異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

再会の

アリスティル「父………様?」


ロイス「ん?私が君の父親?何を言っているんだい?…嗚呼そうか、もしかして私と顔がそっくりなのかな?」


アリスティル(違う………違うわ!ここに居るのは紛れもなく………)


ロイス「ゴホン…改めまして、ヴァンパイア王側近のロイスです。よくローズモンド侯爵って呼ばれる方が多いですが貴女様であればどちらでも構いませんよ」


アリスティル「は……?」



アリスティルが呆然としているとアルベールは耳打ちしてくる



アルベール「貴女は一応ヴァンパイアの子息ですから貴女の方が身分的に上です」


アリスティル(女なのに男として振る舞わなければならないこっちの身にもなって欲しいわ…)


アリスティル「はじめまして、ローズモンド侯爵。」


ロイス「噂はかねがね…王家筋の唯一の分家、キングスレー家の子でしたかね」


アリスティル「ええ、まあそうですね」


ロイス「キングスレー家でありながらヴァンパイア王の養子であると…大変でしょう?」


アリスティル「いえいえ!そんなことはありませんよ」



アリスティルは嘘をついた


実際、キングスレー家とヴァンパイア王の子としての仕事を回すのはかなり大変だった


キングスレー家は皇帝との契約によって「ヴァンパイアと人間の架け橋」となりヴァンパイア王の子としては「時期王位継承者の監督」の役割をになっていた


だが後者の方はかなり厄介な仕事だ


アリスティルは5位とはいえ王位継承権を持ってはいる


しかし面倒な事に1位〜4位はないも同然の状態。これから激化するであろう争いをアリスティルが仲裁する他ない



アリスティル(嗚呼…あの場所に帰りたいなあ………)



思い出すのはいつも自分の家でもある城のことばかり。


でもこうして鉄枷で縛られているので無理な話だ



アルベール「アリステ…、じゃなくてユリウス。いつまでボーッとしているのです?」


アリスティル「………はっ!」


アルベール「貴女には仕事がまだたくさんありますからね」


アルベール「大人しく着いてきてもらいますから」


アリスティル「……………」


アルベール「なんです?黙ってどうしました?…まさかとは思いますが」


アルベール「まだ人間に未練があるのですか?」


アリスティル「…………」


アルベール「そうそう、契約では確か貴女は17歳になれば完全なヴァンパイアになるのでしたよね?ならその未練はさっさと断ち切って頂かないと」


アリスティル「………どうして?」


アルベール「嗚呼、縛られていたままだったので今日がいつなのかも分からないのですね」


アルベール「今日は10月19日…明日が貴女の誕生日です」


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