花畑ですよ?
『荒れた大地は、人と魔族という生贄を栄養分として生まれ変わった。種族間の争いの末路がこの花畑とは洒落ているではないか』
詳しくは分りませんが……ここで昔大勢の人と魔族が戦って亡くなり、その骸を栄養分としこれ程のお花畑に変わったそうです。
これ程広大なお花畑になるまで一体、何人の犠牲が出たのでしょう。
過去の事はさておき、僕達の居る場所は有名な大地でした。
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