子猫ちゃんの異世界珍道中
第34話、取調べact.2
ミカちゃんが黙ったままで居ると――。
「お譲ちゃん、これは大事な質問だ。話を聞く限りでは誘拐目的の犯行に間違いは無い。無いのだが……問題は、何故誘拐犯に狙われたのか?何故、犯人の方が全員死んでいたのか?これが重要な事は、お譲ちゃんも分るだろう?」
「わかりますにゃ」
「なら、包み隠さず話してくれないかな」
またしばらく、ミカちゃんは黙ってしまいました。
僕がやったんです!そう言えれば言いのですが……生憎と、僕の言葉を理解してくれるのはミカちゃんだけです。僕は、震えるミカちゃんの身体に寄り添いながら、ジッと推移を見守りました。
「黙ってないで、話ちゃった方が楽になるぜ!」
ギルドマスターも話に参加してきます。あなた、私達の味方じゃないんですか!
仲間だと思っていたギルドマスターの言葉を受け、ミカちゃんもポツリ、ポツリと、口を開きだしました。
「私の生まれは、オードレイク伯爵領ですにゃ――生まれた時から、親が居なくて孤児院で育ちましたにゃ。孤児院では、私の様な猫獣人の孤児は居なくて……ずっと独りでしたにゃ」
「今はそんなっ」
「黙って聞け!」
警備兵のおじさんが、何か言いかけましたが、ギルドマスターの怒号に止められました。ミカちゃんの独白は続きます。
「そんな時に、私を養子にしてくれる優しい人が現れましたにゃ。その人は、小さな村の村長をやっているお爺さんで、私を見て気の毒に思ってか?養子にしてくれましたにゃ」
「それじゃ、お譲ちゃんの出身地はその村って事になるのかな?」
「そうですにゃ」
「それで、どうしてその村を出て、冒険者なんかになったのかな?」
「そ、それは……お爺さんも、村の人も優しくしてくれていたにゃ。でも数日前――村に盗賊の集団がやってきて。村のお年寄り、男の人達、小さな子供も全員殺されましたにゃ」
「そ、そんな話は始めて聞いたぞ」
「その盗賊は、私と他のお姉さん達を奴隷にする為に生かし、連れさりましたにゃ」
「なんで、連れ去られた筈のお譲ちゃんが無事にここに?」
「そ、それは、助けてくれた人が居たからにゃ」
「話がおかしくなっているが……」
「そんな事は無いにゃ。私は盗賊から逃げ出して、村に戻りましたにゃ。すると……村人の死体と、村を焼き払っている集団に遭遇したにゃ」
「それは盗賊じゃないのか?」
「違いましたにゃ。私達を助けてくれた人が尋問すると、オードレイク伯爵の指示で村を……証拠を隠滅する為と言っていたにゃ」
「なんだって!一大事、所の話じゃなくなってきたぞ――俺達の手には負えない話になりそうだな。至急、サースドレイン子爵の元へ遣いをだせ!」
何故か分らないですが、やさしい門番のおじさん達の動きが慌しくなります。
『それで、お譲ちゃんはこの街へ逃げてきたのか……』ギルドマスターが、訳知り顔でうんうん頷いています。
「それで、お譲ちゃんはこの街に逃げてきたのかな?」
「そうですにゃ……」
「それで、今回の話と何か関係が?」
「あの男達は言ったにゃ。オードレイク伯爵領の村人が勝手に逃げ出したら困ると……私を伯爵様の所へ連れて行くと言っていたにゃ」
「それじゃ、誘拐でも話が変わってくるな……街の警備隊だけで済む話じゃねぇ~ぞ」
「私と一緒に盗賊から助け出された、お姉さん達が翌日、伯爵様の街で……」
「ん?まだその話にも続きがあるのか?」
「お姉さん達は悪い事をしていないにゃ。でも伯爵様に、盗賊の一味として処刑されたと……行商人の人に聞いたにゃ」
「かぁ~~!もうここまで事態が大きくなりすぎると、完全に俺達で収まる話じゃねぇ~な。一旦休憩するか」
やさしい門番さんも、警備兵のおじさんも、部屋から出て行きました。その後、また警備服を着たお姉さんが、僕、ミカちゃん、ギルドマスターの分のご飯を持ってやってきて、テーブルに置いていきました。
「それにしても……こんな幼い子が何で、1人で冒険者にと、不思議に思ってはいたが……そんな理由があったとはな」
「怖くてとても話せなかったにゃ。すみませんにゃ」
「いいや。それは仕方ない。相手が大き過ぎるからな。それにしても――良く無事だったな」
「それは、子猫ちゃんが助けてくれたからにゃ」
「いつもそう言っているが、本当にその猫が?」
「子猫ちゃんは、強いにゃ!鬼を倒せたのも、子猫ちゃんが居たからにゃ」
ギルドマスターは、ミカちゃんが、嘘を言っていない事に困惑しながらも、鋭い視線を僕に向けるのでした。
「お譲ちゃん、これは大事な質問だ。話を聞く限りでは誘拐目的の犯行に間違いは無い。無いのだが……問題は、何故誘拐犯に狙われたのか?何故、犯人の方が全員死んでいたのか?これが重要な事は、お譲ちゃんも分るだろう?」
「わかりますにゃ」
「なら、包み隠さず話してくれないかな」
またしばらく、ミカちゃんは黙ってしまいました。
僕がやったんです!そう言えれば言いのですが……生憎と、僕の言葉を理解してくれるのはミカちゃんだけです。僕は、震えるミカちゃんの身体に寄り添いながら、ジッと推移を見守りました。
「黙ってないで、話ちゃった方が楽になるぜ!」
ギルドマスターも話に参加してきます。あなた、私達の味方じゃないんですか!
仲間だと思っていたギルドマスターの言葉を受け、ミカちゃんもポツリ、ポツリと、口を開きだしました。
「私の生まれは、オードレイク伯爵領ですにゃ――生まれた時から、親が居なくて孤児院で育ちましたにゃ。孤児院では、私の様な猫獣人の孤児は居なくて……ずっと独りでしたにゃ」
「今はそんなっ」
「黙って聞け!」
警備兵のおじさんが、何か言いかけましたが、ギルドマスターの怒号に止められました。ミカちゃんの独白は続きます。
「そんな時に、私を養子にしてくれる優しい人が現れましたにゃ。その人は、小さな村の村長をやっているお爺さんで、私を見て気の毒に思ってか?養子にしてくれましたにゃ」
「それじゃ、お譲ちゃんの出身地はその村って事になるのかな?」
「そうですにゃ」
「それで、どうしてその村を出て、冒険者なんかになったのかな?」
「そ、それは……お爺さんも、村の人も優しくしてくれていたにゃ。でも数日前――村に盗賊の集団がやってきて。村のお年寄り、男の人達、小さな子供も全員殺されましたにゃ」
「そ、そんな話は始めて聞いたぞ」
「その盗賊は、私と他のお姉さん達を奴隷にする為に生かし、連れさりましたにゃ」
「なんで、連れ去られた筈のお譲ちゃんが無事にここに?」
「そ、それは、助けてくれた人が居たからにゃ」
「話がおかしくなっているが……」
「そんな事は無いにゃ。私は盗賊から逃げ出して、村に戻りましたにゃ。すると……村人の死体と、村を焼き払っている集団に遭遇したにゃ」
「それは盗賊じゃないのか?」
「違いましたにゃ。私達を助けてくれた人が尋問すると、オードレイク伯爵の指示で村を……証拠を隠滅する為と言っていたにゃ」
「なんだって!一大事、所の話じゃなくなってきたぞ――俺達の手には負えない話になりそうだな。至急、サースドレイン子爵の元へ遣いをだせ!」
何故か分らないですが、やさしい門番のおじさん達の動きが慌しくなります。
『それで、お譲ちゃんはこの街へ逃げてきたのか……』ギルドマスターが、訳知り顔でうんうん頷いています。
「それで、お譲ちゃんはこの街に逃げてきたのかな?」
「そうですにゃ……」
「それで、今回の話と何か関係が?」
「あの男達は言ったにゃ。オードレイク伯爵領の村人が勝手に逃げ出したら困ると……私を伯爵様の所へ連れて行くと言っていたにゃ」
「それじゃ、誘拐でも話が変わってくるな……街の警備隊だけで済む話じゃねぇ~ぞ」
「私と一緒に盗賊から助け出された、お姉さん達が翌日、伯爵様の街で……」
「ん?まだその話にも続きがあるのか?」
「お姉さん達は悪い事をしていないにゃ。でも伯爵様に、盗賊の一味として処刑されたと……行商人の人に聞いたにゃ」
「かぁ~~!もうここまで事態が大きくなりすぎると、完全に俺達で収まる話じゃねぇ~な。一旦休憩するか」
やさしい門番さんも、警備兵のおじさんも、部屋から出て行きました。その後、また警備服を着たお姉さんが、僕、ミカちゃん、ギルドマスターの分のご飯を持ってやってきて、テーブルに置いていきました。
「それにしても……こんな幼い子が何で、1人で冒険者にと、不思議に思ってはいたが……そんな理由があったとはな」
「怖くてとても話せなかったにゃ。すみませんにゃ」
「いいや。それは仕方ない。相手が大き過ぎるからな。それにしても――良く無事だったな」
「それは、子猫ちゃんが助けてくれたからにゃ」
「いつもそう言っているが、本当にその猫が?」
「子猫ちゃんは、強いにゃ!鬼を倒せたのも、子猫ちゃんが居たからにゃ」
ギルドマスターは、ミカちゃんが、嘘を言っていない事に困惑しながらも、鋭い視線を僕に向けるのでした。
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