サヨナラ世界

こぶた

プロローグ

今から80年ほど前、日本は戦争に負けた。

日本人の愛国心、絶対に降伏しないその姿勢…それは連合諸国に「日本人は危険」と判断させるには充分だった。

連合国軍は考えた…日本人かれらはいつか必ず牙を剥く。それを防ぐ方法を。

そして決めた。当時最先端の技術を使って日本人全員の脳に盗聴用の超小型発信機を埋め込む…それによって日本人の反逆を未然に防ぎ、日本人を弱体化させることを。

生まれてくる子供にもそれらは埋め込まれた。
しかし、連合国軍の考えとは裏腹に日本人にそんな力は残っていなかった。

終戦から何十年と経て日本人に反逆の意思はないと判断した連合国は日本人の盗聴を終わり、その権利を日本政府に引き渡した。

この頃、日本では自殺者および精神病患者の数が激増し社会問題となっていた。

日本政府は考える。この問題の解決策を。

そして生まれる法律。「死にたい」と言った人間は死刑になる、通称【希死念慮口外禁止法】。

これはそんな世界に生きる人々の希望と絶望の物語。

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