チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

思わぬ再会


ボクは今、暗い世界にいる。
どこか夢の中ようにフワフワとした頭の中、ボクは闇の中を漂っていた。

「………ぎ…ん!」

誰だろう…聞き覚えのある声が聞こえてきた。だが、フワフワと思考が纏まらない今のボクは誰の声なのか思い出す事ができない。

「……うぎくん!」

とても聞き覚えのある声。
いつもそばで聞いていた、可愛い女の子の声。

「勇儀くん!」

────突然、視界が明瞭になり思考がしっかりと纏まる。目の前にはいつもボクのそばに居た女の子の顔。
名前は……

「真琴…?」
「勇儀くん!!よかった…」

ボクはまた突然暗くなる視界と、顔に押し付けられた柔らかい感触に少しパニックを起こす。

「んー!!んーーーー!!!!」
「あ、勇儀くんごめん…」

ようやく真琴がハグの力を緩め、ボクは真琴の胸から顔を離す。
…柔らかい感触が離れて少し寂しくなったのは秘密だ。

(ボク達は確か…王様に呼び出されて…神の降臨とか何とか聞いて…その後…)

一つ、また一つ…と記憶を辿って現状を把握しようとするが、王様に呼び出されて謁見室に入った辺りからよく覚えていない。
今居るのはどこかの荒野のようであり、随分と荒れ果てている。
他のクラスメイト達もいるようで、次々と意識を取り戻していく。
すると、後ろの方からまた聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「やっと目が覚めましたか…それにしても死人まで蘇らせるとは…流石ですねエレナさん」
「いえいえ、大したことはしていませんよ。私には世界の在り方や事象を捻じ曲げる能力はあれど、戦闘能力は微塵もありませんから。消費魔力も多いですし…」
「いや、人間からしたら戦術兵器並だからな?お前のステータス」
「魔神のステータスを見慣れてきて麻痺してますけど、ステータスが万を超えるともう人外並なんですよね…」

目の前にはサカツキさんの仲間の方と、もう1人小さな女の子がいた。
だが、その女の子からは僕らの想像を遥かに超える魔力が常時放たれている。

「あの…ここは?それと、どうして皆さんがここに?」

ボクが呆然としながらも現状把握のためアカツキさん達へ問い掛けると、アカツキさんが代表して答えてくれた。

「ここは魔王城のある荒野です。私達がここにいるのは、サカツキ様がここで神々との戦争を買って出た為です」
「魔王城!?神々!?えっ…えぇ!?な、何でそんな場所に僕達は…?」
「神に操られてサカツキ様と私達を消しに来たのですよ。覚えていないのですか?」

覚えていない。
突然の事態に頭の中がグシャグシャだ。
ボクは冷静になる為深呼吸し、口に手を当てて今までの会話からある程度事態を飲み込んだ。
だが、一つ分からない事がある。

「………何故、皆さんが神様と戦争をされているのですか?皆さんは多大な功績を残していて、むしろ神様に愛されるような人じゃないですか」
「……………」

アカツキさん達は答えない。
眉をひそめ、フェンさん達とアイコンタクトを取るアカツキさんは迷っているように見えた。

「…答えて、いただけませんか?」
「……………いいでしょう」
「…おい。いいのか?」

アカツキさんの肩をフェンさんが掴む。
フェンさんの表情は心配そうな顔であり、余程重大な事なのだろう。
アカツキさんは肩に乗ったフェンさんの手を解き、しっかりと頷く。
ボクは知らぬ間に息を飲み、アカツキさんの言葉を待った。

「……………私達が神々から狙われる理由は、私達が魔神だからです」
「………魔神…?」

ボクは聞きなれない言葉に首を傾げる。
アカツキさんは華やかな笑みを浮かべ、続きの言葉を紡いだ。

「私達魔神とは、魔王のさらに上の魔族のような者だと考えて頂ければ大丈夫です。魔神はたった一人で世界を支配しうる力を持つ。だからこそ神から狙われるのです」
「え、ええええええええぇぇぇぇ!!?」
「しかも、サカツキ様…いえ、ツカサ様は魔神の中でもトップクラスの力を持つ魔神です。神々からすれば何がなんでも排除したい存在であるのは間違いありません」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」

ボクは衝撃の事実に頭を抱える。

(サカツキさん達は神々が何としても排除したい存在で、サカツキさん達は魔神で人々の英雄で…)

しまった、また頭がこんがらがっている。
深呼吸しなければ。
ボクはまた深呼吸して頭の中を整理する。

「…どうされました?」
「…いえ、少し混乱してしまいました………あの、何か証明できるものはありませんか?ステータスでもなんでもいいんです。突然すぎて現実味が無いというか、信じにくいというか…」
「まあ、そうですよね。なら……」
「はい!!」

アカツキさんが自らのステータスを見せようと宙に目をやろうとすると、活発そうな女性の獣人、サティナさんが手を挙げた。

「なら私、ステータスお見せしますよ!丁度ステータスが億を超えまして、魔神として、恥ずかしくないステータスにはなったかなー…と」
「ならサティナ、お願いします」
「はーい!」

サティナさんが宙に目をやり、まるで目の前に何かがあるように手を動かして操作する。

(………え?億???)

すると、目の前に信じられないほど無茶苦茶なステータス画面が現れた。


「えっ…えぇ……」
「な、何で引くんですかぁ!!?」

桁違いすぎる。
この世のものとは思えない馬鹿げたステータスと、スキルレベルMAXのスキルの多さ。
これは1人で世界征服出来るというのも納得だ。

「これ…ホントにサティナさんのステータス何ですか!?そんな風には…」
「失礼ですね、ぶっ飛ばしますよ」
「落ち着けよサティナ。言っとくが、ステータスだけなら私の方が高いし、ツカサは私の何十倍も強い。これでビックリしてちゃ話にならないぜ」

信じにくい。
だが、信じざるを得ない。
サカツキさ…ツカサさんは僕達の師匠で、それだけ強くてもおかしくないくらいには強かった。
思わずボクの口から乾いたため息が漏れる。

「………それで、今はどんな状況ですか?」
「あなた達勇者と神々がツカサ様の力の前に倒れ、死んでいた所をこのエレナさんが蘇生した。というところですね。ツカサ様は現在、神側の大将と一対一で戦っていますが…苦戦しているようですね」
「なっ!?師匠が神様と一対一!?な、なら助けに……「やめておきな」…!」

急いで立ち上がったボクをフェンさんが制止する。だが、その落ち着いた声とは裏腹にフェンさんの綺麗なその顔には険しい表情が浮かんでいた。

「勿論、俺達だってツカサの助けになりたい。だがな、助けに行きたくても助けに行けないんだよ……激しすぎる攻撃の余波。人間を即死させる程濃密な魔力の渦。ロキが世界に洗脳を掛け続ける事で起こっている空間の乱れ……どれを取ってもまともに近寄れない」
「そんな……じゃあ一体どうやったら…!」

ボクはここからでも聞こえる凄まじい戦闘音のなる方へ目を向ける。
雲が空を覆い、何かが中空を舞うその場所は、遠くから見ても異常だった。
轟く雷鳴はまるで世界が悲鳴を上げているようである。

「あの場所に一瞬で飛んで、ロキによって歪んだ世界をエレナが改変すれば何とかなります。ですが、その方法が無くて今悩んでいるんです」
「アカツキさん…」

アカツキさんの握り拳から血が滴る。
彼女も今すぐ助けに行きたいのだろう。だが、その方法が無くて足踏みしている。
いや、それは彼女だけではない。
フェンさんや、サティナさん、エレナさんも同様すぐに師匠を助けに行きたくて仕方ないのだ。
だが………

「すいません。恐らくボク達では力になれません…瞬間移動の能力を持ってるクラスメイトはいますが、彼いわく転移地点の空間が歪んだり、不安定になっていると座標が乱れてしまうみたいで…どこに飛ぶのか分からないんです。平地に飛べばまだマシですが、岩の中や地中に飛んでしまうと……」
「…………そうですか」
「おーいたいた。そっちは終わったかい?」
「いやー…雑魚退治も楽じゃ無いねー!」
「お前神共と天使の奴らが消えてから特にこれといって何もやってねぇだろ!!」
「あ"ぁ"?」
「やんのか?お"ぉ"?」
「………?」

アカツキさん達と口に手を当てて唸っていると、いつの間にか知らない女性2人と5人の鎧を着た騎士?が現れた。
1人の女性は白髪で長身の綺麗な女性、もう1人はフードを目深く被った小柄な女性だ。

(……!?えっ!?いつ現れた!?!?)

ボクは反射的に腰に下げた剣に手を伸ばすが、その手は空を掴む。
片方の白く長い髪の女性が、ボクの腰に下げてあった剣を先に抜いたからだ。
そしてその剣は今ボクの首に向けられており、自然と冷や汗が首筋を伝う。

「臨戦態勢は無闇矢鱈に取るもんじゃねぇぞ。今日の味方も剣を向ければ今の敵だ。油断してる方が悪くなっちまうんだぜ。敵意の有無くらい分かるだろう?」
「ぐっ……」
「ハンニバルさんとナイツ・オブ・クロノス!?どうやってこんな一瞬で…」

どうやらアカツキさん達とは既知の関係らしく、ボクの心の中に少しだけ後悔の念が生まれる。
ハンニバルと呼ばれた女性はボクの首に向けた剣をこちらに放り投げ、人懐っこそうな笑みでアカツキさんへ手を振った。

「いや…それがな、コイツのおかげなんだよ」
「よっ!久しぶりだな〜…あとコイツって呼ぶな」

フードを目深く被った女性がフードを上げる。すると、その中からとても綺麗な女性の顔が現れた。

(凄く綺麗な女性だな……というかあの耳はエルフ?)

「メイリスさん!何故ここに!?」
「この方もお知り合いなんですか?」

アカツキさんがコクンと頷き、軽く説明してくれる。
どうやら彼女はメイリスという方で、エルダーエルフと呼ばれる非常に希少な種族らしい。
どうやってそんな種族とアカツキさん達は知り合ったのだろうか。

「いや、何となくアレがピンチな気がしてね。ソイツは勇者かい?」
「は、はい!異世界から来た、勇者のリーダーをさせてもらってます。勇儀と申します!」
「そうかい」

こちらにはあまり興味が無いようで、反応は薄い。男心としては、綺麗な女性にそういった対応をされると少なからずショックだったのは胸の内にしまう。

「それで、今はどんな状況なんだい?」
「それが…」

アカツキさんが話を掻い摘みながら重要な点をメイリスさんに伝える。
メイリスさんはアカツキさんの話をコクコクと頷きながら何かを考えていた。
やがてアカツキさんの話が終わり、最後に「ナルホド」と呟いたメイリスさんはドンッと胸を叩いた。

「そういう事なら、アタシに任せな!!」
「ホントですか!」
「ああ!アタシとアカツキの仲だろう?」

メイリスさんは笑顔で答える。
そして自信満々な頼もしい表情でメイリスさんは声を上げた。

「要は、あの世界の終わりみたいになってる所まで安全に飛べればいいんだろう?お安い御用だ!!運賃はいらない。全員運んでやる!!」

自然と、その場にいた全員が歓声を上げ、拳を突き出していた。

「さあ、出発だ!!」













〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「はぁっ…はぁっ……」
「おやおや。自慢のスキルもそんなものですか。無力ですねぇ…」





「クソっ……」

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コメント

  • imosama

    ロキ逃す所でギブです。正直同キャラとの戦い伸ばしてもグダるだけ。手の内知れてるしつまんねぇもん。 実際エタって作者失踪だしなwwwww

    1
  • ゼロ

    面白い☺次回はやく読みたいです!

    1
  • solbird

    投稿遅れてすいませんでしたm(_ _)m

    1
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