異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

ヴァンパイア王の息子達から逃げる!

自然と口から出てしまったがこれはれっきとしたフィルへの悪口。


私はヴァンパイア王とは叔父と姪の関係だけど呪いでヴァンパイア王と性質が擬似的に似てきているのかもしれない。


現にこの身体にはヴァンパイア王の血が流れている。



アリスティル(ユリウス)「あ、フィル」


フィルナンド「ん?どうした」


アリスティル(ユリウス)「さっき私に何か言わなかった?」


フィルナンド「何か……って?」


アリスティル(ユリウス)「…ううん、なんでもない」



パニックだったから分からなかったけど私に「ヴァンパイア王を殺せ」なんて言ってきたのは確実にフィルの声ではなかったと言える。


声色が違うからね。


だったらあれは誰なの?


私はその場で考える。



アリスティル(ユリウス)「…………あ」



ローレンツと皇宮に行く予定なのを忘れていた。でも、今はそれどころではない。


折角逃げれるチャンスを棒に振りたくはない。


私は謁見の付き添いをレオンに丸投げすることにした。それでなんとかなる……はず


本当は心配だけど……って私は何を考えているの?


あいつらは私を貶めたヴァンパイア王の息子達。


直接的な恨みがある訳では無いが色々いじめまがいのことをされたんだから。


よし、もう済んだことは水に流す!



アリスティル(ユリウス)「フィル」


フィルナンド「何?」


アリスティル(ユリウス)「この辺に隠れられる場所知らない?」


フィルナンド「はあ、それは私よりも君の方が知っているのでは?」



フィルの口調がいつにも増して丁寧になる。フィルは呆れると丁寧口調になるのだ。



アリスティル(ユリウス)「一応聞いてみただけ。私が知ってる身を隠せる場所なんてあのクソエセ神父しかいない教会ぐらいしか……」


フィルナンド「もうそこで良くないか?」


アリスティル(ユリウス)「えー……」


フィルナンド「なんでそんなに嫌なんだよ」


アリスティル(ユリウス)「だってあいつ神父やってるけど昔は殺し屋とかそっち系でやってたとか噂あるし」


フィルナンド「単なる噂だろ?なら別に本当じゃないかもしれないじゃん」


アリスティル(ユリウス)「えーーー……」


フィルナンド「…他にまだ理由があるのか?」


アリスティル(ユリウス)「昔悪魔に魂売ったって……」


フィルナンド「それは噂か?」


アリスティル(ユリウス)「あ、これは本人が言ってた」


フィルナンド「……………なんでそんな頭おかしい奴が神父やってんだよ」


アリスティル(ユリウス)「それは私が聞きたい方なんだけど」

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