フランチェスカの過去(3)

街の人C『……自分だってお荷物の癖に』


アリスティル『…………!!』


フランチェスカ『……お荷物？』



その言葉に姫ちゃんは過剰に反応していた。



街の人D『こらっ、それは禁句でしょ！』


街の人C『…だって』


アリスティル『「本当の事」…だって言いたいんでしょ』


街の人C『………………』



その言葉にその子供はこくんと小さく頷いた。



街の人D『なんて失礼な事を！すみません、ギルト様!!お許し下さい！お願いします!!』


アリスティル『……構いませんよ』


フランチェスカ『……すみません、不躾な事を聞くけどそれは一体なんの事でしょうか？』


アリスティル『…………場所を変えてお教えしましょう。』



私は姫ちゃんに促されるままに馬車に乗る。二人きりになって誰も居ないことを確認した姫ちゃんは過去のことをぽつぽつと話し始めた。



アリスティル『…これはとある兄妹の話。兄妹の家は一般的には裕福な家柄。貴族の中の貴族。他国の王とほぼ同じ勢力を持った家。そこに男の子と女の子が産まれたの。』


アリスティル『赤の領地で女の子は嫁入り修行をさせられるのが普通だけどこの家では白の領地と同じ習慣が取り入れられていて女の子も勉学と剣術に励んでいた』


アリスティル『男の子はあまり才能を発揮できなかったけど女の子の方は違った。みるみるうちに剣の腕が上達していつしか剣豪の1人と数えられるくらいに強くなった』


アリスティル『一方男の子の方はそのまま剣術を諦めて違う道に進んだんだけどその後は…………うん』


フランチェスカ『その男の子って……?!』


アリスティル『私の兄、ギルト･キングスレー』


フランチェスカ『さっき「ギルト様」って街の人達に呼ばれていたのは？』


アリスティル『とある事情で私がギルト･キングスレーの影武者をやっているからよ』


アリスティル『街の人達の間ではギルト･キングスレーの事を「キングスレー家のお荷物」と呼び、妹の私の事を「キングスレー家の変わり者」って密かに呼んでいるらしいの』


フランチェスカ『…………』


アリスティル『変な話しよね、これ以上聞きたくないならこの話はおしまいにするけど……』


フランチェスカ『…話してください』


アリスティル『……分かった。ある日私の強さを買って、ほとんどの人が敵視しているヴァンパイア王の討伐の依頼が舞い込んできたことがあった。』


アリスティル『聖女の再来とか耳障りの良い言葉を浴びせておいて私を生贄にしようとしていた。』


アリスティル『私は彼らの思惑に気づいた途端ああ私って要らない子なんだなって思った』


アリスティル『けど助けてくれたのが兄様だった』