異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

神の申し子

私には矛盾だらけだ。


だって私はヴァンパイアなのに御子


御子が生まれる確率はあまりにも低いのにどうして純血である私が


そう言えば、誰もがヴァンパイアと聞いて思い浮かべるであろう疑問がある。



『ヴァンパイアなのに普通に教会に居て大丈夫なのか』



レオンとかみたいなヴァンパイアや普通のヴァンパイア、更には人間からヴァンパイアになった人は教会に入ると問答無用で神父が攻撃してくるらしい。(アリスティル調査、1部の教会除く)


神父の役目は死者の弔いだったり礼拝でわかりやすく神の言葉を語る代弁者だったりする。


しかし最近ヴァンパイアが人間界に流れ込んでいるためその対策として対ヴァンパイア協会なるものが作られたらしい。


ファウストはというとコイツはエセ神父なので協会に属していない。


そのため私がこの教会にいても攻撃されることは無い。



ファウスト「はぁ、また私の事を『エセ神父』と心の中で呼んでますね」


アリスティル「……なんの事かしら」


ファウスト「とぼけても無駄ですよ」



ファウストは私の方へと一歩一歩歩みを進める。


そして私の目の前で立ち止まり私を見下ろす。



ファウスト「…王を見下ろすなどと普通は無い異例ですね」


アリスティル「それは私がチビだと言いたいんですか?」


ファウスト「いえ、女性ならば仕方ないでしょう」


アリスティル「ええそうね…………っえ?」



今こいつなんて言った?


私の事を女だって言った?


私変装得意なのになんで?!



ファウスト「その様子、どうして私が女だって分かるのって反応ですね」


アリスティル「む……」


ファウスト「初めて会った時から知っていましたよ。あなたの仕草は全てが淑女のものである…」


ファウスト「それに私は本物のギルト・キングスレーと話をした事がある」


アリスティル「……兄様と?」


ファウスト「貴女の事をそれはまあ楽しそうに話してましたよ」


アリスティル「……………………」


ファウスト「彼は今どこに?そして何故貴女がギルト・キングスレーと名乗っているのでしょうか?」



……負けた。論破されて負けた。


仕方ない



アリスティル「……全て、話します」



そして私は兄様が現在行方不明である事、兄様が戻ってくるまで私がギルト・キングスレーとして振る舞い続けている事を話した。

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